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『欲望という名の電車』Vol.5|ヴィヴィアン・リーと『巨象の道』

ヴィヴィアン・リー
ヴィヴィアン・リー女を磨くアイコン映画女優
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9年ぶりにアメリカに凱旋するヴィヴィアン・リー

ブランチはなにもかも剥ぎ取られてしまった女で、悲劇的な存在で、私には彼女のことがとてもよくわかる。でも、彼女を演じるとしょっちゅう気が狂いそうになるのよ。

ヴィヴィアン・リー

1950年に映画化が決定され、ブランチ役としてトニー賞主演女優賞を獲得していたジェシカ・タンディではネームバリューがないということで、オリヴィア・デ・ハヴィランドに出演が依頼されました。しかし、夫の助言により、辞退し、ロンドンでブランチを演じていたヴィヴィアンが起用されたのでした。

ロンドンの舞台の時から、ヴィヴィアン・リーは、ブランチを演じるたびに狂わんばかりでした。それでもロンドンにおいては、ローレンス・オリヴィエの古典的な演劇的演出法であったためヴィヴィアンの精神的なダメージはまだ致命的ではありませんでした。

しかし、1950年8月1日、ヴィヴィアン・リーがアメリカに9年ぶりに戻ってきたとき、エリア・カザンとの出会いが、彼女に、けっして二度と引き返すことの出来ない道を歩かせることになったのでした。

1950年8月1日にヴィヴィアン・リーは英国からやって来ました。グレーのシルクドレスに黄色のポルカドット。

本作の監督エリア・カザンと共に。

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1950年のヴィヴィアン・リー

夫ローレンス・オリヴィエも『黄昏』撮影のために8月13日にアメリカにやって来ました。前夫との娘スーザンと共に。

ニューヨークから大陸横断鉄道でハリウッドへ。

実はエリア・カザンこそが、彼女にとっての〝「欲望」という名の電車に乗って、「墓場」という電車に乗り換えて、六つ目の角で降りるように言われたのだけれど・・・「極楽」というところで〟のセリフそのものの「欲望という名の電車」だったのです。

あんなに熱心な女優は初めてだ。もっとよくなるためになら、ガラスの上だってはいずりまわっただろう。彼女は自分でも抑制の効かない何かにぼろぼろにされていた。

エリア・カザン

映画版の出演者の中で彼女だけが、王立演劇学校で学び、シェイクスピア劇で訓練された正統派の女優であったのに対して、マーロン・ブランド以下全ての共演者はメソッド演技法を訓練した俳優たちでした。

真面目なヴィヴィアンは、真摯にメソッド演技法を自分の演技スタイルに取り入れていこうと、撮影が行われていた三ヶ月の間(リハーサルを除くと撮影期間は36日間)毎日早く撮影所につき、『風と共に去りぬ』のときと同じように一番最後に撮影所を出たのでした。

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1953年のヴィヴィアン・リー

「なんてきれいな空!ロケットに乗って飛んで行きたいわ!二度と地上に戻らないロケットに。」ブランチ・ドゥボア

共演者のマーロン・ブランドと共に。

本作撮影終了後、1951年から1952年にかけて、ヴィヴィアン・リーはローレンス・オリヴィエと共に、日替わりで、ジョージ・バーナード・ショーの戯曲『シーザーとクレオパトラ』と、シェイクスピアの戯曲『アントニーとクレオパトラ』において16歳と37歳のクレオパトラを演じるという離れ業をやってのけました。

ニューヨークのブロードウェイでもこの公演を成功させ、その間、1952年3月20日には、本作でアカデミー主演女優賞までも受賞し、はたから見れば、女優としての頂点に再び登りつめたわけなのですが、既にこの時に、彼女の精神状態は限界に達していたのでした。

1953年に、映画『巨象の道』をハリウッドで撮影中に発作を起こし、「私が火事だって叫ばないうちに早くここを出てってちょうだい!」と、『欲望という名の電車』の有名なフレーズを叫びながら、もう誰にも止められない状態になったのでした。

結局、他の映画の撮影に参加していた旧友のデヴィッド・ニーブンが呼ばれ、事態を収拾し、彼女は降板し、エリザベス・テイラーが代役になったのでした(ニーブンは後日「完全に、本当に完全に狂っていた」とコメントしています)。

この瞬間、ヴィヴィアン・リーの映画女優としてのキャリアは終了したと言われています(その後、3作品にだけ出演した)。

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ブランチ・デュボア・ルック1

場違いなティーパーティ・ドレス
  • かぎ網のヘッドドレス
  • オーガンジー生地のふんわりした感じのシアーブラウス
  • シフォンスカート
  • ハイヒールパンプス
  • シフォンショートグローブ
  • キャップと襟に古風なコサージュ
  • シフォン素材のがま口バッグ
  • 真ん中に真珠が収まったハートのネックレス

ロンドンの舞台では、ヴィヴィアン・リーはブランチを演じるためにブルネットの地毛をブリーチしてブロンドにしました。しかし、映画撮影においては、エリア・カザンが(乱れた生活を連想させるような)くたびれたブロンドヘアを希望したため、ブロンドのウィッグを着用することになりました。

ヴィヴィアンはアメリカのヘアドレッサーだと信頼が出来なかったので、ロンドンの舞台専用のウィグメイカーであるスタンリー・ホールにウィッグを作ってもらい空輸したのでした。

「心の底からの恐怖心と哀れみをかきたてる稀に見る演技」ポーリン・ケイル

原作では「ステラより5歳くらい年上の30過ぎ」という設定。

夏のティーパーティーにでも呼ばれたような場違いな格好

撮影当時36歳だったヴィヴィアンは、その美貌を衰えさせるため、老けメイクを施された。

蛾を思わせるような繊細な物腰

ヴィヴィアンの大切な友人デヴィッド・ニーブン。彼が『巨象の道』の撮影中に発狂した彼女をなんとか落ち着かせた。

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ブランチ・デュボア・ルック2

ピンク・シルクガウン
  • ピンクのシルクガウン、アームの部分はシフォン

原作では、赤いサテンのローブと書かれていたのですが、衣裳デザインを担当したルシンダ・バラードは、ブランチの「蛾を思わせるような繊細な物腰」を印象づけるために、繊細な生地のガウンを用意しました。

ヴィヴィアンとブランドで極秘に計画したエリア・カザンのためのバースデイケーキ。

とても繊細でステキなガウンです。

作品データ

作品名:欲望という名の電車 A Streetcar Named Desire (1951)
監督:エリア・カザン
衣装:ルシンダ・バラード
出演者:ヴィヴィアン・リー/マーロン・ブランド/キム・ハンター/カール・マルデン

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