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【ディオール】ディオレッセンス(ギ・ロベール)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
クリスチャン・ディオール
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ディオレッセンス

原名:Dioressence
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ギ・ロベール
発表年:1969年
対象性別:女性
価格:不明

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エルメスの「カレーシュ」を作った男の〝ディオールの淫獣〟の香り

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1969年にディオールから誕生した「ディオレッセンス」は、その特異な生い立ちゆえにほとんど知られていない香りです。それはその後のディオールの香りをあわせても、もっとも官能的な香りであり、つけこなすのがウルトラ級に難しいアニマリック・フローラルシプレでした。

はじまりは、この香りを調香したギ・ロベール(ロシャスの「マダム ロシャス」、エルメスの「カレーシュ」)に対する以下の依頼からでした。ディオールは、すでに偉大なる調香師だったロベールを豪奢なディナーに招待し、1970年AWにマルク・ボアンが発表するファーを使用したコレクションとタイアップしたフレグランスを販売したいと考えていました。そのために「毛皮を連想させる、アニマリックな女性用香水を作って欲しい」と依頼したのでした。さらにイメージとなるキャッチコピーとして〝野生の香り《レ・パルファン・バルバル》〟を伝えたのでした。

ディオールの香水の伝統であるフローラルにアニマリックをミックスするという至難の技が求められ、ロベールは、完全に行き詰ってしまいました。そんなある日、ロンドンで竜涎香(アンバーグリス)の塊が売りに出されていることを知り、30キロはある黒いバターのような竜涎香(シャネルの竜涎香の使用量を20年はまかなえそうな量)を購入したのでした。

そして、その時に手に残る竜涎香の匂いを落とすためにロンドンの空港のバスルームで、小さく汚い銀色の石鹸を使って手を洗ったのでした。旅客機の座席でロベールは、両手の匂いを嗅いだ時、はっとしたのでした!石鹸と竜涎香の組み合わせこそが、彼が求めていた香りだったのでした。そして、旅客機がフランスに着くとすぐにロンドンの空港のバスルームの石鹸を空輸してもらったのでした。それは「ミス ディオール」を安っぽくコピーした香りの石鹸でした。

このようにして「ミス ディオール」をコピーした石鹸の香りをベースに、シプレ系の香料とフルーティなアルデハイド、さらに竜涎香をブレンドして出来上がったのが「ディオレッセンス」でした。

「ディオレッセンス」は、1979年にマックス・ガバリーにより、再調香されました。アンバーグリスの醍醐味は大幅に失われ、甘さとスパイス(カーネーション)が増強されました。さらに、80年代に入り、ディオール社の財政難により、香料は低品質なものに変えられてゆきました。

2009年にフランソワ・ドゥマシーが再調香したものに対して、ドゥマシー自身が「これは好きではない」と断言しています。つまり、オリジナルとはまったく違う香りになっているのです。70年代の峰不二子のような悪女ではなく、21世紀の峰不二子のような悪女のようです。

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〝毛皮のヴィーナス〟

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〝野生の香水〟もしくは〝野蛮な女のための香水〟、または〝毛皮のヴィーナス〟であるこの香りは、はじまりは淑女のように、静かに獲物を見定めるように上品に佇み、やがて、獲物を見つけると、とんでもなく下品な金ぴかのセクシーな衣服を着て、隙を見せ獲物を誘い込み、骨の髄までしゃぶりつくしてゆく。そんな〝かまきり女〟の香りです。

ちなみにオリジナルの「ディオレッセンス」は、「ミス ディオール」の流れを汲むアニマリックなグリーンシプレでした。それは1960年代の草原と柑橘(特にレモン)と森の輝きと物憂げな湿った空気に、アルデハイドが注ぎ込まれた、クラシカルな緑の粉を浴びるような感覚からはじまります。

隙なくオークモスとパチョリ、ゼラニウムが広がる中、光り輝くアルデハイドに甘やかされた果実がたゆたいます。そして、めくるめく熱病にうなされそうなスパイシーなカーネーションとシナモン、さらにアニマリックなカストリウムとレザーも加わってゆき、香りは官能の渦に飲み込まれてゆきます。

やがて霧が晴れ、一糸まとわぬ白薔薇がうっとりそこに佇むのです。その周りには、ジャスミン、ネロリといったホワイトフローラルが、それぞれの甘さに頼らずに、大人の女の嫋やかさを描き出すように香り立ちます。

花の甘さよりも、緑の苦さよりも、すべてがブレンドされ認識不可能な辛い香りに嫌悪感を感じながらも惹きつけられていくのです。そして、相手の身も心も愛撫するように、情熱的なスパイスの奥からバニラとベチバー、ムスクが立ち上り、どんな冷えた身体をも温かく溶かすように、骨の髄まで虜にしていくのです。

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この香りからあなたの〝けものみち〟ははじまる。

ソフィア・ローレン、「ディオレッセンス」のイメージそのものの二人のイタリアの伝説の女優。

クラウディア・カルディナーレ、「ディオレッセンス」のイメージそのものの二人のイタリアの伝説の女優。

最も危険な情景はこうです。結婚指輪を二人で選ぼうと誓い合い、百貨店で指輪の下見をしたカップルとすれ違う一人の毛皮を着た女性。思わずその女性の魅力に振り返ってしまう男性。そんな彼を見て彼女は心病む。まさに淫獣のような女の香りだ。

ピュアな心を持った女性がこの香りを香ると、その「汚さ」に軽蔑するしてしまうでしょう。しかし、彼女は、やがてこの香りに身に置く生き方に惹きつけられてゆくのです。そして彼女の〝けものみち〟ははじまるのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ディオレッセンスは1969年にマックス・ガバリーとギ・ロベールの手によって生み出されてからというもの、余りに多くの異なったバージョンが作られた。猫は自分の仔が分からない、というフランスのことわざが思い出される。」

「私が1974年頃に初めてころに出会ったときは、行儀のいいグッチの「ラッシュ」のような、大柄なラクトンの香水だった。今のものは農家の庭先のようなグリーンシプレで、スイセンのような香りがして、「シャマード」「ジバンシィⅢ」に近い。現在のものは数年前のものより明らかに質がよく香りもいいが、昔のディオレッセンスの面影はみられない。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

そして、2009年版に関しては「もはや昔のディオレッセンスではなく、よい香りでもない。こんなのを買う人の気が知れない。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ディオレッセンス
原名:Dioressence
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ギ・ロベール
発表年:1969年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:アルデハイド、オレンジ、フルーツノート、パチョリ、グリーンノート、ベルガモット
ミドルノート:カーネーション、チューベローズ、シナモン、ヴァイオレット、オリス、ジャスミン、イランイラン、ローズ、ゼラニウム
ラストノート:パチョリ、ムスク、ベンゾイン、バニラ、オークモス、ベチバー、スティラックス、アンバーグリス

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