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【ル ラボ】タバ28 マイアミ(フランク・フォルクル)

ルラボ
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タバ28 マイアミ

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:Tabac 28 Miami
種類:オード・パルファム
ブランド:ルラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ

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英雄たちへの鎮魂歌=「革命」の香り

©LE LABO

葉巻といえば、キューバの英雄カストロとゲバラ。

ルラボが出店している都市ごとの限定の香り「シティ エクスクルーシブ コレクション」。その中のひとつとして2019年に発売されたマイアミ限定の香りが「タバ28」です。フランク・フォルクルにより調香されました。

この香りは、タバコというよりもシガーとラム酒をブレンドした香りです。シガーは20世紀において中南米の歴史的な英雄たちと共に、時を過ごしてきました(象徴的な人物が、キューバのフィデル・カストロチェ・ゲバラ。そして、作家のアーネスト・ヘミングウェイ)。

英雄達が歴史的な決断をする時に、いつもこの香りが傍で漂っていました。マイアミの香り。それは、映画「スカーフェイス」でキューバからマイアミに亡命したトニー・モンタナの危険な野性の雰囲気も漂わせています。まさに善悪の彼岸を越えた、香りによる〝英雄たちへの鎮魂歌〟なのです。

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マイアミの香りがなぜ「タバコ」なのでしょうか?


アメリカ南東部フロリダ州の都市マイアミは、ヒスパニック系人口の割合(68.6%)が最も高い都市であり、約51%がラテンアメリカ出身者で、主に1959年のキューバ革命の後、国外に亡命したキューバ人、ドミニカ共和国の西にあるハイチ共和国から貧困のために移住してきたハイチ人から構成されています。このマイアミという都市を、キューバとハイチを織り交ぜることで表現したのが「タバ28」です。

キューバといえば何か?キューバは葉巻(葉巻きタバコ)を生んだ国であり、世界最大の葉巻生産国です。葉巻はシガーとも呼ばれ、キューバはシガー用の葉が育つのに最適な土壌と気候があります。

日本ではタバコのイメージはよくないのですが、キューバでは〝葉の巻き方〟ひとつで価値が変わると言われるほど、職人が作る芸術性の高いものとして認められています。ちなみに熟練の職人は「マスター・トルセドール」と呼ばれます。

キューバを想わせるタバコを香料の中心に置いたのは、マイアミのキューバ人たちを表現するためでしょう。しかもグリーンカルダモンを使うことにより、タバコに使う前のグリーンでフレッシュな香りまで再現しているのです。

つまり、タバコの葉が摘み取られ、乾燥し、葉巻が誕生するまでの芳香がこの香りには詰まっているのです。

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そして、なぜこの香りに「ラム酒」がなみなみと注がれているのか?

©CHILLED 100 AND CHILLED MAGAZINE

マイアミという都市を、キューバとハイチの香りを織り交ぜることにより表現した「タバ28」。ハイチは、ラテンアメリカとカリブ海における最初の独立国家であり、奴隷制を廃止した最初の国であり、奴隷の反乱が成功したことから設立された歴史上唯一の国家でした。自由と独立を獲得したのは1804年1月1日のことでした。

さて、ハイチといえば何か?最も有名な輸出品が、Barbancourt(バルバンクール)という名のアグリコール製法で作られたハイチ独自のラム酒です。1862年にフランスからの移住者デュプレ・バルバンクールが、ハイチでコニャックと同じ二回蒸留する手法を用いてサトウキビの絞り汁からラム酒を造る技術を開発したことからこの名がつけられました。

もちろんラム酒は、キューバにおいても四回蒸留して作られるハバナクラブなどが有名な産地なのですが、マイアミのハイチ人たちを表現するために、バルバンクールの独特な香りを加えています。

特筆すべきは、バルバンクールの香りはタバコとの相性が良く、さらにウードが入っていることもあり、タバコよりも葉巻のような、ハチミツとドライフルーツを合わせた甘さとレザー感を出す役割を果たしています。

また、マイアミといえば、ビーチサイドにあるナイトクラブなのですが、この香りは、ルラボの中でも、海の傍にあるナイトクラブのイメージにピッタリの香りと言えます。

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ラテンの情熱と哀愁が、我が身に降り注ぐ。

アメリカに屈しなかった男フィデル・カストロ。

ラテン民族の血湧き肉躍る情熱を東洋人の心の中にさえ芽生えさせる、それがこの香りを最初から最後まで支配するリズムです。「タバ28」という名の〝大人のラテンの情熱〟つまりは、ラテンの血を、香りを通して私たちの肉体に注ぎ込んでいくような香りです。

はじまりから情熱的なラテン民族の横顔を思わせる、ハーバルグリーンなカルダモンが、元気よく飛び出してきます。すぐに間髪入れずに押し寄せる渋いキューバ産のタバコの葉の香りが包みこんでゆきます。

グリーンスモーキーなタバコに、更なるスモークを重ね合わせるようにウードが加わり、不思議なことに豊潤でありながら煙たくない滑らかさが与えられ、香り全体は哀愁を帯びる様になります(カルロス・サンタナの泣きのギターが流れるように

