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オードリー・ヘプバーン

『パリで一緒に』Vol.2|マレーネ・ディートリッヒとトニー・カーティス

オードリー・ヘプバーン
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オードリーとマレーネ・ディートリッヒ

白のベントレーから颯爽と現れるマレーネ・ディートリッヒ(1901-1992)。クリスチャン・ディオールのブティックに入るまでの僅か〝15秒の出演〟です。

当時60代前半とは思えない美貌とスタイル。それは逆の意味で言えば、僅か15秒間だから、かけることの出来た魔法のようなもの。ここにファッションが生み出すことの出来る魔法の素晴らしさを、15秒で知ることが出来ます。その答えは〝あまり見せすぎないこと〟

ちなみに、本編においてはカットされたのですが、実際に、マレーネがディオールのブティックの中を歩き、白のオコジョのコートを選ぶシーンも撮影されていました。そして、そのコートを本当にギャランティとして手に入れたのでした。

足から登場する女優=マレーネ・ディートリッヒ。

全身ディオールで、ディオールの本店に入ってゆきます。

下の二枚の写真は、1962年7月のタオルミーナ・フィルム・フェスティバルのオードリー・ヘプバーンとマレーネ・ディートリッヒです。オードリーのハットはジバンシィ、ドレスはイヴ・サンローラン、ベルトはグッチ、ジュエリーはブルガリでした。


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マレーネ・ディートリッヒのファッション

マレーネ・ディートリッヒ、ディオールに帰る
  • 全てクリスチャン・ディオール
  • 白の2ピース・サファリ風スカートスーツ
  • 白のロンググローブ
  • 白のソフト帽
  • 白と黒のバイカラーのハイヒールパンプス

1960年代のクリスチャン・ディオールの本店が登場します。

撮影当時60代になったばかりのマレーネ。

サファリ風スカートスーツ

撮影中のオフショット。

笑顔が似合わない女優マレーネ。

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『エッフェル塔を盗んだ娘』ドレス

素敵なフルーツカラーのジバンシィドレス。

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このドレスが本作において、オードリー・ヘプバーンが着用している時間がもっとも長いドレスです。そして、オードリーが果実のように生き生きとしているドレスです。

30代~40代の女性が着用するにあたり、アースカラーは無難なチョイスなのですが、フルーツカラーはとても難しいチョイスとなります。しかし、難しいカラーを自分のものにした場合、それはとてつもない魅力を放つことになるというのも、ファッションの持つ魔性の力なのです。

この作品のジバンシィとオードリーはその領域に挑戦したのでした。

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ガブリエル・シンプソンのファッション2

フルーツカラードレス
  • デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
  • オレンジカラーのノースリーブ・デイドレス、フルウィングカラー、シルクリネン、バックにドレープ、サッシュベルト、サーキュラースカート
  • エクリュカラーのキトンヒールパンプス、レネ・マンシーニ61SS
  • 麦藁帽子。帽子のブリムの大きさと襟の小ささのアンバランスなバランス。ジャン・バルテ
  • グッチのエクリュカラーのレザーバッグ。ゴールドチェーンストラップ。1961年に購入した私物。

首が長くて姿勢の良いオードリーにはストローハットがよく似合います。

独特なネックライン。

バレエで鍛え上げたストイックな肉体美がよくわかります。

お互いのタバコに火をつけ合うオシャレなシーン。

オードリーのとても美しい腰掛けの姿勢。

パリには、ストロー(麦わら)アイテムがよくマッチします。

背中のドレープがとても美しいデイドレス。

この角度こそ、オードリーが魅力的な角度の一つです。

昼顔』でも登場したブローニュの森にある老舗レストラン〝ラ・グランドカスカード〟のシーンにて。

何やら打ち合わせしているオードリー・ヘプバーンとウィリアム・ホールデン。

オードリーが銃を持つ姿は、意外に少ない。

アップにしていたヘアスタイルを、ストレートに。

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トニー・カーティスとウィリアム・ホールデン

トニー・カーティス(1925-2010)が本作の救いでした。

中年男性を最も輝かせるダークスーツの着こなしの手本。

麗しのサブリナ』から二人は約10年ぶりの共演でした。

監督にリチャード・クワインが選ばれた理由は、『スージー・ウォンの世界』(1960)で、ウイリアム・ホールデン(1918-1981)と相性が良く、当時から深刻なアルコール中毒だったホールデンをコントロール出来るという意味も込めての起用でした。

しかし、この頃のホールデンは制御不能な状態であり、朝にセットに現れた時から既にアルコールに溺れていました(更にオードリーに対する叶わぬ恋心が、彼のアルコール中毒を深刻化させました)。

結果的に、重度のアルコール中毒で倒れたホールデンは、一週間のアルコール依存症の治療を受けることになり、このままでは製作中止となる事態を救うためのつなぎの俳優として、『手錠のまゝの脱獄』(1958)『お熱いのがお好き』(1959)『スパルタカス』(1960)のトニー・カーティス(1925-2010)が急遽ノー・クレジットで出演したのでした。

そして、結果的には、彼の存在がこの作品に、ユーモアを生み出し、パリを舞台にしても、ハリウッド臭さの抜けきらないホールデンとはまた違った洗練された空気を作品に吹き込んでくれたのでした。

作品データ

作品名:パリで一緒に Paris When It Sizzles (1964)
監督:リチャード・クワイン
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ
出演者:オードリー・ヘプバーン/ウィリアム・ホールデン/トニー・カーティス/マレーネ・ディートリッヒ