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『007 消されたライセンス』Vol.2|ネクタイを締めないボンド=ティモシー・ダルトン

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド
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ノータイに徹するジェームズ・ボンドの違和感

ジェームズ・ボンドの美学。それはノータイで済ますことが出来るシーンでもネクタイを着用するところにあります。ネクタイとは、女性にとってのコルセットであり、男性の男性らしさがより突出するアイテムなのです。

日本のサラリーマン達がノータイで闊歩するようになったことにより生まれたものは何でしょうか?それは、元々お洒落なスーツの着こなしが出来なかった平均的日本人のメンズファッションの完全なる崩壊です。

ファスト・ファッションの興隆とは、元々サイズ感やファッションの美学に無縁だった人々の間で交わされる片言の英会話のようなものなのです。(ファッションIQの高い)本物に対峙した時の効力はゼロに等しいが、(本物と遭遇することのない)偽者の間では満足出来る次元の着こなしが成立しているということなのです。

この作品のボンド・スタイルは、そういった偽者のボンド・スタイルがてんこ盛りです。まさにそういう意味においても、この作品は、「消された(メンズ・アイコンの)ライセンス」なのです。

このシーンは、ネクタイ着用であるべきだった。

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ジェームズ・ボンド・スタイル2

チャコールグレー・スーツ
  • テーラー:ステファノ・ リッチ
  • トロピカルウールのチャコールグレースーツ、パワーショルダー、低い位置の2つボタン、ノーベント
  • 黒のレザーベルト
  • 胸ポケットのある水色のピンポイントシャツ
  • 黒のスリッポン

このヘアスタイルも良くなかった。

真ん中は、プロデューサーのアルバート・ブロッコリ、右が、監督のジョン・グレン。

80年代スタイルの締まりのなさが悪い方向に出ています。

スーツのシルエットも最悪です。

まさに「ダーク・ボンド」。

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ジェームズ・ボンド・スタイル3

アンコンジャケット
  • 袖が長いネイビーのシャツジャケット、コットン、4つボタン、ヨーク、シングルボタンの袖口
  • ホワイトカジュアルシャツ、両胸にフラップポケット
  • カーキのチノパン
  • ブラウン・レザーベルト
  • ネイビーのキャンバス地のエスパドリーユ

急激にオジサン化する四代目ボンド・ファッション。

何よりもネイビーのジャケットにカーキパンツという最悪なバランス。

ヘミングウェイ・ハウスにて。

このスタイルの全身が分かるショット。

パメラとのバーでの乱闘シーンでもこのジャケットを着ています。

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ジェームズ・ボンド・スタイル4

麻薬ディーラー・ルック
  • ゆったりしたシルエットのネイビーシャツ、ヨークとつながっている二つのフラップポケット
  • ネイビーパンツ
  • ブラックレザーベルト
  • ブラックスリッポン
  • ロレックスのサブマリーナーRef.16800/168000

この作品のジェームズ・ボンドのファッションが軽いのは当時人気TVドラマだった『マイアミ・バイス』(1984-1989)のファーストシーズンの衣裳を担当したジョディ・リン・ティレンが衣裳デザインを担当しているからでしょう。このファッションなど、そのまんま『マイアミバイス』の世界観そのものです。

ジェームズ・ボンドというよりもドラッグ・ディーラー。

パメラの秘書スーツはとても美しい。

作品データ

作品名:007 消されたライセンス Licence to Kill(1989)
監督:ジョン・グレン
衣装:ジョディ・リン・ティレン
出演者:ティモシー・ダルトン/キャリー・ローウェル/タリサ・ソト/ベニチオ・デル・トロ/ロバート・デヴィ