オードリー・ヘプバーンの『コンゴの休日』
監督のフレッド・ジンネマンは当初この作品をコンゴのシーンだけ総天然色カラーにして残りは白黒にしたいと考えていました。しかし、そのアイデアは、プロデューサーにより却下されました。
尼僧の物語というテーマゆえに、オードリー・ヘプバーンの最大の魅力である、笑顔とファッションと(バレエとミュージカルで培った)軽快な動きが封印されることになりました。その代わり、オードリーは、ヨーロッパの王女、妖精、ファッション・モデルというイメージに、〝聖人〟を付け加えることに成功したのでした。
撮影前、オードリーは、コンゴロケ(12種類の予防注射を受けて臨んだ)に難色を示していました。しかし、実際に1958年1月23日から二ヶ月にわたる撮影がはじまってみると、コンゴという国がとても気に入ったのでした。
撮影中、彼女はそのストイックさにより、24時間、尼僧服で過ごしていたのですが、休日になるとそういった衣装を脱ぎ捨て、カジュアルな装いに身を包み、〝コンゴの休日〟を満喫していたのでした。
ちなみに、オードリーがコンゴに行ったついでに会いたいと望んでいた人はアルベルト・シュヴァイツァー(1875-1965)でした。実現はしませんでしたが、ガボンのランバレネ行きを望んでいました。
〝コンゴの休日〟のオードリーのファッションは、自然体の彼女の魅力を伝えてくれます。以下、映画とは関係はないのですが、オードリーのコンゴ・ルックを羅列していきます。
オードリーのプライベート・ファッション1
パリジャン・スタイル

シンプルなシャツのチョイスにこそファッション・センスが現れるというもの。

とても素敵なスカートのシルエットです。
オードリーのプライベート・ファッション2
ギンガムチェック
- ギンガムチェックのノースリーブ・カットソー
- 白のロングスカート
- サルヴァトーレ・フェラガモのペールブルーのバレエシューズ
- パナマ・ハット
- オリバー・ゴールドスミスのサングラス
オードリーのプライベート・ファッション3
シフトドレス
- ノースリーブのシフトドレス。どこかチャイナドレス風
- サルヴァトーレ・フェラガモのペールブルーのバレエシューズ
- ストロー・ハット
オードリーのプライベート・ファッション4
チネチッタ・ルック
オードリーが『パリの恋人』(1957)で〝ボンジュール・パリ〟を歌うときのルックにとても似ているスタイリング。

隣は共演者のピーター・フィンチ。
そして、プレミア・・・
オードリー・ヘプバーンのプレミア・ドレスのデザインをするために、1958年4月26日に、親友のユベール・ド・ジバンシィがチネチッタで撮影中の彼女を訪問しています。以下の有名な写真がその時のフィッティング風景を写したものです。

アムステルダムにて若い女性ファンとオランダ語で談笑するオードリー。
作品データ
作品名:尼僧物語 The Nun’s Story(1959)
監督:フレッド・ジンネマン
衣装:マージョリー・ベスト
出演者:オードリー・ヘプバーン/ピーター・フィンチ/ペギー・アシュクロフト