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【噂の二人】オードリー・ヘプバーンの〝静の美学〟を感じる。

オードリー・ヘプバーン
オードリー・ヘプバーン
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【噂の二人】

The Children’s Hour ローマの休日』でオードリー・ヘプバーン(1929-1993)のイメージを作り上げたウイリアム・ワイラー監督が、再映画化したいと願っていたリリアン・ヘルマンの原作(1936年に『この三人』の題名で一度映画化しているが、当時は同性愛について描くことが出来なかった)を、オードリーと『アパートの鍵貸します』で人気の絶頂にあったシャーリー・マクレーン(1934-)の競演により実現させた作品。

ティファニーで朝食を』(1960年10月から61年2月にかけて撮影されました)により映画界とモード界の頂点に到達したオードリーが、ジバンシィの衣装抜きで、シリアスな役柄に挑戦した作品。1961年6月から9月にかけて撮影され、衣装を担当したドロシー・ジーキンスはアカデミー衣装デザイン賞(白黒部門)にノミネートされました。

映画公開時には、同性愛を匂わせるシーンはすべてカットされ、名誉毀損で訴訟を起こす法廷シーンも撮影されていたがカットされました。この作品は、オードリーにとって最後の白黒映画となりました。

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あらすじ

17歳のときから11年来の親友同士のカレン・ライト(オードリー・ヘプバーン)とマーサ・ドビー(シャーリー・マクレーン)は、女子寄宿制私立学校を経営しています。長年の努力と、堅実な生徒指導で、評判も上々です。さらにカレンは地元で医者をしているジョー(ジェームズ・ガーナー)と婚約しており、幸せの絶頂にいました。

一方でなぜかジョーにつらく当たってしまうマーサ。そんなある日、校内一の問題児メアリーが、2人は同性愛の関係にあるという噂を、祖母であり、金持ちの権力者であるティルフォード夫人(フェイ・ベインター)に流してしまうのでした。

ひとりの少女の嘘を信じてしまった夫人は、他の生徒の両親にもこのことを知らせてしまい、わずか一日で全生徒が退校してしまうのでした。カレンとマーサは夫人を提訴したのですが、裁判にも負け、新聞にも好き放題書きたてられ、空っぽになった学校から出れない日々を送ることになります。

やがてジョーとの婚約を破棄したカレン。それを聞いたマーサは激しく動揺し、メアリーの嘘が、自分の本当の感情の扉を開いてしまったことを知るのでした。そして「私がジョーに対していつもイライラしていたのは、私がカレンを愛しているからなんだ!」とカレンに愛を打ち明けてしまうのでした。

とその時、ティルフォード夫人があることからメアリーが嘘をついていたことを知り、二人に謝罪しにやって来ます。そんな夫人を冷たく追い返すカレン。そして、マーサに一人になりたいと懇願されたカレンは、マーサのピーコートを着て一人散歩に出るのでした。

少し経ち、不吉な予感を感じ、学校に引き返すカレン。そして、首を吊っているマーサを発見するのでした。

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ファッション・シーンに与えた影響


『噂の二人』は、1961年春に『ティファニーで朝食を』を撮影した後に、撮影された最後の白黒映画です。この作品ではオードリーはジバンシィを着ていません。

この作品がファッション業界に影響を与えた要素はございません。でもこの一点だけ挙げたいのは

  1. オードリーが教えてくれるピーコートの魅力

他にもウールのロングコート、カーディガン、そして、白のボタンダウンのシャツ。この作品は、オードリーが、モードに支配されていない(モードを支配していない)姿を見る唯一無二の貴重な作品と言えます。

作品データ

作品名:噂の二人 The Children’s Hour (1961)
監督:ウィリアム・ワイラー
衣装:ドロシー・ジーキンス
出演者:オードリー・ヘプバーン/シャーリー・マクレーン/ジェームズ・ガーナー/ミリアム・ホプキンス