オリヴィア・デ・ハヴィランド、アカデミー主演女優賞二度受賞する。
オリヴィア・デ・ハヴィランド(1916ー2020)は、1943年8月にワーナー・ブラザーズを相手取り、出演拒否に対する契約期間延長処置への訴訟を起こし、勝訴しました。このことにより俳優仲間たちから敬意と賞賛の的を得ることになりました。
オリヴィアと不仲だった妹のジョーン・フォンテインさえも「ハリウッドはオリヴィアに途方もなく大きな借りがあります」とコメントしているほどです。しかし、その後2年間に渡り、オリヴィアはワーナーの妨害により映画界から干されることになりました。
オリヴィアという女性は、メラニーの役柄と同じように芯の強い人でした。結果的に、彼女は、組織的な人間の悪意に打ち勝ち、『遥かなる我が子』(1946)と『女相続人』(1949)で、アカデミー主演女優賞を2度も受賞したのでした(そして、フランス人と結婚し、1950年代以降はパリで生活することになりました)。
一方、ジョーン・フォンテインも『断崖』(1941)でアカデミー主演女優賞を受賞しており、アカデミー主演賞を獲得した唯一の兄弟姉妹になりました。
映画というものは、ファッションのスタイリングにとても似ていると言われます。それは一つだけが目立っても駄目であり、何よりも調和=バランスが取れていないと駄目ということ。『風と共に去りぬ』は、全てにおいて完璧なまでに調和が取れていました。
そして、そのキーとなったのは間違いなく、オリヴィア・デ・ハヴィランドが生み出す「安らぎ」とヴィヴィアン・リーが生み出す「激しさ」の見事なバランスだったのです。
メラニー・ハミルトンのファッション5
クリスマスドレス
- ダークネイビーのスクエアネックラインのディナークリノリンドレス
- バーガンディーのショール
メラニー・ハミルトンのファッション6
エプロンドレス
- ラベンダー色のクリノリンドレス
- ダークブラウンのエプロン
- 首元にブローチ
私はメラニーのとても深い女性的な資質を、犠牲的な精神として悲劇的に描かれないように、何とかして生かすべきだと思った。だから私は彼女の役を解釈したいと思った。彼女は、愛情深く、思いやりのある人でした。そして何よりも重要なのは、彼女が幸せな人だったということです。
オリヴィア・デ・ハヴィランド
メラニー・ハミルトンのファッション7
出産祝いの時のドレス
- ブラックドレス
- ブラックヘッドドレスにパープルのリボン
メラニー・ハミルトンのファッション8
パーティードレス
- パープルサテンドレス、クリノリンスタイル
クラーク・ゲーブルの涙
1930年代の偉大なるハリウッド・スターであるクラーク・ゲーブル(1901-1960)にとって、当時、男性が涙を流すシーンを撮影するということは、大きな抵抗感がありました。
スカーレットを階段から突き落としてしまい(実際には突き落としてはいないが)涙を流して後悔するレット・バトラーのシーンを上手く演じることが出来なかったので、演出に不満を感じたヴィヴィアンとフレミングは言い争いになり、フレミングはセットから出て行ってしまったのでした(疲労困憊だったので2週間の休暇が与えられた)。
その時、オリヴィアは、クラークに「涙はあなたの弱さではなく、男としての強さから生み出されたものなのよ」と励ましてくれたのでした。
作品データ
作品名:風と共に去りぬ Gone with the Wind (1939)
監督:ヴィクター・フレミング
衣装:ウォルター・プランケット
出演者:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/オリヴィア・デ・ハヴィランド/レスリー・ハワード
- 【風と共に去りぬ】スカーレット・オハラという女の一生
- 『風と共に去りぬ』Vol.1|ヴィヴィアン・リーとスカーレット・オハラ
- 『風と共に去りぬ』Vol.2|スカーレット・オハラ役のオーディション
- 『風と共に去りぬ』Vol.3|スカーレットのウエディングドレスと喪服
- 『風と共に去りぬ』Vol.4|スカーレットの夕陽の中での下剋上宣言
- 『風と共に去りぬ』Vol.5|コロンを飲むヴィヴィアン・リー
- 『風と共に去りぬ』Vol.6|ヴィヴィアン・リーとウォルター・プランケット
- 『風と共に去りぬ』Vol.7|スカーレットの伝説のワインレッドガウン
- 『風と共に去りぬ』Vol.8|アカデミー主演女優賞を獲得したヴィヴィアン・リー
- 『風と共に去りぬ』Vol.9|オリヴィア・デ・ハヴィランドという天使
- 『風と共に去りぬ』Vol.10|オリヴィア・デ・ハヴィランドとアカデミー賞