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『ファイト・クラブ』Vol.1|ブラッド・ピットとオリバー・ピープルズ

グッチ
グッチ ファッション・ブランド ブラッド・ピット 女性目線の男磨き
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永遠のファッション・アイコン=ブラッド・ピットの誕生

男という生き物は、結婚して1年も経つと、さらにオシャレになる人と、老化する人の2種類に分かれます。そして、男性の価値は、30代になってからよく分かります。

それは、男性は20代のうちはまだオシャレにも気を配れますが、30代になるとそれ以外に集中するべきことがたくさん生まれ、夫にぶら下がって生活しているセレブ妻のような〝自分が大好きタイム〟も持てないからなのです。

30代からの男性の装いに、奥様や恋人の影響が強く出るのはそのためです。オシャレに興味のない奥様だと、ダンナは見る見る老化していきます。流行=ファストファッションの感覚で、そのファスト・ファッションの中でもセールに引っかかる類のものを購入し、夫はそんな激ダサ・コーデに身を包む羽目になるのです。衣服において安い商品の中から更に安いものを選ぶという行為がどれほど愚かであるかを説明する必要はないはずです。

一方、オシャレな奥様は、いい意味でダンナにも自分を引き立たせるアクセサリーになってもらいたいので、ダンナのオシャレを応援するようになり、ダンナは見る見る生気に溢れ、男の色気を育むようになります。

そんな男性のためのバイブルと呼ぶべき映画作品が、この『ファイトクラブ』なのです。この作品がきっかけとなり、ブラッド・ピットは、21世紀のファッション・アイコンへの道を独走することになったのです。

そして、撮影当時30代半ばだった彼自身も、グウィネス・パルトローという最上級のセンスを持つ女優との出会いにより、そのファッションセンスを開花させたのでした(撮影当時は、既に二人は破局していました)。

45歳以上の男性にこの作品が理解できないとまでは言わないけど、多くの人が「はあ?」という反応を示しても不思議じゃない。

エドワード・ノートン

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格好をつけない男って、何か物足りなくないですか?

男子が、女子の太ももや胸の谷間に弱いように、女子は、男子のココに弱いのです!襟のボタンをあざとく片方外しているウザさが、女心をくすぐります。更に前裾をだらしなく内に折り込んでいる所もポイント高しです。

脂肪吸引した脂肪を集めて石鹸を作ることで生計を立てているブラッド・ピット(1963-)扮するタイラー・ダーデン。彼はエドワード・ノートン(1969-)扮する「僕」が生み出した、最高にイケテる男の理想像としての幻覚です。

そんな理想の男を演じるという設定が、ブラッド・ピットに映画史上類稀なるあざとさを伴った「悪のファッション理論」を体現させる機会を生み出したのです。

絶対にジェームス・ディーンに影響を受けているであろう、やる気のなさを装いつつも、ポーズをばっちり決めまくるという、ブラッド・ピット・スタイルの源流が確立されたのも本作からです。

オープニング・ファッションから男のVゾーンをさりげに見せたりするのですが、これはまさにパンチラ女子並みに露骨なお誘いオーラが出ています。女子で例えるならば、クラブのカウンターチェアに腰掛けて、ターゲットの男にそっぽを向き、横顔を見せながら、足を組んでパンチラばっちし、みたいなノリが上記の写真のブラッドです。

タイラー・ダーデン スタイル1

シアサッカー・スーツ
  • 白×グレー・ブロックス・ストライプのシアサッカー・スーツ
  • イエロー・ストライプ・ポロシャツ、ヘソ丈
  • ブルー×イエローベースのギリシア・ローマ観光促進柄のネクタイ
  • オリバー・ピープルズのOP-523→サンセット

ブラッド・ピットが愛用するオリバー・ピープルズのサングラスが初登場するのはこの作品からでした。この作品には3種類のオリバーが登場します(OP-523、サンセット、エアロ54)。

擦れ違いざまのタイラー初登場シーンのサングラスは、オリバー・ピープルズのOP-523。

ちなみに石鹸を売るシーンでは、同じスーツにオリバー・ピープルズのサンセット。

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タイラー・ダーデン スタイル2

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同じバッグを持つ男と隣り合わせで座る「僕」。

どこにいようが、おれのトランクはベッドの下からいつでも取り出せるようになっている。いつでも出て行ける。いつ叩き出されてもいいようになっている。

『路上』 ジャック・ケルアック(1951年)

