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【ディオール】ミリー ラ フォレ(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
クリスチャン・ディオール
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ミリー ラ フォレ

原名:Milly-la-Foret
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:40ml/12,420円、125ml/28,080円、250ml/39,420円

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2010年に、全9種類となった「ラ コレクシオン プリヴェ」

©DIORBEAUTY

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庭には一面に芝生が植えてあり、その一角に小川が流れていて、色とりどりの花が咲き乱れる様子は、まるでユートピアを見るようでした。

ミリー ラ フォレの近くにあるディオールの別荘「ムーラン デュ クードレ」について

ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」といった3種類の香りが発売され、2009年に「アンブル ニュイ」が発売されました。そして、2010年に一挙7種類の香りが発売され、「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」が廃盤となり全9種類となりました。

そのうちのひとつ「ミリー ラ フォレ」は、ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。

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1948年から1950年のムッシュ・ディオールの別荘。

ムーラン デュ クードレのディオール、1950年。©Christian Dior

トランプで遊ぶムーラン デュ クードレのディオール ©Christian Dior

1947年2月12日に、42歳のクリスチャン・ディオールは、ファースト・コレクションで大成功を収めました。しかし、ニュールックの成功は、同時に保守的な人々の怒りも呼び起こしました。実際に、ニュールックを着た若い女性が、激怒した主婦たちにより服を引きちぎられそうになったりもしました。

ムッシュ・ディオールは、最初のコレクションの後、そのような熱狂から距離を置く為、パリから離れた場所に、田舎の隠れ家を手に入れたいと望みました。そして、ある日、ミリー ラ フォレの近くに15世紀に建てられた古い水車小屋「ムーラン デュ クードレ」を見つけ、1948年に購入したのでした。

すぐ近くに小川が流れるこの場所に、白と淡いグレーが使用された小さなお家を建て、週末には、愛犬のボビーと共に、庭園の手入れをすることを至福の喜びとしました。

完全にプライベートな小さな別荘には、ディオールのフレグランスのために沢山の素晴らしいイラストを描いたイラストレーターのルネ・グリュオーや、ディオールのために素敵なシューズをデザインしたロジェ・ヴィヴィエ、ジャン・コクトー、マレーネ・ディートリッヒ、ジャン・マレーなどごく少数のゲスト以外を招くことはありませんでした。

やがて、より大きな国際的な成功を収めるディオールは、パリからもっと遠い壮大な別荘地を求め、1950年10月25日にグラースからそれほど遠くないところにあるラコルノワールを購入し、かの地を手放しました。

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〝かぎりなく透明に近いディオール〟

©Christian Dior

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ムッシュ・ディオールがニュールックで成功を収め、その後購入したはじめての別荘である古い水車小屋「ムーラン デュ クードレ」は、農家風の素朴なカントリーハウスでした。ムッシュの大親友であるジャン・コクトーが住むミリー ラ フォレの近くにあるのですが、このミリー ラ フォレという、ムッシュの洗練されたパリのモードとは対極に位置する古き良きフランス農村の典型からインスパイアされ生み出されたのがこの香りです。

ムッシュが喧騒のパリのモード界を離れ、週末に自然を静観し、自然のうちに内在する世界を想見するように、この香りは、おおよそ華やかさや可憐さとは無縁の、静謐なる〝禅問答〟や〝生け花〟のような、心に向かい染み渡る香りが広がります。

シャネルを思わせるソーピィーなアルデハイドとムスクとマンダリンの静かなる爆発からこの香りははじまります。ちなみにフランソワ・ドゥマシーの前職はシャネルの調香師でした。

すぐに淡いグリーンと心に染み入るミンティなハーブのメランコリーな香りがムスクの風に乗り広がってゆきます。蝶が舞い、小鳥は囀り、犬は軽やかに飛び跳ねる。そんな情景が浮かんできます。

そして、パウダリーなアイリスとジャスミン、オレンジ・ブロッサムを穏やかに見守るように包み込んでゆくのです。さらにクリーミーなサンダルウッドも加わり、すべてがひとまとめになり、古き良きフランスの田舎の庭園の情景を思わせる、穏やかな清潔感に満たされてゆきます。

1947年2月のニュールックにより、アメリカから爆発的な人気を獲得し、パリモードの寵児となったディオールが、1950年代に〝パリモードの象徴〟になるまでの間の、2~3年間をボトルに閉じ込めた香り。自分のライフワークのスタート地点に立った人が、本格的な活動をはじめるために〝心を清める水〟それが「ミリー ラ フォレ」。

今、この香りが、MCDから再販され、中谷美紀様のような女優様が、「私をいつも静かに見守ってくれる守護神」ですという言葉を添えられたなら、日本中の女性(特に普段香水に抵抗感のある層を中心に)は、〝かぎりなく透明に近いディオール〟だと、ルラボの「ガイアック10」並みの熱狂を生み出す気がします。

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香水データ

香水名:ミリー ラ フォレ
原名:Milly-la-Foret
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:40ml/12,420円、125ml/28,080円、250ml/39,420円


トップノート:マンダリン・オレンジ
ミドルノート:アイリス、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、ネロリ
ラストノート:ホワイトムスク、サンダルウッド