クリスチャン・ディオール

ファーレンハイト32 (フランソワ・ドゥマシー/ルイーズ・ターナー)

    香水名:ファーレンハイト32 Fahrenheit 32 オード・トワレ
    ブランド:クリスチャン・ディオール
    調香師:フランソワ・ドゥマシー、ルイーズ・ターナー
    発表年:2007年
    対象性別:男性
    価格:50ml/7,000円






    ★★★★☆ ミンティバニラ

    この香水はまったく気取りがない上に、トロピカルな温かさとミント様の冷たさがみごとにつり合って完璧な仕上がりだ。どこかの暑い地でどんよりと曇った日に漂う静寂で心地よい感じがする。そこに、不幸を背負いながらも明るく生きる一風変わったドキュメンタリー番組の様相が漂う。実際より空を暗くするためにグラデーションフィルターを使って撮影した映像だ。― ルカ・トゥリン

    『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房

    トップノート:オレンジ・ブロッサム
    ミドルノート:ベチバー
    ラストノート:バニラ

    2007年、ジャン=ポール・ゴルチエの「フルール ド・マル」によってフローラル・メンズの幕は切って落とされました。そこで、ディオールも遅れじと、(ウッディの傑作)ファーレンハイトの春ヴァージョンとして、フローラルを強調した香りとして本作を発表しました。オレンジ・ブロッサムをフルール ド・マルはアロマティックに、ファーレンハイト32はオリエンタルに調香しています。フランソワ・ドゥマシールイーズ・ターナーによる調香です。

    ファーレンハイト32とは、華氏32度=摂氏0度という水の凝固点を意味します。きりりとした柑橘系の香りが、時間と共にバニラの優しい甘さに包み込まれていく良い意味で主張しすぎない香りです。シェフ・ナカギリ辺りの一流のショートケーキを口に含んだときのバニラの絶妙な甘さ(つまり甘すぎないという甘さ)を香りにしたような香り。ただし、これからが、価格帯の持つ意味なのですが、このバニラには余韻を感じさせるだけの求心力はなく、つまりは深みのない香り。

    氷は水に、水は氷に変わるような、つまりはフローラルがグルマンに、グルマンがフローラルに変わる瞬間の香りです。



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