ジョー マローン ロンドン
Jo Malone London ロンドンの中流階級の主婦であり、プロのフェイシャリストであるジョー・マローンが、顧客へのプレゼントとして、〝相反する素材を合わせるとどんな香り〟になるのだろうか?という発想により生み出したナツメグ&ジンジャー・バスオイルが、1994年のブランド創設のきっかけになる。
1999年には、ロンドンに旗艦店を作り、同年、エスティローダーに自身のブランドを売り、2006年までクリエイティヴ・ディレクターとなる。そして、2009年3月に、セリーヌ・ルーがクリエイティブ・ディレクターに就任し、〝フレグランス・コンバイニング〟という概念を生み出す。以後、クリスティーヌ・ナジェルを起用し、2010年から2014年に渡り、ジョー・マローンを代表する香りを生み出す。
代表作
ナツメグ & ジンジャー コロン(1990)
グレープフルーツ コロン(1992)
ライムバジル & マンダリン コロン(1999)
レッドローズ コロン(2001)
オレンジ ブロッサム コロン(2003)
イングリッシュ ペアー&フリージア コロン(2010)
ワイルド ブルーベル コロン(2011)
チューベローズ アンジェリカ コロン インテンス(2014)
ウッド セージ & シー ソルト コロン(2014)
ミッドナイト ブラックティー コロン(2016)
ミルラ & トンカ コロン インテンス(2016)
イングリッシュ オーク & レッドカラント コロン(2017)
ジャスミン サンバック & マリーゴールド コロン インテンス(2018)
ブロンズ ウッド & レザー コロン インテンス(2019)
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ジョー・マローン・ロンドンの香水一覧
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日本列島を揺るがす香りの革命
ジョー・マローン・ロンドンは、今では日本の香水文化を牽引する一大フレグランス・ブランドの位置を確立しています。
少なくとも2008年まで、ひとつのブランドだけを販売するフレグランス・ブランドが百貨店に店舗を構えることなど考えられないことでした。そんな現状を打ち破ったのが、ジョー・マローン・ロンドンの功績です。それは、コスメ販売のついでにフレグランスの説明もしている感覚のビューティ・アドバイザーたちの意識も変えていくきっかけとなりました。
そして、何よりも興味深いのは、どうやら誰からも愛される女性は、ほぼ90%ジョー・マローン・ロンドンの香りを定番フレグランスとして所有しているらしいということです。安すぎず、でも高すぎず、でもよくよく考えると高い部類に入るという絶妙な価格帯を生み出した、このブランドが、世界一の「愛されフレグランス」なのは、その絶妙な距離感と一流調香師に作ってもらうそれぞれの香りのクオリティの高さ故でしょう。
創始者ジョー・マローンについて語ろう
その歴史は、ロンドンの中流階級の主婦(金持ちの旦那にぶら下がって生きる美魔女の趣味によって生み出されたものではなく、美容を生業とする日々の生活の中から生み出されたもの)であり、プロのフェイシャリストであるジョー・マローンという女性によって誕生しました。
そんな彼女が、顧客へのプレゼントとして作り出したのが、〝相反する素材を合わせてみたらどんな香り〟になるのだろう?という発想で生み出されたナツメグ&ジンジャー・バスオイルでした。この自家製バスオイルが、90年代に英国で最も有名なフレグランス・ブランドの始まりになるのでした。
1994年から2006年にかけて生み出されたジョー・マローン・ロンドンの作品は、ジョー・マローン自身による香りです。
1999年に、ジョーはロンドンに旗艦店を作り、同年、エスティローダーに自身のブランドを売りました。以後も、ジョーは、クリエイティブ・ディレクターとしてブランドに残りました。しかし、2003年にジョーの人生は急転降下することになります。彼女は乳癌になってしまったのでした。
