オン ザ ビーチ
原名：On The Beach
種類：オード・パルファム
ブランド：ルイ・ヴィトン
調香師：ジャック・キャヴァリエ
発表年：2021年
対象性別：ユニセックス
価格：100ml／42,900円
公式ホームページ：ルイ・ヴィトン
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価格:1,420円 |
カリフォルニアの海ではなく、ビーチの香り
エイザ・ゴンザレス ©LOUIS VUITTON
©LOUIS VUITTON
私はパンデミックの直前にこの香りを完成させていました。それは、世界が闇に包まれようとしていた時でした。だからこそ、私は〝とにかくポジティブな気持ちになる楽観的な〟香りを生み出したいと考えました。
この香りは、カラフルな色彩と喜びに満ちています。その輝きを象徴する果実として日本産の柚子をチョイスしました。私が30年間情熱を注いでいる日本で生まれ育った希少な柑橘類です。グレープフルーツ、マンダリン、オレンジを掛け合わせたような複雑な香りです。フレッシュさが爆発するような、肉欲的で生き生きとしたノートです。
次に、オレンジの花が、太陽をたっぷりと浴びたエッセンスである心を落ち着かせるネロリがやって来ます。そこに繊細で楽しいアクセントが、ファセットカットされたアロマティックの砂のような香りと混ざり合っていきます。 スペイン産のタイム、ローズマリー、ピンクペッパー、クローブは控えめですが、夏の雰囲気を作り出すのに役立つため、風景に欠かせません。
最後に、ヒノキのヴェールが、雲のない日の慈悲深い木陰のような情景を生み出してゆきます。これはかなり新しいアイデアだと思います。
ジャック・キャヴァリエ
2019年4月に発売された「パルファン ド コローニュ」から、2020年5月に販売された「カリフォルニア ドリーム」に次ぐ第五弾の香りとして、2021年4月に発売されたのが「オン ザ ビーチ」です。ルイ・ヴィトンの専属調香師ジャック・キャヴァリエにより調香されました。
「パルファン ド コローニュ」というコレクションは、〝カリフォルニアに対する香りの賛歌〟です。軽く今までの四作品の流れをおさらいしておきます。
- 雄大なる大地をオープンカーで疾走する中、頭上で心地よく照りつけるカリフォルニア・サンをイメージした「サン ソング」
- サボテンに囲まれたパティオで、メキシカン・ムードに包まれながら、マテ茶に身も心も浸されてゆくカリフォルニア・ヒーリングをイメージした「カクタス ガーデン」
- アメリカ西海岸で感じることの出来る贅沢なもの（プライベートビーチで泳ぐことも含めて）のすべてが詰め込まれたアメリカン・ドリームをイメージした「アフタヌーン スイム」
- ルイ・ヴィトンの栄光をサンセットに投影した「カリフォルニア ドリーム」
そして、この「オン ザ ビーチ」のイメージは、サーフボードを持ち、波を待ち、燦燦と照りつける真夏の太陽の恵みを一身に浴び、乾いた肌に、海水を浴びせかける瞬間を心から歓ぶ、カリフォルニア・ビーチをイメージした香りなのです。
しかし、〝On The Beach〟という名前は、1957年にネヴィル・シュートによって書かれ、1961年にグレゴリー・ペック主演により映画化もされた小説の名前（日本題は『渚にて』）と同じであり、第三次世界大戦による放射能汚染で人類が静かに滅んでいく姿を、パンデミックの中で生きる世界中の人々に重ね合わせているようにも思えます。
つまり、人生最後の瞬間に〝包まれていたい香り〟をジャック・キャヴァリエは生み出そうとしたのかもしれません。
どうして日本産の柚子なのか？
©LOUIS VUITTON
©LOUIS VUITTON
「オン ザ ビーチ」のイメージは、マリブ・ビーチです。そして、その反対に位置する日本から、新鮮さを生み出す力を借りたいと考えました。それが柚子です。そこに砂の匂い、乾燥した大地、砂漠の気配を加え、形を作ってゆきました。
私は大海原が持つ、東と西をつなぐ広大な世界観をもこの香りに投影したと考えました。グリーンでアロマティックであり、その背後に日本の檜（サイプレス）がこっそりと入ってきたのは、ビーチの周りには木々があり、空気中にその香りが漂っているからです。 風は自然、人々、人生の香りを運ぶ、世界で最高の自然の香水です。
ジャック・キャヴァリエ（興味深いことに、日本に向けたインタビューではない）
四国の柚子（推測するに恐らく高知産か徳島産）が使用されたこの香りは、カリフォルニアの海ではなく（海の香りは「カリフォルニア ドリーム」）、ビーチの香りです。カリフォルニアのビーチの香りを生み出すために、日本の柚子こそ相応しいと考えたジャック・キャヴァリエの閃きが実に面白いです。