そして、哀愁のタバコに、スカッとフレッシュなシダーとアーシーなベチバーが加わり燻したコクに包まれ、どんどん渋みを増してゆくのです。この一連の流れがほんの数分のうちに展開されるのが、この香りから〝大人のラテンの情熱〟を感じさせる所以なのです(徐に騒がしくない)。

やがて、ガイアックウッドの風に乗り、クリーミーかつスパイシーな芳醇なラムが全てを焼き尽くすように降り注ぐのです。そして、陰影のある厚みをブージーにシガーの香りに酔わせるような温かさを投影させてゆくのです。

シガーの煙を、キャラメルのように甘やかなラムが消し去った瞬間に現れる、理性を解き放ちたくなる〝魔の刻〟のはじまりの予感。それはまさに夕方から夜にかけてのマイアミのサンセットを想わせる、情熱的な夜の前の小休止のようです。

シガーとラム酒を愛する大人のための香り。もしくは、シガーもラム酒も好きではないが、そういったムードに包まれたい大人のための香り。少し危険な匂いがするのもこの香りの魅力です。女性と男性が進んで騙されたくなる危険な男女から漂うような香り。

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キリアンの同系統の香りとの比較

©Kilian

「タバ28」は、シガーのようなタバコとラム酒が巧みに織り交ぜられた香りです。大人の女性と男性に似合うこの香りを色々な同系統の香りと比較してみました。

まず最初にコニャックと同じ蒸留法で生み出されたラム酒の香りが入っているということで外せないのが、キリアンの香りとの比較です。タバコの香りだと「バック トゥ ブラック」「ダーク ロード」「ライト マイ ファイヤー」が同系統の香りと言えます。

「バック トゥ ブラック」は蜂蜜がかなり強く、ねっとりした甘さが乾燥したタバコの香りと相まって、尾をひかず円やかに肌に馴染んでくれます。「タバ28」に比べると、より気だるく、悲哀と闇を感じさせます。

一方、「ダーク ロード」と「ライト マイ ファイヤー」はもっとスモーキーで、ラム酒のフルーティさが無いので、甘さはあまり感じません。

お酒の香りだと、「アップル ブランデー」と「エンジェルズ シェア」でしょう。「アップル ブランデー」はもっとフルーティかつウッディです。一方、「エンジェルズ シェア」には、「タバ28」には無い、シナモンの甘さとあとに残るウッディ感が存在します。「タバ28」はウードを使っているので、二つの香りに比べると少し重めの残り方がします。

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ルラボ、トム・フォードなどの香りとの比較

©TOM FORD

さて次に、ルラボの「パチュリ24」と比べると、「タバ28」の方がアニマル感とバニラ感が抑えめであり、フルーツ感が増しています。

一方、トム・フォードの「タバコ バニラ」と比べると、こちらはバニラが広がるように出て来るのが特徴です。ちなみにトム・フォードの香りのバニラは、セレブな女性やセクシーな男性を感じさせるたおやかな(余裕のある)香り立ちを感じさせます。

片や「タバ28」は、素のカッコよさというか、見た目のワル感(実際はいい人)を感じさせる香り立ちです。ちなみに「タバコ バニラ」と似た系統であればメゾン・マルジェラの「ジャズクラブ」がありますが、インパクトが少し弱い感じがします。

よりフローラル感があるタバコであれば、エタ リーブル ド オランジェの「ジャスマン エ シガレット」があります。

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この香りから思い浮かべる映画と音楽について

『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランド。

最後にこの記事の特別監修をして頂いた(半分以上の追加の文章はこの方によるものです)Le Chercheur de Parfum様に、この香りから連想する映画や音楽についてお聞きしました。

あくまでも私のマイアミのイメージなのですが、マイアミとかキューバと聞くとマフィアを連想します。なので『ゴッドファーザー』が思い浮かんだのですが、出演していたアル・パチーノ繋がりで『スカーフェイス』のキューバから亡命してマイアミを舞台に悪名を轟かせるトニー・モンタナなんかもこのイメージにピッタリですよね。たしか『ゴッドファーザーPART2』においてもキューバは物語の重要な場所でしたよね。

このようなマフィア映画の世界観やファッションは、「タバ28」の香りに非常にマッチしますね。ただ、アル・パチーノの若い頃というよりは、もう少し円熟味を増した頃の方が似合いそうですが、スーツ姿のマフィアにばちっと似合う香りですね。

『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドなんか完璧ですね。なんでしょう、カッコいいというより、仁義(オメルタ=沈黙の掟)という少し古い考えのカッコよさに似合いますね。

あと、安直でしょうが、黒人ラッパーに似合いそうですね。私にとってこの香りは、〝ワルの香り〟なんですよね。音楽は全く詳しくないですが、ジャスティン・ビーバーの若い頃が結構好きで、ジャスティンがコラボしてるラッパーなんかを想像します。

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香水データ

香水名:タバ28 マイアミ
原名:Tabac 28 Miami
種類:オード・パルファム
ブランド:ルラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ


シングルノート:タバコ・リーフ、ガイアックウッド、ラム、カルダモン、シダー

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