「知ってるか?ガソリンと冷凍オレンジ・ジュースでナパーム弾を作れる」

「前を通るよ。ケツを向けようか?それとも息子を向けようか?」

なんて嘯くタイラー。「僕」との初対面のシーンで、すべての観客はタイラー・ダーデンの虜になることでしょう。

興味深いのが、以下の「僕」のセリフです。「スーツケースに何でも入っていた。カルバン・クラインのシャツ。DKNYの靴。アルマーニAXのタイ」。このブランドの並びは、決して高級品ではなく、広告に影響されやすい「僕」のセンスの悪さを揶揄しているのです。

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タイラー・ダーデン スタイル2

ワインレッド・ジャケット
  • ワインレッドに白のステッチが所々に入ったジャケット、ノッチラペル、ベントレス
  • 赤×グレーのハウンド・トゥース・チェック・トラウザー
  • 白黒のオオハシがプリントされたディスコ・スタイル・カラーのボタンアップシャツ
  • グッチビット・ローファー
  • オリバー・ピープルズのエアロ54


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「分かったよ頭がいいな」「でもそれで何か得したか?」

自分自身を捕らえて鎖につなぎ止めているもの、社会の罠からの逃避、そして何事に対しても恐れを持たないこと。「ファイト・クラブ」は我々の文化への愚弄と虫ずが走るほど嫌いなのにむりやり押し付けられたものへの応答なんだ。

作品が公開されれば道徳云々という論争に確実に捕まるだろう。さぞかしコテンパンに叩かれるだろうね。でも、芸術が人を楽しませるには時代を反映していなくてはならないんだ。我々はもうあどけない時代に生きているわけでは決してない。50年代とは違うからね。

今回は僕の従来のイメージ、つまり僕にとってのお荷物が功を奏した。現時点では、観客はスーパーマーケットに行ってどの棚に行けば僕を見つけることができるか分かった気でいる。僕もすごくそれを感じるんだ。そこで、この作品ではその期待感を完璧に裏切った。そのことにすごく開放感を感じているよ。

ブラッド・ピット

ラストレッドのレザージャケットに合わせて、かなりの上級のコーディネイトを見せるオマエが言うか?というのがこの言葉「お前は〝物〟に支配されている」。そして、タイラー・ダーデンはかく語りき「〝いつか死ぬ〟ってことを恐れずに心に叩き込め!すべてを失ってこそ、真の自由が得られる」

そんな貴方がなんでそこまで物欲にまみれたファッショニスタなんだ!という疑問の針が瞬間で振り切るほどに、この作品のブラッド・ピットは今見てもとびきり格好良いのです。

チェ・ゲバラと毛沢東をミックスしたかのような革命家オーラに包まれています。退屈な日常に、生気を失っていた男たちが、ファイト・クラブで殴り合い、血と青いあざによって、生気を取り戻すという逆説。でもこれって、昔の共産主義革命と同じ流れなんじゃないでしょうか?

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タイラー・ダーデン スタイル3

アイコニック・レザージャケット
  • マイケル・カプランがLA最大級のヴィンテージレザーショップ「Decades」で見つけたラストレッド(錆赤)のシングルレザージャケット
  • 白黒のオオハシがプリントされたディスコ・スタイル・カラーのボタンアップシャツ
  • ダークネイビー・トラックパンツ
  • ホッジマンのレイクストリーム・ウェーディング・ブーツ
  • オリバー・ピープルズのOP-523

この映画のブラッド・ピットには、ロックスターのカリスマ性(フレディ・マーキュリーやジム・モリソン)に相通じるものがあります。そして、この男密度の高さこそが、本作に対して女子を敬遠させる要素にもなっています。

しかし、この作品こそが、21世紀の女性にとって最も重要な作品のひとつなのです。つまり男子のバイブルとも言えるこの映画のスタイリングは、夫や彼氏、恋人候補へのアドバイス、そして、自分の中に取り入れるメンズの要素にもフル活用できるのです。

このレザージャケットで大きく3パターンのコーディネートを見せてくれます。

痺れるほど、魅力的なこのトラックパンツの使い方。

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ラストレッドのレザージャケット。煙草はなぜか逆持ち。この作品から眉毛カットする男子が急増した。

作品データ

作品名:ファイト・クラブ Fight Club (1999)
監督:デヴィッド・フィンチャー
衣装:マイケル・キャプラン
出演者:エドワード・ノートン/ブラッド・ピット/ヘレナ・ボナム=カーター/ミート・ローフ/ジャレッド・レト

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