ボンドはその時代のトレンドを映す鏡
この作品で、三代目ジェームズ・ボンド=ロジャー・ムーアが勇退することになるのですが、スーツ以上に目立った衣装が、2種類のレザーブルゾンです。
80年代は、一般的にレザーブルゾンが民主化された時代なのですが、そういった空気をいち早くスタイリングに取り入れているのがボンドムービーらしいです。しかも、このスタイリングは、現代の50代から60代の男性にもピタリとはまるスタイリングなのです。
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レザーブルゾンを着て、消防車の梯子の上でサンフランシスコの夜を満喫する充実感たっぷりなJB。
ジェームズ・ボンド スタイル8
ブルーブレザー
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- ブルーブレザー、2ボタン、真鍮のボタン、サイドベンツ
- ベージュのウールギャバジントラウザー
- フランク・フォスターのホワイトシャツ
- パープルのクラバット
- セイコー 6923-8080
『007 私を愛したスパイ』からはじまるセイコーとのタイアップも本作で最後になりました。本作では3種類のセイコーが登場します。
ジェームズ・ボンド スタイル9
ハッキングジャケット
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- ブラウンツイードのハッキングジャケット(乗馬用ジャケット)、ハッキングポケットなし、チケットポケット、センターベント、ノッチラペル
- フランク・フォスターのエクリュシャツ
- 黄色のウールニットタイ
- ダークブラウンのジョッパーズ(乗馬パンツ)
- ブラックレザー乗馬ブーツ
- ベージュのリブ編みニットとブラウンレザーのグローブ
- ブラウンベルベットの乗馬ヘルメット
- ロレックスデイトジャスト
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クリストファー・ウォーケンの乗馬ルックとの見事な対比。
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唐突にロレックスデイトジャストが登場します。
ジェームズ・ボンド スタイル10
スエードブルゾン
- グレーのスエードブルゾン、フロントジップ、セットインスリーブ、エポレット
- フランク・フォスターの白×グレーストライプのボタンダウンシャツ
- グレーのフランネルパンツ
- ブラックレザー・ローファー
このブルゾンと後に登場するブルゾンは、インディ・ジョーンズの有名なレザーブルゾンを作ったレザー・コンセショネアズに特注したものでした。特にこのブルゾンがかなりの渋さです。ブルネロ・クチネリやキートンあたりが出してそうな最上級感に包まれています。
さて、このボンドがサンフランシスコに上陸するシーンで、フィッシャーマンズ・ワーフにてCIAの工作員とコンタクトするのですが、このシーンの群衆の中に、前作『007 オクトパシー』のボンドガールであるモード・アダムスがちらっと登場しています。
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グレーのレザーブルゾンは大人の男性を引き立たせる最上級アイテムです。
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バック・シルエットも素晴らしい。
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本作におけるベスト・コスチュームです。
ジェームズ・ボンド スタイル11
ウールギャバジンスーツ
- テーラー:ダグラス・ヘイワード
- タンウールギャバジンスーツ、2ボタン、サイドベンツ、ノッチラペル
- フランク・フォスターのクリーム色のシャツ
- 青と白のストライプの入ったブロンズタイ
- バーガンディレザーローファー
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ムーアは本作の撮影前に大々的な美容整形手術をしました。
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ボンドはこの作品の中で実弾を一発も撃たない。
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バーガンディーのローファー。
ジェームズ・ボンド スタイル12
レザーブルゾン
- ダークブラウンの革ジャン、フロントジップ、スタンドアップカラー
- フランク・フォスターの水色のボタンダウンシャツ
- ダークブラウンのフランネルパンツ
- ブラックレザーベルト
- ブラックレザーローファー
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大人の男性にこそレザーブルゾンは似合います。
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どうしても父と娘。もしくはおじいちゃんと孫娘感が拭えない。
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レザーブルゾンはバックシルエットが重要です。
ジェームズ・ボンド スタイル13
ゾーリン社ブルゾン
- ブルーボンバージャケット、フロントジップ、リブ付きスタンドカラー
- 他の衣装は、レザーブルゾンと同じ
ロジャー・ムーアの有終の美は、サンフランシスコの金門橋(ゴールデンゲートブリッジ)の死闘により見事に飾られました。これこそ、ボンドムービー最大の魅力なのです。
これを日本でたとえるならば、レインボーブリッジでの死闘だろうか?いいや、京都タワーの頂上のほうが絵になるだろう。ジェームズ・ボンドの魅力とは、美女を見れば、ベッドインすることしか頭になく、高いところを見ると絶対に上がりたがる所に、彼の真骨頂があるのです。
これは、世界中のメンズに向けてのロジャー・ムーアの遺言なのです。「バカになれ!目の前にある一番高い場所に、常に上がりたいと望むバカになれ!」という・・・
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グレース・ジョーンズが本当に目立っていた作品。
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金門橋の上でのスペクタクル!ヒッチコックならまずはタニアのパンプスを落下させただろう。
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ちなみにこの作品は、ロジャー・ムーア自身にとってワーストの作品だそうだ。
作品データ
作品名:007 美しき獲物たち A View to a Kill (1985)
監督:ジョン・グレン
衣装:エマ・ ポーテウス
出演者:ロジャー・ムーア/クリストファー・ウォーケン/グレイス・ジョーンズ/タニア・ロバーツ/アリソン・ドゥーディ
- 【007 美しき獲物たち】三代目ボンド=ロジャー・ムーアの最終作
- 『007 美しき獲物たち』Vol.1|ロジャー・ムーアとデュラン・デュラン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.2|ロジャー・ムーアとルイ・ヴィトン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.3|ロジャー・ムーアとレザーブルゾン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.4|クリストファー・ウォーケンとカルティエ
- 『007 美しき獲物たち』Vol.5|クリストファー・ウォーケンとドルフ・ラングレン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.6|グレイス・ジョーンズとアズディン・アライア
- 『007 美しき獲物たち』Vol.7|グレイス・ジョーンズとジャン=ポール・グード
- 『007 美しき獲物たち』Vol.8|タニア・ロバーツという悲劇のボンドガール
- 『007 美しき獲物たち』Vol.9|タニア・ロバーツの80年代プレイメイトルック
- 『007 美しき獲物たち』Vol.10|アリソン・ドゥーディと取貝麻也子