ピエール・バルマン

ブリジット・バルドー9 『殿方ご免遊ばせ』3(2ページ)

    作品名:殿方ご免遊ばせ Une Parisienne (1957)
    監督:ミシェル・ボワロン
    衣装:ピエール・バルマン/ピエール・ヌーリー
    出演者:ブリジット・バルドー/アンリ・ヴィダル/シャルル・ボワイエ

    自意識過敏女子(カジョシ)に捧ぐバラード

    本作撮影の前年1956年10月にバルドーはエリザベス女王に拝謁を許されています(マリリン・モンローと共に)。

    そして、この女王に拝謁するとは思えない大胆なシルエットのドレスは、マリリン・モンローをモチーフにしたドレスでした。

    ヘアスタイルも仕草もどこかマリリン風です。

    バルドーの魅力は、怒りの面と笑顔の面のギャップにあります。

    シャルル・ボワイエの浮世離れした殿下もハマリ役です。

    そして、この豹のような姿勢のしなやかさもバルドーの真骨頂です。

    晩餐会のドレスのアクセサリーは、二つか一つまでの鉄則。

    バルドー自身のコンプレックスは、目の下のクマと、鼻の形にありました。

    しかし、そのコンプレックスが、トレードマークへと昇華していったのです。

    バレリーナがドレスを着た姿勢。まさに〝女のポージング・マガジン〟。

    ブリジット・ルック8 レッドドレス
    • ピエール・バルマンのレッドドレス
    • 白のロンググローブ
    • ゴールド色のハイヒールパンプス
    • ブルー&レッドカラージュエリーのイヤリング
    • パールブレスレット

    人生で成功するとは、どんな代価を払っても美しさを手に入れることだろうか?人工的な見せかけ、顔や身体の整形、どんな感情にも損なわれない凍りついた完璧な美を作り出す美容整形で、硬直した姿を手にすることだろうか?それとも、人生や時の流れが、喜び、苦しみ、そして歳月が、弱くなった柔らかいサテンのような肌に、それぞれの試練を象形文字で刻み込むままにしておくことだろうか?そこにたったひとつしかない人生の歩みを読み取れる者にとっては、開かれた本のような肌に。

    ブリジット・バルドー(2003年)

    顔は心の鏡であり、だれにでも宿っている激しい感情を映すものだとわたしは思っている。完璧とは言いがたい顔立ちの人からときに発せられるほのぼのとした魅力は、まったくと言ってよいほど虚しい外科手術で丹念に細工された間抜けで単調な完璧さよりもはるかに人を魅了し、心を捕らえ、虜にする。

    ブリジット・バルドー

    ブリジット・バルドーという女優からときに放たれる閃光のような〝厳しい〟表情は、彼女の内向的な一面による部分が大きいでしょう。「私は常に自分の容姿には自信がなかった」と回想するバルドーにとって、その言葉は、自分は外見だけの女性ではないという自信の裏づけの言葉でもあるのです。

    一言で言うと、彼女の主演映画には、鏡とスマホばかり見ている自意識過敏女子(カジョシ)とは、真逆の〝自然体〟の空気に包まれているのです。そして、その空気が、バルドーという人の魅力そのものなのです。イケメン警官に思わせぶりに微笑んだり、鉛筆を背中に落とし、お色気作戦したり、突然踊り始めたり、机の上に座ったりと・・・

    どこまでも自由人なのです。それが、BBの魅力なのです。

    本物の女王のような風格のあるナディア・グレイ



    プリンセス・ルック2 イエロードレス
    • デザイナー:ピエール・バルマン
    • イエローのシルクブロケードドレス
    • 白のロンググローブ
    • パープルの肩章
    • ゴールドティアラ

    グレタ女王という役柄が実に魅力的です。殿下の浮気が本気ではないことを知り尽くしている包容力のある女性であり、「あなたがいないと毎日が退屈なのよ」と言ってのける優しさに満ちた女性でした。しっかりしている女性には、しっかりした男性は必要はないという典型です。

    そんなグレタを演じたのは、撮影当時34歳だった!?ルーマニア系のフランス人女優、ナディア・グレイ(1923-1994)でした。『甘い生活』(1960)『いつも2人で』(1967)等において上流階級の女性を演じていた気品のある女優でした。二番目の夫コンスタンチン(ルーマニアの名家カンタクジノ一族)とは、第二次世界大戦後に知り合っており、それは航空機のトラブルで、エンジンが火を噴き、墜落寸前のところを元々戦闘機のエースパイロットだったコンスタンチンが、乗客を鼓舞し、無事着陸に持っていった映画顔負けの出来事が出会いのきっかけでした。

    ルーマニアが共産化したため、1946年に結婚した貴族階級の夫コンスタンチンと共にパリに亡命し、彼が死ぬ1958年まで添い遂げました。ナディアの気品は、貴族の夫とのライフスタイルにより培われたものでした。


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