グランヴィル
原名:Granville
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:125ml/34,020円
クリスチャン・ディオールの聖地
私にとって最も大切な子供時代の思い出。それは大切な我が実家「レ リュンブ」での優しく素晴らしい日々です。私のスタイルのほとんどすべては、その場所と建築の影響を受けています。グレーの小石が混ぜられた、柔らかなピンク色の漆喰、その2色は私のお気に入りの色合いであり続けています。
クリスチャン・ディオール
ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」といった3種類の香りが発売され、2009年に「アンブル ニュイ」が発売されました。そして、2010年に一挙7種類の香りが発売され、「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」が廃盤となり全9種類となりました。
そのうちのひとつ「グランヴィル」は、ムッシュ・ディオールが生まれ育ったグランヴィルを吹き抜ける風のような香りです。ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。
ムッシュ・ディオールのミューズ・母マドレーネの思い出
グランヴィルとは、クリスチャン・ディオールが1905年1月21日午前1時半に生まれた地であり、フランス北西部のノルマンディ地方にある〝北のモナコ〟と呼ばれる、英仏海峡に面した、上流階級の海水浴のリゾート地です。
化学肥料工場を経営する父親の下、裕福な一族の子息として生まれたクリスチャンは、5歳の時、パリに移住するまで、かの地に住んでいました。
彼が2歳のときに父が母のために購入した「レ リュンブ=風向きの薔薇」と呼ばれる、断崖の上に建つ、広大なノルマンディの海が一望できる邸宅に移ってから、母マドレーヌは、松林で海風から守られた英国式庭園とローズガーデンを作ることをライフワークとしました。そしてクリスチャン少年もそんな母のお手伝いをするのが至福の喜びでした。
以後、夏のヴァカンスには別荘と化した生家を毎年訪れるのが一家の慣習となるのでした。そして、1914年8月1日にフランスが第一次世界大戦に参戦したとき、再びこの生家に一家は、1918年11月まで疎開することになるのでした。
1930年、弟のベルナールが精神病院に入院することになり(1910年生まれの彼は1960年に精神病院で死んだ)、母マドレーヌはその心労により、一年後に僅か51歳で敗血症で死去したのでした。ディオールの生家は、父親が破産したこともあり、1932年に一家の手を離れ、1997年にクリスチャン・ディオール美術館となるのでした。
ムッシュ・ディオールは、そんな季節の花が咲き誇るグランヴィアの庭園を母と散歩した思い出を、終生語ることが多く、彼の創造の大切なインスパイアの源でした。
フレッシュなリモンチェッロと松の木の香り
敷地内には松の木が豊富にあるので、爽快でとてもフレッシュな香りも求めていました。 突風、絶えず岩に打ち寄せる波…グランヴィルの自然は決して穏やかとは言えません。 グランヴィルを吹き抜ける風のような香りです。
フランソワ・ドゥマシー
ムッシュ・ディオールのモード感を知らせるパリの香りでも、創作の安らぎのひとときを過ごすラ コル ノワールの香りでもない、26歳のときに病死した母マドレーヌへの永遠の想いを詰め込んだ、グランヴィルの香りは、ジューシーな甘酸っぱいリモンチェッロの煌めきとハーブの輝き(ローズマリーとタイム、ジュニパーベリーなどの贅沢なハーブミックス)の透き通るようなハーモニーからはじまります。
すぐにユーカリのようなパインツリーの香りがすべてを包み込んでゆきます。この香りの非常に興味深い点は、母と一緒に幼き日に作り上げた庭園の花々の香りを登場させずに、シトラスとハーブと木の香りで、グランヴィアを表現しているところにあります。
最初から最後まで心地良いレモンとハーブと木のフレッシュな新緑の感覚に満たされながら、温かいサンダルウッドとペッパーのスパイシーでクリーミーな余韻に心の中まで満たされていくのです。
香水データ
香水名:グランヴィル
原名:Granville
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:125ml/34,020円
トップノート:レモン、ローズマリー、タイム
ミドルノート:パインツリー
ラストノート:ペッパー、サンダルウッド