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【ゲラン】ウード コール(ティエリー・ワッサー)

ゲラン
©GUERLAIN
ゲランティエリー ワッサーブランド調香師香りの美学
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ウード コール

原名:Oud Khôl
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:100ml/46,200円、200ml/66,000円

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ゲラン帝国の三連星・暗黒のウード

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中東で何世紀にもわたって焚かれてきたお香<BAKHOOR(バフール)>の輝くばかりのアロマを捉えたいと思いました。

ティエリー・ワッサー

2005年、パリ・シャンゼリゼ通り68番地のゲラン本店のリニューアルオープンを記念して発売された「ラール エ ラ マティエール(芸術と貴重なる生の素材)」コレクション。

この〝世界で最も貴重な原料を使ってゲランのパッションを表現して欲しい〟というコンセプトにより生み出されるコレクションは2021年9月1日に、二つの新作「サンタル パオロッサ」と「ローズ シェリー」と共に、リニューアルされました。

ボトル・デザインは一新され、「究極のゲラン帝国の香りのコレクション」としての明確なる位置づけを世に示すことにしたのでした。

そして、リニューアル一周年を記念して2022年9月より中東で発表されたのが、ウードの三作品【三連星】です。そのうちのひとつ「ウード コール」は、ゲランの五代目専属調香師ティエリー・ワッサーにより調香されました。

日本では、2022年10月19日より新宿伊勢丹サロン ド パルファン先行で限定発売され、2023年1月2日よりレギュラー販売される予定です。

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ゲラン帝国のウード戦記

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ウード(アガーウッド)の調達は、想像以上に大変な仕事です。なぜなら、貴重だという割には、東南アジアのどこにでもある木材だからです。つまり品種と品質が本当にピンキリなのです。

たとえば、産地ひとつとってもアッサム地方とマレーシアでは気候が違うので明らかに品質が違っていて、濃いものもあれば、動物的なものもあります。さらに蒸留するノウハウが非常に重要なのです。

ティエリー・ワッサー

ゲランのウードの歴史は、西欧社会に向けてはじめて生み出され、壮絶なる討ち死にを遂げた、幻のウード「M7」(イヴ・サンローラン、2002年)の10年後に発売された「ローズ ナクレ デュ デゼール」「ソンジュ ダン ボワ デテ」からはじまりました。

そして、2014年に本格的な中東の市場に向けた高級ライン『レ アブソリュ ドリエント』を発表し、同ラインから、2014年に「サンタル ロイヤル」(ソフト・ヴァージョン)、2017年に「ウード エッセンシャル」(究極ヴァージョン)が生み出されたのでした。すべてはティエリー・ワッサーにより調香されました。

時は流れ、2021年に久しぶりのウードの香りが「ラール エ ラ マティエール」から誕生しました。「サンタル パオロッサ」です。この香りはデルフィーヌ・ジェルクにより調香されました。

インドのアッサム州に隣接するバングラデシュの森林から採取されたウードが使用されています。レザーと、ほのかにアニマリックなトーンを持つエレガントなウッディの香りが特徴です。

全ての「ラール エ ラ マティエール」の香りのコンセプトは、ある貴重な1つの素材に絞り、それをいまだかつてない芸術的な側面から、新たな光を当て、素材の深みやコントラストを強調することにより生み出されています。

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黒い色を嗅ぎ分ける=黒に黒をレイヤードする〝極限のウード〟

アニッシュ・カプーア

アニッシュ・カプーア

「この香りを色にたとえるなら、アニッシュ・カプーアの作品に見られる漆黒の闇です。」と答えるティエリーは、<ウードの中のウード>最上級のウードを作るために、中東の女性がアイシャドーなどに使うコール(墨)を重ね塗りしていくようにウードの濃密さと深みを生み出していきました。

ちなみにアニッシュ・カプーア(1954-)が芸術作品に使用している黒とは、2014年7月に発表された、可視光の最大99.965%を吸収する世界一黒い物質ベンタブラックです(2019年まで世界一でした)。カプーアは芸術用途の独占使用権を獲得しています。

黒よりも黒い=暗黒のウードは、酸味の効いたウードと光沢感のあるアルデハイドの奇想天外さからはじまります(ゲランは滅多にアルデハイドを使用しません)。それはまさに〝香りのイリュージョン〟とでも呼びたくなるほど、肌だけでなく、心の底まで黒く塗られていくような感覚に包みこまれてゆきます。

紙に乗せるよりも、肌に乗せるよりも、心に乗せたくなる香りです。喪服のような黒、リトルブラックドレスのような黒、サンローランのスモーキングのような黒、ローリング・ストーンズの黒、つまりは〝モードな黒〟を感じ取ることが出来るのです。

すぐに〝黒い色を嗅ぎ分ける=黒に黒をレイヤード〟するように、アルデハイドによりソーピィーなスモーキーさを引き立たせたウードとレザーが交わり、神秘的なバフールと化してゆくのです。

やがて、光を吸収する〝暗黒のウード〟に、苦いヒカリゴケと甘いプラリネが重ね合わせられます。それはまるでコールを瞼に乗せた澄んだ冷たい流し目の、その奥底できらめく悪徳の栄えのように、ほしいままなる享楽の予兆を素肌に残して去ってゆくのです。

素肌と紙の上ではこれほど違ってくるのかと感嘆するほど、紙の上では死神を感じさせ、素肌の上では、堕天使を感じさせる香りです。

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香水データ

香水名:ウード コール
原名:Oud Khôl
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2022年
対象性別:女性
価格:100ml/46,200円、200ml/66,000円


トップノート:アガーウッド(ウード)、レザー、アルデハイド、プラリネ、モス

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