エスティローダーは彼女のために最高の医療技術を提供しました。そして、科学治療を行い、回復し、仕事に復帰するも、2006年にジョーは、クリエイティブ・ディレクターを辞める事を決意しました。
ガールズ・パワーで作られた香りの数々
2008年6月に、シャネルで「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」を成功させたドム・ド・ヴェッタがジョー・マローン・ロンドンのグローバル・ゼネラル・マネージャーに就任し、2009年3月に、フランス人のセリーヌ・ルーという女性を、クリエイティブ・ディレクターに抜擢しました。
丁度その1年前の2008年9月3日にジョー・マローン・ロンドンは、東京・新宿の伊勢丹に上陸していました。以後、1年後に丸の内に日本初の路面店、さらに2016年には表参道ヒルズに路面店をオープンしたのでした(現在全国30店舗に拡大)。その時に、〝フレグランス・コンバイニング〟という概念によるブランディングを考えたのがセリーヌでした。
セリーヌ自身は調香師ではありません。彼女は、元々ディオールとエスティローダーのメイクアップ部門で働いていました。南フランスで生まれた彼女の祖父は花の輸入業をしていました。グラースで生まれ育ったわけでもないセリーヌは、ロンドンのフラワー・マーケットなどで精油を購入し、成分の勉強を一から独学で行いました。それはちょうどジョー・マローンと同じようでした。
現在、ジョー・マローン・ロンドンのフレグランスを作る調香師たちは、イギリス人ではありません。しかし、彼らがクリエイトするときには必ずイギリスに滞在してもらいます。私もフランス人ですが、ロンドンに住んでいます。外国人だからこそ、より敏感に感じ取れる英国の魅力を、自分の目と鼻で感じ、フレグランスに反映させることが出来るのです。
セリーヌ・ルー
そして、クリスティーヌ・ナジェルの光臨と相成ります。2010年から2014年の間に彼女がセリーヌと二人三脚で生み出した香りは、迷走していたジョー・マローン・ロンドンを立て直すきっかけとなりました。以後、クリスティーヌは、エルメスの二代目専属調香師に就任するまで、ジョー・マローン・ロンドンで数々の傑作を生み出すことになるのでした。
私が調香したすべてのJMLの香りには、私のシグネチャーとしてスペシャルブレンドした合成ムスクを入れています。
クリスティーヌ・ナジェル
2011年4月29日にウィリアム英国王子とキャサリン妃のロイヤル・ウエディングにて、ウェストミンスター寺院のキャンドルに、キャサリン妃のリクエストにより、「オレンジ ブロッサム」キャンドルが使用されました(そして、一部に「グレープフルーツ」と「ライム バジル&マンダリン」を配して。コンバイン効果を生み出しました)。さらに、ゲスト用のトイレには、「オレンジ・ブロッサム」のハンドソープとローションが置かれていました。このことにより、ジョー・マローン・ロンドンの名は更に世界的な認知度を高めたのでした。
香水接客力が、とても素晴らしいブランド
日本においても、着々と店舗を拡大させ、ジョー・マローン・ロンドンは、順調にブランディングを高めています。現在、どの店舗の販売員の方々も、以下の三つの要素により、素晴らしい接客力をお持ちのです。
- 会社が用意している自習のシステムが機能している。
- 香りに対する向き合い方が真摯であり、チーフと部下の関係性もとても素晴らしく、各々が香料だけを並べ立てる〝良くある、ムエットに香りを吹きかけて、香料だけお伝えする接客〟を行わず、自分なりの香りの感想を丁寧にお伝えしている。
- カイエデモードなどの『香水メディア』で〝香りの世界〟のブラッシュアップを怠っていないので、香水愛好家の方々のハートも掴みつつある。
ただひとつ問題だった、調香師について話してはならないという点も緩和されてきています(香りを作ってくださっている調香師の存在を闇に葬り去ることは、時代の流れに逆らうこと)。
2023年5月現在、カイエデモードは、まだご紹介できていない新しい香りについて徹底分析を行っていく予定です。