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マーク・ジェイコブス

【マーク ジェイコブス】デイジー(アルベルト・モリヤス)

マーク・ジェイコブス
©MARC JACOBS
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デイジー

原名:Daisy
種類:オード・トワレ
ブランド:マーク・ジェイコブス
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/11,880円、100ml/16,500円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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マーク・ジェイコブス×村上隆×アルベルト・モリヤス

ハーパース・バザー、2007年9月号、撮影:ジャン=ポール・グード

“Marc On Top” マーク・ジェイコブス×ナオミ・キャンベル

1986年に、マーク・ジェイコブス(1963-)は、オンワード樫山の支援により自身のブランドを創業しました。1996年に独立し、1997年よりルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクター(1997-2013)となります。

最初に、マークがコティと提携し、自社フレグランスを発表したのは2001年の「マーク・ジェイコブス」からでした。以後発表された「ブラッシュ」などの香りは、全てミニマルなボトル・デザインでした。

そんなマークにとって、2003年の村上隆とのコラボレーションが、『Kawaii』デザインに目覚める一大転機となりました。かくして2007年に、史上初めてボトルに花びらをつけたフレグランス「デイジー」が発売されることになるのでした。

その名の由来は、マークが愛するF・スコット・フィッツジェラルドの小説『華麗なるギャツビー』の登場人物であるデイジー・ブキャナンでした。

村上隆がデザインしたデイジー(ひなぎく)がボトル・キャップに取り付けられた、お花畑を連想させる爽やかなフローラル・ウッディーの香りは、アルベルト・モリヤスにより調香されました。

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セックスを伴わない初恋の甘いくちづけのような香り

©MARC JACOBS

©MARC JACOBS

私は、「デイジー」という香りによって、ほとんどの人が持っている精神である、のびのびとした新鮮な無邪気さを表現したかったのです。

マーク・ジェイコブス

甘酸っぱいフルーティーなストロベリー(ジューシーではない)と、弾けるようなグレープフルーツの煌きを、そよ風に乗ってやって来た、朝露を含んだ、刈りたての草のようなバイオレットリーフが包み込むようにしてこの香りははじまります。どこか黄色に熟す前の緑色のフレッシュバナナのような魅力的なバイオレットの香り立ちです。

白いワンピースを着た少女が、はやく大人になりたい抑えきれない期待感と恐怖感を両天秤の上に乗せたような葛藤が、スパークリングするグリーンとフルーツのコントラストにより表現されています。

この香りからは確かに太陽に照らされている感覚を得ることができます。まばゆいばかりの明るさの中、天真爛漫のようでありながら、きちんと躾された礼儀正しい普段はバレエを習っている少女が大人の階段を駆け上るような軽やかさがそこにはあります。

やがて、ガーデニア、バイオレット、ジャスミンといった色々な花々の甘い香りが、ほとんど香りを放たないデイジー=雛菊が、草原の中で、可憐に白い花びらを開花させるように淡く広がってゆきます。

パウダリー感に支配された草原の花々の香りは、バイオレットを中心に、バニラとムスクのクリーミーな甘さにより浮遊感を与えられながらも、ブロンズウッドにより肌の上に爽やかな余韻を残してくれるのです。

デイジーの花の香り。それはフローラルが本来進んでいく、官能性を排除した軽やかな甘い果実と花の無邪気さを演出してくれる香りなのです。それはセックスを伴わない初恋の甘いくちづけのような香りです。

シャネルの「チャンス オー タンドゥル」やドルチェ&ガッバーナの「ライトブルー」ともよく比較される香りです。

10代後半から20代の女性に圧倒的な人気を誇るデザイン・デザインではあるのですが、キャップ部分の花飾りの重さにより、その部分を持ってしまい、香水瓶が落下するという〝世界一割れた香水瓶〟としても有名な香りです。それはまさにハプニングを呼ぶ香水ともいえます。

この香水の大成功により、コティ社のマーク・ジェイコブスのフレグランス事業の売上が3倍になりました。

2017年には、デイジー発売10周年を記念して限定ボトル「ホワイト エディション」が発売されました。香り自体はそのままにボトルをホワイト&ゴールドにアップデートしたものでした。キャンペーン・モデルに、スーパーモデル・シンディ・クロフォードの娘で当時15歳のカイア・ガーバーが起用されました。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ベリーと白い花々が香るこのフルーティフローラルは悪くはないが、もっとおもしろいものでなかったのが残念。キャップについている、村上隆がデザインした白いゴムのデイジーを握りしめると、喜びが満ちてくるから。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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年代順で見る「デイジー」の素敵な広告の世界観

2007年

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2010年

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2014年

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2017年

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2019年

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香水データ

香水名:デイジー
原名:Daisy
種類:オード・トワレ
ブランド:マーク・ジェイコブス
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2007年
対象性別:女性
価格:50ml/11,880円、100ml/16,500円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:バイオレット・リーフ、ルビーグレープフルーツ、ストロベリー
ミドルノート:ガーデニア、バイオレット、ジャスミン
ラストノート:ムスク、ブロンズウッド、バニラ