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【ランコム】マニフィーク(ジャック・キャヴァリエ/オリヴィエ・クレスプ)

ランコム
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マニフィーク

【特別監修】カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様

原名:Magnifique
種類:オード・パルファム
ブランド:ランコム
調香師:ジャック・キャヴァリエオリヴィエ・クレスプ
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:50ml /9,450円、75ml/12,600円

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〝本物の媚薬〟を販売してはいけません。

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トレゾア」は人知れず内なる美を持った女性のイメージですが、「マニフィーク」は、他者の視線を意識し、積極的に自分を表現しようとする女性のイメージ。

オディール・ルジョラ(ランコム社長)

2008年10月にランコムの久しぶりの新作香水として発売されたのが「マニフィーク」でした。フランス語で「素晴らしく、壮麗な」を意味する〝女性のための森林〟の香りは、ジャック・キャヴァリエオリヴィエ・クレスプにより調香されました。

ミューズとして『プラダを着た悪魔』(2006)『ゲット スマート』(2008)『レイチェルの結婚』(2008)で脂が乗っていたアメリカの映画女優のアン・ハサウェイ(1982-)が起用され、ピーター・リンドバーグにより撮影されました。

古代ギリシャの円柱を連想させる情熱的な赤ボトルが特徴です。ナガルモタ=シプリオール(育毛ハーブとして知られる)が使用するトレンドを先駆けた香りです。キャヴァリエとクレスプがインドでこの植物に遭遇したのがきっかけとされています。

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絶世の美女があなたに乗り移るように香る

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香りは服や髪型と同様に自分を表現する手段。人は香りで自分が何者であり、何者になりたいかを語りたいものよ。「マニフィーク」をつけた瞬間に感じたのは、今までに使ったどの香水よりも官能的でフレッシュだということ。

アン・ハサウェイ

あらゆる女性の中に眠る情熱を目覚めさせる香り「マニフィーク」は、黄金のサフランシャワーが降り注ぐようにしてはじまります。そこにナガルモタ=シプリオールとキャラウェイ、クミン、ベチバーが注ぎ込まれ、フルーツのような煌めきを生み出してゆきます(シプリオールとは、煮詰めたフルーツ、スモーキーなタバコ、薬っぽい咳止めシロップの間のような香りです)。

それはまるで頽廃の美と叛逆の情熱を謳って、新しい壮麗たる美の戦慄を創造した絶世の美女があなたに乗り移るように、挑発するように香りを広がらせてゆくのです。

温かいバラ色の吐息と、白魚のようなしなやかな指の艶やかに甘いジャスミンの愛撫を感じながら、花の蜜で作ったジャムのようなメイローズと酔わせる赤ワインのようなブルガリアン・ローズが、恋の衝動を駆り立てるように、ドラマティックに花々を咲き誇らせ、スパイシーな香りが花の舞いへと移り変わり、身も心も囚われていくのです。

やがて、あなたに乗り移った絶世の美女が、深紅のイブニングドレスのスリットから美しい脚を進め、一心同体になるように、クリーミーなサンダルウッドとテキサスシダーが甘いローズとジャスミンとひとまとめになり、うっとりするような温かな〝紅い官能〟で心まで酔わせていくのです。

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情熱の炎がすべてを焼き付くす!

パラス・アテネ/グスタフ・クリムト 1898年

まさにイメージは、グスタフ・クリムトの『パラス・アテネ』のゴールドを、深紅変換した知性溢れる女性戦士。

男性を導く救世主。ハイヒールパンプスを履き、ファッションは靴の色に合わせた2トーンで、決して髪を巻かない女性にこそ相応しい香り。大切な仕事に取り掛かる前に、このボトルを目にするだけで力がみなぎります。

しかし、この香りは、空前の大失敗作になりました。この失敗により、新社長に41歳のスー・Y・ナビ(1968-、1993年にランコムに入社、現コティのCEO)が就任し、5年間の在職期間中に「ラヴィエベル」で、傾きつつあったランコムを見事復興させたのでした。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「マニフィーク」を「石けん様 オレンジ」と呼び、「「個性豊かに香りたつスパイシーなサフラン、エキゾチックなナグルモタウッドのスモーキーな抱擁」なのだそう。こんな宣伝文句、誰が考えたのか。さしあたり、黄色のリゾットが思い浮かぶのだから、おもしろいには違いない。」

「ナグルモタはインドの植物。ランコムとフィルメニッヒが組んで香水をつくり上げたときは、いつでもプレスリリースで目新しい天然香料を発表して祝うらしい。「ポエム」のときはブルーポピーで、今回はナグルモタ。これはみごとなスモーキーシプレのはずだが、ほとんど嗅ぎ分けることができない。この色あせたパワー不足の調合、予算が足りなかったのか。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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「マニフィークは魔性の香りですよ」


カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様が、一時愛用していた香りであるということを知り、スペシャリスト様の言葉を頂きました。以後の文章は、スペシャリスト様の言葉が生み出す熱量を損なわないように、そのまままるごと掲載させていただきます。
マニフィークは魔性の香りですよ。一言で言うと〝媚薬〟のような香りです。
思い出したのですが、私ランコムの「マニフィーク」もジャックが調香したとか知らずに愛用していたんです。当時ランコム自体にハマっていたからというのもあるのですが、ブルガリの「オムニア」もそうですがサフランの香りがアクセントになっている香りが好きなのかもと意識したのが「マニフィーク」からでした。
そして数年経過してメゾン・フランシス・クルジャンの「バカラ ルージュ」に出会い『再会できた!』と思えたんです。「バカラ ルージュ」もそうでしたが、「マニフィーク」も〝酔わせる香り〟だと感じ購入したのです。まるで頭の中を支配してくれるような香りです。
後、私が好きな香りの多くは、「バカラ ルージュ」、ブルガリの「オ パフメ オーテルージュ」、エルメスの「オー ドゥ ルバーブ エカルラット」と、赤いボトルに弱いのかもしれません。
この解釈があっているか分かりませんが、私には「マニフィーク」は〝カルメン〟のイメージなんです。情熱的な愛を感じながらもミステリアスでそんなところに心が惹かれていく。ただ美しいだけでなく心の強さ(女性的な強さ)や、簡単に触れられないような危うささえ感じてしまう程の香り。そんなところが〝媚薬〟のように感じさせるのでしょうか。
私はこの香りが当時の日本人女性にウケなかったのは、早すぎたからだと思います。今でこそ女性向けのフレグランスでサフランをアクセントにした香りや、魔性性を感じられるほどの魅惑的な媚薬のような香りであっても受け入れられますが、当時としては個性が強すぎたのだと思います。
まさに当時の日本の香水トレンドには「クロエ」やマーク・ジェイコブスの「デイジー」など〝カワイイ〟が台頭していた時代でしたから。
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香水データ

香水名:マニフィーク
原名:Magnifique
種類:オード・パルファム
ブランド:ランコム
調香師:ジャック・キャヴァリエオリヴィエ・クレスプ
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:50ml /9,450円、75ml/12,600円


トップノート:サフラン
ミドルノート:メイローズ、ブルガリアン・ローズ、ジャスミン・サンバック
ラストノート:ベチバー、ナガルモタ、サンダルウッド