オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン4 『ローマの休日』4(3ページ)

    作品名:ローマの休日 Roman Holiday (1953)
    監督:ウィリアム・ワイラー
    衣装:イーディス・ヘッド
    出演者:オードリー・ヘプバーン/グレゴリー・ペック/エディ・アルバート


    オードリー・ヘプバーンとイーディス・ヘッド

    衣裳の打ち合わせをするオードリー・ヘプバーンとイーディス・ヘッド。

    衣裳の打ち合わせをするオードリー・ヘプバーンとイーディス・ヘッド。オードリーがファッション誌を片手にアイデアを出し、イーディスがデザイン画を書き、形にしていく。1953年。

    イーディスのスケッチに合わせて衣装合わせしていくオードリー。

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    メキシコで休日中のオードリー。アン王女の休日スタイルは、彼女のプライベートの装いをアレンジしたものでした。1953年。

    マレーネ・ディートリッヒと同じように、オードリーの仮縫いも十分ではすまず、むしろ十時間かかった。彼女は自分をどう見せたいか、どうすればいちばんよく見えるかを知っていたが、それでいて尊大な態度を示したりうるさく注文をつけたりはしなかった。あのかわいらしさと優しさを見せられると、一人娘を校内ダンス・パーティに送り出す母親のような気分にさせられたものだ。

    イーディス・ヘッド

    「普通の女の子よりも一歩だけ先に行く」これがイーディス・ヘッドの衣装哲学でした。ローブ・デコルテとティアラで気品溢れる若きプリンセスの姿を演出した後に、寄宿学校の娘たちが着るようなネグリジェを着せて等身大の女性の姿を挟み込みました。この事により、3段階変化で、アン王女が一日限りの女の子アーニャに変身を遂げる姿が、私たちの目に違和感なく入ってきます。

    イーディスが一番苦心した衣装が、その第3段階の衣装であるアーニャの衣装でした。衣装イメージの決め手となったのは、オードリー・ヘプバーンのアドバイスだったのです。彼女の普段着を参考に、王女であるならば、最新の流行には無頓着なはずだという発想で生み出したファッションが、アーニャ・ルックでした。

    プリンセス・アン・ルック6 アーニャ・スタイル
    • コットンのプレーン・ブラウス。チョークストライプ。ボウタイ付き
    • ブラウンのサーキュラースカート
    • オードリーのアドバイスで取り入れたブラウンの太ベルト
    • 白のショートグローブ
    • ローヒールパンプス

    普段からオードリーは、男性用のオーバーサイズの白いシャツに、黒系のフレアスカートを合わせ、細いウエストを太いベルトで強調するスタイルが好きでした。そして、バレリーナ時代から愛用していたバレエシューズを合わせていたのです。当時フラットシューズを履くヒロインは映画では珍しかったのですが、アン王女はアーニャとして、堅苦しいパンプスからフラットシューズに履き替える選択をします。



    『ローマの休日』はスタイリングの教科書。

    オードリーの普段の装いがあまりにもチャーミングなため取り入れたというのが、このアーニャ・ルック。

    今ではドレス姿ではないプリンセスイメージと言えば、このスタイルが定番となりました。

    鉢合わせする二人。ブラウスのスリーブの膨らみが上質なコットンであることを教えてくれます。

    ロングヘアーに、襟元までぴっちり留めたボウタイ付きのブラウス。

    ロングヘアーに、襟元までしっかり留めたボウタイ付きのブラウス。太ベルトも印象的。

    アン王女からアーニャへと変わる姿。この作品の素晴らしさは、アーニャの衣装は、パジャマを除くとこのコットン・ブラウス×サーキュラースカート一組なのです(最後のジョーのアパートでのガウン姿の時点では、精神的にアン王女に戻っている)。しかし、映画の中で、衣装が3回ほど変わっている錯覚を覚えるのです。

    女性の心の変化をファッションに託す。そんなファッションの本質が、散りばめられています。素材がペラペラの、大量生産された、サイズ感も合っていないユルいシルエットの衣服では決して表現できないファッションの儀式。それがスタイリングです。プチプラコーデの根底に潜むのは、全部が全部そうだとは言いませんが、静止画と画像加工による見栄っ張り精神だと私は考えます。

    そのような繊細さに欠ける見掛け倒しの「愛着を生まない衣服」では、決して出来ないことを、ここで披露してくれる訳なのです。同じブラウスがちょっとした工夫によって、アーニャの全体の雰囲気まで変えていきます。スタイリング=着こなしとはどういうことかを教えてくれるのが、この作品の魅力でもあるのです。


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