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ロジャー・ムーア4 『007 黄金銃を持つ男』2(3ページ)

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド
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白人にも似合わない衣装は存在する。

ブルース・リーの『燃えよドラゴン』旋風の影響で、急遽マーシャルアーツのシーンが脚本に組み込まれた。

ジェームズ・ボンドに武術指導する監督のガイ・ハミルトン。しかし、彼に武道の経験はあったのか?

空手の稽古を受けるロジャー・ムーア。

そして、ロジャー・ムーアが後悔している迷シーン。

ジェームズ・ボンド・スタイル9 空手着
  • 白の空手着
  • 白のフラットシューズ

あまり感心できないシーンだ。力を貸してくれた少年を運河に突き落とすとはね。あの頃、ボンドを演じているときは自分のことで精一杯だったんだ。〝一番近いトイレはどこ?今日のランチは何?またシャツを着替えるのか?〟だけど、身近な貧困や窮状にもっと目を向けるべきだったと後悔してるよ。

ロジャー・ムーア

歴代ボンドの中でも、自他共に認める運動音痴のロジャー・ムーアにとって、1973年末からはじまるドラゴン旋風の中で、急造されたマーシャルアーツ・シーンは苦痛でしかなかったはずです。突然、着慣れない空手着を着せられ、スネークモンキーと戦わされるのだからたまったものじゃありません。その結果出来上がったものは、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』で目の肥えた観衆が、さらに同時期に公開された『ドラゴンへの道』(1975年1月25日日本公開)を見てしまった後となっては、失笑以外の何者も生まれませんでした。特に一礼する相手を蹴り飛ばすシーンは、東洋人から見て、白人の嫌な部分を見せつけられたシーンと言えるでしょう。

ちなみに一人だけ黒い道着の空手使いは、後に『スネークモンキー/蛇拳』(1978)や『ゴルゴ13 九竜の首』(1978)に出演することになるチャン・ヤオリン(陳耀林)でした。

本作でジェームズ・ボンドのイメージを地の底まで低下させたファッションは、空手着でした。白人にも似合わないファッションはあるのです(ただし、アンディ・フグは除外する)。ボンドが空手着を着たことによって、緊張感のないグダグダの世界観にとどめを刺してしまったのでした。

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スカラマンガの遺産相続人=ニック・ナック

ダンディ過ぎるスカラマンガのオールホワイト・ルック。

70年代に流行したレジャースーツ・スタイル。

クリストファー・リーの無国籍感が堪らない。

ニック・ナックの白のグローブは1万ドルで特注された。

スカラマンガ・スタイル3 オールホワイトルック
  • バーマンズ&ネイサンズアレキサンダー・マックイーンがかつて働いていた。ロンドンの舞台用の衣装を扱う。)
  • オフホワイト・リネン・ジャケット、3つボタン、シングルベント、胸ポケットはなし、キャンプカラー、パールボタン、70年代に流行したレジャースーツ風
  • クリーム色のトラウザー、細身でフロントにダーツ
  • ブラックニットシルクタイ
  • クリーム色のシャツ
  • ホワイトシューズ
  • 装飾品は全てゴールド

オールホワイトルックのスカラマンガの圧倒的な存在感。世界最強の殺し屋としての説得力に満ち溢れています。しかし、ただ一点だけ気になるところがあります。なぜニック・ナック=小人を相棒にして、遺産相続人にまでしているのだろうか?そして、最後のニック・ナックのボンド襲撃シーンには、意味があるのだろうか?

なぜならば、スカラマンガが死んで最も嬉しいのはニック・ナックその人のはずなのだから。だって、遺産相続人だろ?