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その他の男優たち

『007 消されたライセンス』Vol.4|ディオールオムの象徴=ベニチオ・デル・トロ

その他の男優たち
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映画デビュー2作目の初々しいベニチオ・デル・トロ様

2000年に『トラフィック』でアカデミー助演男優賞。そして、2008年に『チェ 28歳の革命 / 39歳 別れの手紙』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞することになるベニチオ・デル・トロ(1967-)が、21歳のときに本作に殺し屋ダリオ役で出演しています。

それは、現在に至るまでの史上最年少のボンドムービーの悪党です。

ベニチオ・デル・トロ様の最大の魅力はその目にある。

タリサ・ソトとアカプルコのプールにて。

タイムレスな〝若さの魅力〟

この作品以降、デル・トロ様はゆっくりと他の俳優が行わないような役柄を演じながら、頂点へと登りつめていくのです。中でも、ジョニー・デップと競演した『ラスベガスをやっつけろ』(1998)の悪徳弁護士役は圧巻です。

というかそもそもデル・トロ様の場合、両親と祖父が弁護士で、元々は弁護士になろうとしていた人なので、この太った弁護士役はある意味すごいです。

世界中のあらゆるドラッグにどっぷりと浸かる二人の男の物語。

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約10年前に現れていた〝ディオールオム〟の原型

この作品の中でひとりだけ超越した存在感を放つ男がいた。

彼のファッションは、明らかに時代を先取りしていた。

80年代後半の野暮ったいシルエットに支配されているこの作品の中で、ただ一人だけ、タイムレスなモード感に包まれている男が登場します。それは、まるで、パリコレのランウェイから抜け出してきたかのようなモード感に包まれています。

そう、我等がデル・トロ様が演じた殺し屋ダリオです。『007 消されたライセンス』のファッション的観点における価値は、ここに尽きるのです。

50年代のジェームズ・ディーンのスタイルを、時代を先取りしたカラーバランスとシルエットにより、21世紀に大流行するモード感へと昇華させているこのスタイルは、まさにこの作品の約10年後にあたる2001年にエディ・スリマンディオールオムが生み出していくスタイルそのものでした。

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ダリオ・スタイル1

ブラック×ホワイトタンク
  • 闘牛士のようなブラックジャケット
  • 白のタンクトップ
  • 細身のブラックパンツ
  • エディ・スリマンが好みそうなショートブーツ

ボスのサンチェスを演じるロバート・デヴィと。

このジャケットのシルエットが秀逸です。

所々にスナップボタンがついています。

このまま21世紀のパリコレのランウェイを歩けそうな抜群のモード感。

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ダリオ・スタイル2

ブラック×レッド
  • 闘牛士のようなブラックジャケット
  • 赤のドレスシャツ
  • 細身のブラックパンツ
  • エディ・スリマンが好みそうなショートブーツ

パメラを襲撃するバーのシーンのファッション。

撮影中は、完全に危ない人だったとキャリー・ローウェルは回想しています。

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フランツ・サンチェスのファッション

最も印象的なサンチェスのドレスシャツ。

そして、このピンクシャツ。

いかにドラッグディーラーなピンクシャツ。

このピンクシャツは、ヨウジヤマモトのホワイトシャツをピンクに染め直したものです。

ちなみにロバート・デヴィ(1953-)は、南米系ではなく、イタリア系のアメリカ人です。

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ダリオ・スタイル3

ブラック×ブルー
  • 闘牛士のようなブラックジャケット
  • ブルー・ポロシャツ
  • 細身のブラックパンツ
  • エディ・スリマンが好みそうなショートブーツ

最後の戦いのシーンでデル・トロ様は、本当にダルトンの指をナイフで切ってしまうのでした。

よく見ると、ポロシャツです。

そして、このブーツ!彼こそが、ディオールオムの元ネタなのです。

作品データ

作品名:007 消されたライセンス Licence to Kill(1989)
監督:ジョン・グレン
衣装:ジョディ・リン・ティレン
出演者:ティモシー・ダルトン/キャリー・ローウェル/タリサ・ソト/ベニチオ・デル・トロ/ロバート・デヴィ