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【007 消されたライセンス】復讐のために戦うジェームズ・ボンド

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンドボンド ガール
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【007 消されたライセンス】

Licence to Kill 四代目ジェームズ・ボンド=ティモシー・ダルトン(1946-)の二作目にして最終作となる本作以降、ボンドムービーは6年間作られなくなります。ボンドムービーにしてはかなり血生臭い描写が特徴であり、敵役も、世界を混乱に陥れる犯罪者ではなく、麻薬帝国を築いたドラッグ・ディーラーです。

当初、この作品は、ボンドが一度も訪れたことのない国で撮影したいと考えられていました。そして、中国で撮影される予定となったのですが、結果的にはメキシコシティで撮影され、舞台は仮想の国となってしまい、これがボンドムービーが生むファンタジーに水を差してしまいました。

黒澤明の『用心棒』からインスパイアされたという脚本もお世辞にも良い出来ではなく、ボンドがウェットスーツ姿で陸海空と大活躍する中盤のアクションと、クライマックスのタンクローリー・チェイスは圧巻なのですが、ボンドムービーというよりは、80年代末の『リーサル・ウェポン』や『ダイ・ハード』を意識した大味な作品になってしまいました。

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あらすじ

物語は、MI6(英国秘密情報部)のジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)が、親友であるCIAのフェリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン、『007 死ぬのは奴らだ』にも同役で出演)の結婚式に出席するためアメリカ・フロリダのキーウェストにいるところからはじまります。

結婚式当日に、DEA(麻薬取締局)から長年追い続けていた南米の麻薬王フランツ・サンチェス(ロバート・デヴィ)がすぐ近くに密入国しているとの知らせを聞き、ボンドはライターと共にヘリコプターで現場に飛びます。大追跡劇の末、サンチャスを捕らえ、ヘリからスカイダイブして、ギリギリ、結婚式に二人は間に合います。

ライターとその妻デラ(プリシラ・バーンズ)から仲人に対する感謝の印としてライターを渡されるボンドは、翌日、MI6の仕事のため空港に向かいます。しかし、サンチャスは買収したDEA捜査官の手助けを借り護送車から逃亡し、部下のミルトン・クレストに指示し、ライターへの報復を開始します。

殺し屋ダリオ(ベニチオ・デル・トロ)によって捕らえられたライターは片足をサメに食われ半殺しの目に合い、さらに彼の妻は強姦され殺害されてしまいます。空港でこのことを知ったボンドは、引き返し、復讐を誓うのでした。早速行動開始し、裏切り者のDEA捜査官を殺害するボンド。しかし、翌日渡米したMから、報復を止め、別の任務に就くように命じられます。

ボンドはライターへの復讐を優先し、〝殺しのライセンス〟を返上し、逃亡するのでした。クレストのクルーザーに侵入し、サンチェスの大金を奪うボンドは、ライターの協力者で唯一の生存者である元米軍パイロットのパメラ・ブービエ(キャリー・ローウェル)と手を組みます。

サンチェスが幅を利かせる南米の某国に舞台は変わりました。ここでは、大統領さえもサンチェスに買収されています。

ボンドは、パメラと共に某国に入国し、サンチェスから奪った大金を使いサンチェスのカジノで大勝ちして、わざとサンチェスの目を引きます。そして、サンチェスと初対面し、ボンドは、失業中だから自分の諜報部員としての能力を役立ててほしいと売り込むのでした。

パメラとホテルに戻ると、そこにはMI6からは休暇中のQ(デスモンド・リュウェリン)が恐らくMの粋な計らいにより協力してくれることになります。いよいよサンチェス暗殺を企てようとするボンドに謎の忍者部隊が襲い掛かります。なんと、彼らはサンチェスを追い、取引相手を装い潜入していた香港の麻薬取締局だったのです。

しかし、サンチェスの暗殺部隊により、忍者部隊は全員殺害され、囚われていたボンドは救出されるのでした。サンチェスの大豪邸で目覚めたボンドは、彼に信頼される一方で、サンチェスの愛人ルペ(タリサ・ソト)とも親交を深め、実は彼女がサンチェスを恨んでいることを知るのでした。

計を巡らし、ボンドは、ルペの協力により、サンチェス邸から抜け出し、彼から奪った大金を、パメラの協力により、クレストのクルーザーにそっと戻します。ちょうど、ボンドに大金を奪われたと説明していた矢先に、その大金が見つかってしまい、クレストはサンチェスに惨殺されるのでした。

速やかにサンチェス邸に戻ったボンドは、サンチェスの信頼を勝ち取り、コカイン精製工場の存在をついに目の当たりにすることになりました。しかし、そこには、以前、パメラと自分を顔を知っていた殺し屋ダリオと遭遇するのでした。さぁ、どうするボンド!ライターの復讐を果たし、サンチェスの麻薬帝国を滅ぼすことは出来るのだろうか!?

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ファッション・シーンに与えた影響


四代目ジェームズ・ボンド=ティモシー・ダルトンの最後になった本作がファッション・シーンに与えた影響は二つあります。そして、そのうちのひとつはかなり重要なポイントであり、それでいて指摘されたことのないポイントだと思います。

  1. ディオールオムを10年先取りしていたダリオ(ベニチオ・デル・トロ)のファッション
  2. スーパーモデル時代を反映した二人のボンドガール

この作品のジェームズ・ボンドの生きていた時代は、ヒーロー達がスーツを着なくなった80年代後半という時代であり、そのことがボンドのワードローブにも如実に反映されています。そして、どこか『マイアミ・バイス』を見ているようなファッションセンスに包まれた作品とも言えます。

つまり、この作品ほど、ボンドらしくないファッションのボンドはいなかった作品と言えます。

作品データ

作品名:007 消されたライセンス Licence to Kill(1989)
監督:ジョン・グレン
衣装:ジョディ・リン・ティレン
出演者:ティモシー・ダルトン/キャリー・ローウェル/タリサ・ソト/ベニチオ・デル・トロ/ロバート・デヴィ