フェイ・ダナウェイ

フェイ・ダナウェイ2 『俺たちに明日はない』2(2ページ)

    作品名:俺たちに明日はない Bonnie and Clyde(1967)
    監督:アーサー・ペン
    衣装:セオドア・ヴァン・ランクル
    出演者:フェイ・ダナウェイ/ウォーレン・ベイティ/マイケル・J・ポラード/ジーン・ハックマン



    ボニー・パーカー=フェイ・ダナウェイ

    映画の中で、性的不能者として描かれたクライドは、実際は、同性愛者でした。

    この作品の面白さは、ただの愛し合うカップルではないボニーとクライドの関係性にあります。

    ボニー・ルック6 マスタードスーツ・ルック
    • マスタード(からし色)のテーラード・スーツ
    • ホワイトシルクブラウス(ルック5と同じもの)
    • クリーム色のフラットシューズ(ルック1と同じもの)

    実際のボニーとクライドのカップルは、クライドが(映画で描かれたように)性的不能という訳ではなく、同性愛者でした。しかし、製作者でもあるウォーレン・ベイティとしては「同性愛者を演じたくない」ということで、役柄は性的不能者に置き換えられました。

    本当のクライド・バロウ(1909-1934)は、1930年に〝炎熱地獄〟と呼ばれた悪名高きテキサス州イースタムの刑務所農場に収監され、同房者の大柄の受刑者の性的慰み者として同性愛を教え込まれました。170㎝に満たない小柄なクライドは、最終的には、この男の頭蓋骨をパイプで破壊し、人生ではじめての殺人を犯します。この刑務所は、看守による囚人への性的虐待も凄まじく、更に看守自体の人数が少ないので、無法地帯と化していた悪徳の巣窟でした。そして、そんな強烈な日々が、クライドを、女性に対してすっかり不能にしてしまったのです。

    この後クライドは、12年の刑期を短縮させるために、仲間の受刑者に、足の指を斧で切り落としてもらいます。つまりは、この当時の刑務所農場という場所は、性暴力と奴隷のような過酷な肉体労働の渦巻く生き地獄だったのです。そんな中から、這い出してきた青年が、「次に捕まるんだった死を選ぶ!」という考えと共に、13人もの人々を殺害しながら、銀行強盗を各地で犯しつつ、大恐慌時代のアメリカ中西部を駆け抜けたのが、この物語なのです。

    性的にクライドと結ばれないボニー・パーカー(1910-1934)の苛立ちは、実際においてもそうであったと想像させるのですが、フェイ・ダナウェイ扮するボニーの役柄に奥行きを与えています。この作品のボニー・ルックが、60年代の新しいモードとしてもてはやされたのは、ファッションに対して、女優の役柄が見事に共犯関係を成り立たせていたからなのです。

    この作品以降、多くのファッション・モデルとファッション・フォトグラファーがボニーとクライドをモチーフにした写真を撮影しています。しかし、そのうちのどの一枚も、フェイ・ダナウェイのボニー像を凌駕するどころか、足元にも及んでいません。これこそが、映画がファッションに示しうる影響力が、「服の温もり」であり、そこからニュー・ルックは生まれるということであり、ファッション写真にはそれを生み出すことは出来ないということの証明なのです。



    ボニー・ルックのベースには、Vネックがあります。

    実に30年代ぽくない派手な柄のVネック・ブラウス。

    足元にはバイカラーのレースアップのフラットシューズ。

    ほんのB級映画の予定が、映画史に残る名作になったのです。

    ボニー・ルック7 サイケデリック・ブラウス・ルック
    • 白地に赤×ネイビーのサイケデリック・プリントのブラウス
    • ブラックミディスカート
    • 黒のパンティストッキング
    • バイカラーのレースアップのフラットシューズ




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