ジェームズ・ボンド

ショーン・コネリー2 『007/ロシアより愛をこめて』1(3ページ)

    作品名:007/ロシアより愛をこめて From Russia with Love (1963)
    監督:テレンス・ヤング
    衣装:ジョセリン・リカーズ
    出演者:ショーン・コネリー/ダニエラ・ビアンキ/ロバート・ショウ/ロッテ・レーニャ



    なぜこの作品がボンドムービー史上不動のNo.1人気を誇るのか?

    それは、ごく端的に言うならば、この作品によって「ジェームズ・ボンド=スーツ」のイメージを植えつけたからでした。本作中、ほぼ95%、ボンドは、スーツもしくはタキシードを着て登場します。ここまで徹底的にフォーマルに決めているボンドが見れる作品は、この作品以外には存在しません。60年代に生きた人々は、この作品によって、「スーツ姿で戦う男」の魅力の虜になりました。

    男にとって最も戦闘に向かないファッションが、スーツ・ファッションです。そんなスーツ・ファッションの本質を全く無視して、スタイリッシュさのみを演出したところに、ボンドシリーズの勝利はありました。ボンドガールや秘密兵器、強力な敵と白猫の要素さえも、その演出を光り輝かせるためのアクセサリーのようなものでした。

    今見ると、ショーン・コネリーが着ているスーツは、シルエットが抜群に魅力的というわけでもありません。であるにも関わらず、いつの間にか、スーツを着て戦う男たちに支配される画面に、私たちは何か新鮮なものを見せ付けられているかのような感動を覚えるのです。「楽なものを楽に着る生き方」と「楽ではないがカッコいいものを着る生き方」の違いがそこにはあります。



    ロバート・ブラウンジョンから学ぶファッション美学。

    美とは整った顔立ち以上に、その人の強さ、人柄、個性から生まれるものなんだ。 フランソワ・ナーズ

    アナログとデジタルが絶妙に融合しているオープニング・タイトル。1970年にドラッグにより急死するロバート・ブラウンジョン(『ゴールドフィンガー』の金粉オープニングタイトルも彼の手によるもの)が生み出したポップアート。ここ最近のボンド・ムービーのオープニングが退屈極まりないのは、完全にデジタルに支配された空間がそこにはあるからです。

    私たちは人間です。それは本質的にデジタルに支配された空間に対する居心地の悪さと、倦怠感に満ちていく種族なのです。今、人々が、ファッションに対して感じる居心地の悪さは、ほとんどこの要因によります。この衣服はデジタルに支配されているのか?それとも、アナログの要素が程よくミックスされているのか?

    ファストファッションの店に行くと、一つ気づかされることがあります。そこに集まる人々のファッションのスタンスに多くの共通点が認められることです。間違いなくこれはファッションと呼ぶには値せず、コンビニでおにぎりを買うような行為に過ぎないのだということを。まがりなりしもファッションと名のつくものであるならば、販売員というものが存在し、あるアイテムについての説明もしようものですが、ここにはそういった空間も存在せずに、整理整頓された生活着を思い思いに選んでいる<まさにカゴの中に押し込む>風景が存在するのです。

    もうそろそろ、ファストファッションという呼び方を変えませんか?ファストクローズで良くないですか?ファッションという言葉は、個性を生み出す言葉なのです、そして、ファストクローズから生み出される個性は存在しません。そこにあるのは、インスタやまとめサイトで、この着こなしがこなれているやらイケてるといった陳腐な横並び主義しか存在しません。そもそもファッションから生み出される個性とは、そんな盗み見する類のものから生まれるものではないはずです。



    アンソニー・シンクレア再び。

    この左手の添え方。タキシードにワルサーLP53。

    この作品においてボンドが着たスーツとコートは、『007/ドクター・ノオ』のボンド・スーツを担当したアンソニー・シンクレアにより仕立てられたものでした。現在の金額でいうと総額300万円~350万円の予算をボンドのコスチュームに割いたのでした。ちなみにターンブル&アッサーのシャツは当時の価格で1枚30ドル(今の貨幣価値で言うと大体45000円~60000円)です。

    『去年マリエンバートで』風なセットでのオープニング・シークエンス。

    2代目ボンドガール、ダニエラ・ビアンキとショーン・コネリー。

    ジェームズ・ボンド・スタイル1 ミッドナイトブルー・タキシード
    • オープニングシーン
    • シングル、一つボタンディナージャケット。サテン・スリム・ショールラペル
    • ホワイト・フォーマルシャツ。スプレッドカラー。フロントプリーツ
    • ミッドナイトブルーサテンボウタイ
    • 黒パテントレザー、プレイントウ・オックスフォード




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