オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン29 『昼下りの情事』1(3ページ)

    作品名:昼下りの情事 Love in the Afternoon (1957)
    監督:ビリー・ワイルダー
    衣装:ユベール・ド・ジバンシィ
    出演者:オードリー・ヘプバーン/ゲイリー・クーパー/モーリス・シュヴァリエ



    〝ひと回り年上の男性〟がファッション・アイコンを作る。

    当時大流行したアリアーヌ・カット。センターで分けて内巻きにカールし、オードリーの頬を覆うスタイル。

    『ローマの休日』のメイクアップ・アーティスト、アルベルト&グラツィア・デ・ロッシ夫妻によるアリアーヌ・スタイル。

    アルベルト・デ・ロッシがオードリーに与えた影響は少なくない。

    アルベルト&グラツィア・デ・ロッシ

    ローマの休日』(1953)でグレゴリー・ペック(13歳差)、『麗しのサブリナ』(1954)でハンフリー・ボガート(30歳差)とウィリアム・ホールデン(11歳差)、『パリの恋人』(1957)でフレッド・アステア(30歳差)といった具合に、オードリー・ヘプバーンのこれまでの相手役の男優は、全て10歳以上年の離れた〝大人のオトコ〟でした。

    そして、本作においてもかつて「この男は、うしろ向きに立っているだけで女性ファンの心をつかむ」とまで言われたハリウッドの名優ゲイリー・クーパー(1901-61)と共演しています。そんな一回りも年の離れた男性との恋愛映画が許された時代だったからこそ、オードリーの生々しさの伴わない神話的な魅力が保たれたのでした。

    本作において当時28歳のオードリーは、19歳の役柄を演じるために、センターで分けたボブのサイドを内巻きにしたり、二つくくりにして、本当にティーンエイジャーに見える若々しさを演出しました。そこには、『ローマの休日』でアン王女とアーニャという永遠のスタイル・アイコンを創造する手助けをしたアルベルト&グラツィア・デ・ロッシ夫妻のメイクアップの力も大きかったことは言うまでもありません。

    オードリーが〝永遠のスタイル・アイコン〟に見えるのは、洗練された中年&初老男性に取り巻かれた作品にのみ出演しているからでした。これは、思い切った意見なのかもしれませんが、〝永遠のスタイル・アイコン〟となる女優は、どうも一回りは年の離れた男性と共演している傾向があります。結局は、それが同世代の心しか打たない話と、世代を超えて心を打つ話を見せることが出来るかの違いであり、昔の映画女優にはスタイル・アイコンが多かった理由なのではないでしょうか。

    つまり、魅力的な年の取り方をしている〝大人のオトコ〟をいかにアクセサリーのように自分の周りにはべらす事が出来るか?ということなのです。



    モーリス・シュヴァリエの圧倒的な存在感。

    ゲイリー・クーパーとモーリス・シュヴァリエとオードリー。

    当時28歳だったオードリーが19歳の音楽大生を演じました。

    シュヴァリエは、当時フランスを代表する国民的エンターテイナーでした。

    あくまでも太眉がオードリー・スタイルです。

    乙女心をくすぐるアイテムに満ち溢れた19歳のパリジェンヌのお部屋。

    オードリー・ルック1 パジャマ・ルック
    • ハイドンの交響曲第88番を弾く
    • ヒトデ柄のウールガウン。白の襟と袖、そして、紐ベルト
    • パジャマ
    • フラットシューズ

    オードリー・ヘプバーンという女優の素晴らしさを端的に述べると、オランダ人とイギリス人のハーフであり、フランス人の血は一切流れていない身でありながら、パリジェンヌを演じられるところにあります。そして、パリという街もオードリーの存在により、より洗練とファッションの都というイメージを世界中の人々に与えたのでした。

    さらに本作でオードリーのパリジェンヌとしての魅力を高める効果を生みだしているのは、音楽です。もうオープニングの『魅惑のワルツ』の調べから、私たちの心はパリへと飛んで行きそうです。50年代のハリウッド映画には、人の声の入らない優雅な音が充満していました。そして、モーリス・シュヴァリエの語りが始まります。パリは恋人たちの都ですという喩えが実に軽妙に始まるのです。ビリー・ワイルダーの素晴らしいところは、物語の始まり方にあるのです。パリのあらゆるタイプの恋人像をセ・シ・ボンのメロディーにあわせて紹介して行くのです。そして、禁じられた愛に夢中な恋人たちがいますとなり、オードリーの父親モーリス・シュヴァリエ=私立探偵の登場と相成るのです。



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