30年前から柚子の香りが大変好きであるということは、「ロー ドゥ イッセイ」（1992）と「ロー ドゥ イッセイ プールオム」（1994）を調香した頃に彼が柚子に目覚めたということと合致します。
この香りは、カリフォルニアに限定することなく、それがたとえ京丹後であろうとも、仲間と車に乗って、都会から海へ向けてのショートトリップで感じるあの感動、つまりは、はじめて海岸線を目に捉えた瞬間の喜びを、ボトルの一吹きに投影しています。
明るい太陽の光が降り注ぐ、カリフォルニアの陽気な青い海とベージュ色の砂浜のコントラストを、グレープフルーツ、マンダリンの芳香が万華鏡のようにかわるがわる輝く柚子の香りに託しているのです。
ビーチの香りに必要な要素を排除した香り
©LOUIS VUITTON
私がルイ・ヴィトンの香りを生み出すときに心がけていること。それは、最高級の品質の香料が使用できるからこそ出来ることをすることです。
それは、ひとつの香料が持つ、素材の強さ、個性、美しさを表現する多様性が好きです。それぞれの香料が生み出すシャープなコントラストを捉えていくということです。はっきりとひとつの香りがするものではなく、多くの側面を持つ香りを生み出すようにしています。つまりはルイ・ヴィトンの香りには多くの謎が生まれるようにしたいと考えて調香しているのです。 それは人生と同じです。
香水は人に合わせるものではなく、私たちの最も奥深い秘密の個性を表現する一部です。
ジャック・キャヴァリエ
真夏の太陽のように黄色い柚子と、その光を受け止める白いビーチのようなオレンジの花（＝ネロリ）のかぎりなく美しいハーモニー。太陽＝柚子のピリっとビターにはじける爽快感に包まれ、砂＝ネロリの優しい温かみに満たされる喜びを全身で受け止めるように、あなたの素肌にカリフォルニア・ビーチが作り上げられてゆきます。
寄せては返す波の音のようにタイム、ローズマリー、ピンクペッパー、クローブといったハーブの香りが、太陽とビーチの間に波のようにキラキラと輝きながら広がってゆきます。
フレグランスの精神とは、誕生した時代を映し出す鏡です。まさにパンデミック全盛の2021年に誕生したこの香りは、ルイ・ヴィトンにとってトランクを使用する〝旅〟に行けない時代だからこそ生み出された〝心の旅〟ではなく〝旅が生み出す心の揺れ〟を生み出してくれるのです。
この香りの柚子（オレンジとグレープフルーツをブレンドしたような天然のユズ・アブソリュート）とネロリのハーモニーは、揺れる心のようなハーブと見事に調和し、やがて、サイプレス＝ひのきが、清らかなる空気ですべてをひとまとめにし、洗い流してくれるのです。まさに心のコリをほぐし、リフレッシュしてくれる香りと言えます。
その名が示すとおり、〝ビーチの香り〟でありながら、ココナッツやトロピカルフラワーとトロピカルフルーツ、マリンノートといったビーチ系フレグランスには外せない香料が一切存在しません。
750万円する「オートパフューマリー」
©LOUIS VUITTON
この香りから「パルファン ド コローニュ」に、キャンペーン・モデルが起用されています。『ベイビー・ドライバー』にも出演していたエイザ・ゴンザレス（1990－）です。
彼女はこのボディペイントをするために9時間かけ、取り除くのに4時間かけました。エイザは「魔法の虹の砂の上を転がるようでした」「取り除くときは、まるで究極のスクラブのようでした」と回想しています。
パッケージ及びボトル・デザインは、2014年から15年にかけて製作されたアレックス･イスラエルの作品「無題（フラット）」の1つにある炎のようなレッドから柔らかなオレンジに変わる色彩を投影したものです。
©LOUIS VUITTON
2021年ルイ・ヴィトンはついにオーダーメイドの「オートパフューマリー」を開始します。お客様にグラースにあるLV専用アトリエ「レ・フォンテーヌ・オアルフュメ」でキャヴァリエ直々のカウンセリングを受けることが出来ます。
そして、最低9ヶ月以上をかけてその人のためのルイ・ヴィトンの香りが作り出されるのです。気になるお値段のほうは約750万円です。
香水データ
香水名：オン ザ ビーチ
原名：On The Beach
種類：オード・パルファム
ブランド：ルイ・ヴィトン
調香師：ジャック・キャヴァリエ
発表年：2021年
対象性別：ユニセックス
価格：100ml／42,900円
公式ホームページ：ルイ・ヴィトン
トップノート：日本産柚子、チュニジア産ネロリ
ミドルノート：タイム、ローズマリー、ピンクペッパー、クローブ、サンドアコード
ラストノート：サイプレス（ひのき）
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【未使用品】LOUIS VUITTON ルイヴィトン 『ON THE BEACH』 オン・ザ・ビーチ オードパルファン EDP LP0226 100ml 香水 フレグランス 【程度N】未開封 価格:39800円 |
