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『風と共に去りぬ』Vol.9|オリヴィア・デ・ハヴィランドという天使

その他の伝説の女優たち
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彼女がいたからこそスカーレットは輝いた。

オリヴィア・デ・ハヴィランド(1916ー2020)。彼女の『風と共に去りぬ』における役割はとても大きなものでした。彼女が演じるメラニー・ハミルトンは、ヴィヴィアン・リー(1913-1967)が演じたスカーレット・オハラとはまさに対極に位置する天使のような女性です。

彼女の存在はまさに、自分勝手で激しい気性のスカーレットの物語に対して、一服の清涼感を生み出したのでした。それほどヴィヴィアン・リーの存在感は、(よい意味で)鑑賞者を疲れさせるものでした。オリヴィアがいたからこそ、ヴィヴィアンの喜怒哀楽に最後まで付き合うことが出来たのでした。

ここで少し、オリヴィア・デ・ハヴィランドの実像について見てみましょう。彼女は1916年7月1日にイギリス人の両親の間に東京で生まれました(父親は東京帝国大学の英語教授、母親はロンドンの王立演劇学校出身の元舞台女優だった)。ちなみに共にアカデミー賞を受賞することになる妹のジョーン・フォンテインも東京生まれです。

1919年に一家は日本を離れてイギリスへと向かうのですが、旅の途中で姉妹が病にかかったためカリフォルニアに滞在することになりました。しかし父親は家族を見捨て、後に結婚することとなる日本人家政婦と共に日本へ戻っていったのでした。

高校時代のオリヴィアは口が達者な、フィールド・ホッケーが得意なスポーツ少女で、さらに演劇部にも所属していました。卒業後、ワーナーブラザーズと契約し、エロール・フリンの相手役として『海賊ブラッド』(1935)に出演し、以後『ロビンフッドの冒険』(1938)他合計8本の映画で共演しました。

そんなコメディ映画中心だったキャリアを変えたいと望んでいた時にやって来たのが、本作のメラニー役だったのでした。

タイムレスに奥さんにしたいキャラクターNo.1のメラニー。

ブラックドレスを着たオリヴィア、1940年。

ハリウッドで自転車に乗るオリヴィア、1938年。

1939年12月、本作のプレミアで、ジェームズ・スチュアートと知り合い約2年3ヶ月交際することになる。

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実際はかなり活発な人オリヴィア・デ・ハヴィランド

このドレスがオリヴィアのファースト・コスチュームです。

ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、マーガレット・ミッチェル、デヴィッド・O・セルズニック、オリヴィア

オリヴィアは、この作品に出演するまで、所属する映画会社ワーナー・ブラザースの意向により、エロール・フリンの相手役(8作品で共演)としてコメディ的な役柄ばかり与えられていました。そんな彼女は常々、もっとシリアスな女優らしい役柄を演じてみたいと願っていました。

そんな時、1936年に出版されてすぐ読んでいた『風と共に去りぬ』の映画化をデヴィッド・O・セルズニックが行うことを聞きつけたのでした。

彼女はメアリー・ハミルトンを演じることを強く望みました。しかし、ワーナーの社長ジャック・ワーナーは彼女のシリアスな芝居には全く興味がありませんでした。そのためオリヴィアは、ワーナーの妻アンをブラウンダービーのビバリーヒルズ店に招待して、アンの協力を勝ち取り、貪欲なまでの行動力により、メアリー役を手にしたのでした。

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メラニー・ハミルトンのファッション1

ラベンダーデイドレス
  • ラベンダー色のサテン地のクリノリンスタイルのシフォンドレス
  • ワインレッド色のサッシュベルト
  • 黒のフィンガーレス・レースグローブ
  • 籐編みのボンネット、ワインレッドのベルト付き

この笑顔の美しさこそがメラニー・ハミルトンなのです。

カラフルなクリノリンドレス

スカーレット以外二の腕を露出していないガーデンパーティの淑女たち。

籐編みのボンネット、ワインレッドのベルト付き。

婚約しているアシュレーとメラニー。

ドレスの全体像が分かる写真。

メラニーらしい柔らかなシルエットです。

ブラックレースのフィンガーレスグローブが印象的です。

ボンネットのベルトとドレスのベルトは同じデザインです。

19世紀のヘアスタイルが神々しさを演出してくれます。

衣装合わせのためのテスト撮影。

ウォルター・プランケットのデザイン画。

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メラニー・ハミルトンのファッション2

ブルータフタドレス
  • 水色のクリノリンスタイルのタフタドレス、フロントに大きなリボン
  • 白のショートグローブ
  • 白のスヌード
  • 白のショール

頭にはスヌード。

潔くスカイブルーで統一したドレス。

胸元の大きなリボンが可愛さと凛とした両極端の個性を同時に打ち出しています。

ウォルター・プランケットとオリヴィア。

サイドから見るととても豪奢なクリノリンスタイル。

性格の良さが全体に滲み出る女優さんです。

陶器で作られたかのような美女。

ウォルター・プランケットのデザイン画。

1862年のファッション誌より。とてもよく似たデザインです。

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メラニー・ハミルトンのファッション3

ブラックドレス
  • ブラックドレス

喪服のメラニーとスカーレット。

南北戦争のチャリティー舞踏会の時に着ていた衣裳。

ブラックドレスのボタンの雰囲気がよく分かる写真。

かなりタイトフィットであることが分かります。

スペイン扇子を広げているスカーレット。

メラニーとスカーレット。二人がコルセットを付けているのがよく分かる写真。

メイクアップ・テスト撮影。

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メラニー・ハミルトンのファッション4

ハンドメイドニットジャケット
  • ハンドメイドのグレーニットジャケット、所々にバーガンディーのディテール
  • ドレスと同じ生地のニット帽
  • 黒い手袋

1863年12月23日にクリスマス休暇を与えられたアシュレーのためにメアリーはスカーレットと共に、クリスマス・ディナーをします。

1861年から1865年にかけて行われた南北戦争は、70万人~90万人以上の死者を出した壮絶な内戦でした。ちなみに戊辰戦争の戦死者は8240人です。

北部の海上封鎖により、南部経済の要である綿花輸出が出来なくなり、南部経済は壊滅的な打撃を受けていました。





1862年のファッション誌より。

作品データ

作品名:風と共に去りぬ Gone with the Wind (1939)
監督:ヴィクター・フレミング
衣装:ウォルター・プランケット
出演者:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/オリヴィア・デ・ハヴィランド/レスリー・ハワード