作品名:007 黄金銃を持つ男 The Man with the Golden Gun(1974)
監督:ガイ・ハミルトン
衣装:エルサ・フェネル
出演者:ロジャー・ムーア/ブリット・エクランド/モード・アダムス/クリストファー・リー
派手なスーツの裏地の流行!
ジェームズ・ボンド・スタイル5 ライトグレースーツ
- シリル・キャッスル
- シルクのライトグレースーツ、薄いブルーグレーと白のストライプ入り、ノッチラペル、2つボタン、フラップポケット、深いダブルベンツ、袖はシングルリンクボタン、派手なライナー
- フロントにダーツの入った同色のトラウザー
- フランク・フォスターのホワイトコットンシャツ、カクテルカフス(ターンバックカフス)
- マットネイビーのタイ
- グッチの黒のレザーベルト
- グッチのブラックのホースビット・ローファー
- ロレックス・サブマリーナー5513
- グッチのスーツケース
1966年2月に〝動機調査の父〟と呼ばれた心理学者アーネスト・ディヒター博士(1907-1991)が提唱したピーコック・レボリューション。それは、ブラック/ネイビー/グレーのファッション一辺倒だったメンズ・ファッションに対して、カラフルなメンズ・ファッションの創造を提案した一つのファッション革命でした。
ディヒターは言い放ちました。「通常、動物は雄のほうが雌よりカラフルです。特に孔雀(ピーコック)は雌よりも雄のほうが華やかです。であるにも関わらず、人間の男性はくすんだ色ばかり着ている。だから、女性のファッションと違い、男性のファッションはいつまでたっても退屈で、アパレル業界もメンズは活性化しません。そんな風潮を今16歳から29歳の若者たちによって断ち切ろうではないか!」
彼の名言のひとつに「バービー人形を女性が愛するのは、こういう風に育ちたいという自分自身の夢がそこに詰め込まれているからだ!それは内面の大切さやら云々を言おうとも、結局は長い脚と大きな胸・・・つまりグラマラスな肉体なんだ」という言葉があります。
そのピーコック革命の終着駅として、お堅いビジネスシーンで使用するスーツのジャケットの裏地をカラフルにするという流行が、この作品によって巻き起こったのでした。
秘密兵器仕様ではない退屈なロレックス
ジェームズ・ボンド・スタイル6 オリーブ・スーツ
- シリル・キャッスル
- ダークオリーブのレッドチョークストライプ・スーツ、ダブル、ピークラペル、6ボタン、深いダブルベンツ、フラップポケット、袖はシングルリンクボタン
- フロントにダーツのある同色のトラウザー
- フランク・フォスターのクリーム×ゴールドのベンガル・ストライプ・シャツ、カクテルカフス(ターンバックカフス)
- ライト・オリーブのシャンタン・シルクタイ
- ブラック・ローファー
- ロレックス・サブマリーナー5513
前作『007 死ぬのは奴らだ』でボンドムービー史上はじめてボンド自身の腕時計が秘密兵器として大活躍(ベゼル部分が強力なカッターになったり、強力な磁力で女性のファスナーを下ろしたりした)したのだが、本作においては、ロレックスの腕時計に秘密兵器は何も仕込まれていない(次回作以降はSEIKOの腕時計にチェンジする)。