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『俺たちに明日はない』4|ウォーレン・ベイティと30年代のクライド・ルック

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作品データ

作品名:俺たちに明日はない Bonnie and Clyde(1967)
監督:アーサー・ペン
衣装:セオドア・ヴァン・ランクル
出演者:フェイ・ダナウェイ/ウォーレン・ベイティ/マイケル・J・ポラード/ジーン・ハックマン

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クライド・ルックに注目!

キザだが、野暮ったいミスマッチなスーツ・スタイルで登場するクライド。

有り合わせのスーツ・スタイル。

そして、まだまだ覚醒されていないボニーのスタイル。

ギャング映画のスターのようにマッチ棒をくわえるボニー。

ほとんどの撮影は、1967年、テキサスで行われた。

クライド・ルック1  オープニング・スーツ
  • 農家出身を示すようなパンツとミスマッチなチョコレート・ブラウンのダブルのウール・ジャケット、1930年代的なワイド・ピーク・ラペル。サイズが合っていず丈も短め
  • ギャングスターに憧れるかのようなピンストライプのパンツ
  • ピンストライプの入ったブラウンのフランネル・ベスト
  • ブラック・レザー・ベルト
  • オフホワイトのストロー・パナマ・ハット、ブラックバンド付き
  • 白黒の抽象柄の幅広ネクタイ(キッパータイ)
  • 白×ブラウン・レザーのウイングチップ・シューズ
  • プレーン・ホワイト・シャツ

ベレー帽とタイト・ニットとミディ・スカートで話題になったボニー・ルックだけでなく、クライド・ルックも大変魅力的です。

1960年代に、男性のファッションが急激に女性化したからこそ、そんな時代の空気を反映して、この作品には、3人の男性が配されます。一人目は30年代モード感覚のオシャレなクライド・バロウ。二人目は60年代的ユニセックスなモス(マイケル・J・ポラード)。そして、3人目は保守的にベーシックなバック・バロウ(ジーン・ハックマン)。まさにこの作品はタイムレスな〝男性の三変化〟を示すカタログなのです。

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完全なギャングスター・スタイル。

どうしてもボニーの格好良さに目が行くほどに、このボニー・ルックはカッコいいです。

浅いVラインのベスト。

健康的なランニング・スタイルにピンストライプのスラックス。

60年代的な細身のネクタイを合わせたりもします。

隙のないトータル・コーデ。カメラテスト。

ニュースボーイ・キャップをかぶる。

ストライプ・シャツ。

セオドア・ヴァン・ランクルのデザイン画。

スタイリングの参考となった実在のギャング、プリティ・ボーイ・フロイド。

クライド・ルック2  ピンストライプ・スーツ
  • 白いピンストライプの入った3ピースのダーク・ブルー・スーツ。スリムなダブル、スリム・ピークラペル、6ボタンのベスト
  • ブラック・レザー・ベルト
  • 白のドレスコットンシャツ。ポケットなし→途中で、ストライプ入りのダークグレイシャツにチェンジ
  • ダーク・ブルー×白のアールデコ模様のシルクタイ、1930~40年代風のショート・ワイド・タイ→途中で、60年代風のナロータイにチェンジ
  • ブラウン×白のバイカラー・キャップ・トウ・オックスフォード・シューズ
  • ブラウン・ウール・ニュースボーイ・キャップ(一回目の銀行強盗)→ブラウン・フェルト・フェドラ(2回目以降)→最終的にはオフホワイト・ストロー・パナマ・ハット、ブラックバンド付きに変わる

テオドア・ヴァン・ランクルは、後に、クライド・スタイルの延長線上にあるともいえる『ブリット』(1968)と『ゴッドファーザーPART2』の衣装も担当しました。特にこのピンストライプのスーツスタイルは、今でもタイムレスなセンスに満ち溢れています。彼女は、このスタイルを1930年代のギャングであるプリティ・ボーイ・フロイド(1904-1934)のファッション・スタイルを参考にして衣装を作りました。

フロイドのアイコニックなスタイルである、フェドーラとチョークストライプのダブルのスーツ・スタイルをそのまま取り入れたのでした。