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マリリン・モンロー

【ナイアガラ】マリリン・モンロー、モンローウォークと共に現る。

マリリン・モンロー
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【ナイアガラ】

Niagara 愛人が夫の殺害に成功したと勘違いして、意気揚々と去っていくマリリン・モンロー(1926-1962)の妖艶な後姿を、いまだかつてないほど長く映したシーンは、映画史上もっとも長いウォーキングシーンと言われています。そして、この瞬間、モンローウォークが誕生し、マリリン初のカラー映像と共に、同年に公開された紳士は金髪がお好き』 『百万長者と結婚する方法』も大ヒットし、1953年は『マリリン・モンローの年』となったのでした。

『死の接吻』(1947)で、映画史上最も偉大な悪党を創造したヘンリー・ハサウェイが監督し、本作においてマリリン・モンロー扮するローズ・ルーミスというファムファタールを創造したのでした。

夫役に『市民ケーン』(1941)『ガス燈』(1944)『第三の男』(1949)で脂の乗り切っていたジョゼフ・コットン(1905-1994)、二人とひょんなことから関わることになる新婚旅行中の女性ポリー・カトラーにジーン・ピーターズ(1926-2000)を配し、1952年6月から7月にかけて2週間、実際にナイアガラの滝で一大ロケーション撮影が行われました。ちなみに夫の役柄は当初ジェームズ・メイソンの予定でした。

マリリン・モンローの衣装は、ドロシー・ジーキンスが担当しています。ドロシーは3回オスカーを受賞している伝説のデザイナーであり『十戒』(1956)、『噂の二人』(1961)、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)の衣装も担当しました。

アメリカでは1953年1月に公開され、瞬く間に、マリリン・モンローはセックス・シンボルとなりました。そして、日本でも4月に公開され、ハリウッド女優=マリリン・モンロー、またはアメリカに対する憧れを象徴する〝まぶしい存在〟となるのでした。

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あらすじ

レイとポリー・カトラー(ジーン・ピーターズ)は、ずっと先延ばしになっていた新婚旅行を、念願のナイアガラの滝で過ごすことになります。滝に面するロッジに到着すると、チェックアウトする予定だったジョージ・ルーミス(ジョゼフ・コットン)とローズ・ルーミス(マリリン・モンロー)がまだ退出していないことを知ります。

朝鮮戦争のPTSDによる休養も兼ねていたジョージに対して不満を持っていた若くて魅力的な美貌の妻ローズ。その日レイとポリーが滝を観光していると、なんと滝の死角で、若い男性である愛人パトリックと情熱的なキスを交わしているローズを、ポリーが目撃してしまうのでした。

その夜、ロッジの客が集まり即興パーティをしている最中に、セクシーなピンクのドレスを着たローズが現れ、「KISS」というお気に入りのレコードをかけてもらい、ポリーの隣に腰掛け、口ずさみます。そんな艶やかで、周りの男性の視線を釘付けにしている若妻を盗み見ていたジョージは、怒り心頭し、ロッジから出て、演奏中のレコードを割り、自らの手も傷つけてしまいます。

ジョージを解放するポリーは、ローズと結婚してから運気が落ちていると話します。でもまだ彼女に夢中であることもポリーに打ち明けるのでした。一方、ローズはそんな夫を見限り、パトリックと完全犯罪を企んでいたのでした。ジョージの殺人が成功した暁には、レインボータワーのカリヨンに「KISS」の演奏をリクエストして、ローズが知ることになるという段取りでした。

いよいよ運命の一日が訪れました。しかし、なんとジョージはパトリックを返り討ちにし、ローズへの復讐を誓い、姿を消すのでした。そして、すべてを知っていたジョージは、「KISS」のカリヨンをリクエストするのでした。そんなことも知らずに、カリヨンのメロディを聴き、意気揚々とモンローウォークで去るローズ。さあジョージの復讐劇がはじまるのです。

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ファッション・シーンに与えた影響


『ナイアガラ』により、マリリン・モンローが誕生しました。元々有名なハリウッドスターだったマリリン・モンローがはじめてカラー映画に出演したのではなく、はじめて出演したカラー映画と共に、『マリリン・モンローの年=1953年』がはじまったのでした。つまり、マリリン・モンローという女優は、色彩を味方につけ、世界中の人々に、〝ブロンド美女の神話と憧れ〟を生み出したのでした。

本作がファッションシーンに与えた影響は、オードリー・ヘプバーンやグレース・ケリーが誕生する寸前の1950年代のハリウッド・ビューティの誕生の瞬間を目撃することにあります。この作品の中に登場するヘアスタイル、メイクアップ、ファッション、所作そういった全てが、今もリアルタイムで、ファッション・デザイナーやファッション・ブランドのクリエイション及び、ファッションショー自体にも影響を与え続けています。

羅列するとキリがないのですが分かりやすいところで、この作品がファッション業界に影響を与えた要素を羅列していきましょう。それは以下の7点です。

  1. ファムファタール・ファッションの教科書
  2. マリリン・モンロー入門であり、彼女のすべてが詰め込まれたバイブル
  3. 1953年、ピンクが世界中の女性の憧れの色になりました。
  4. とても斬新なスケルトンBOXハンドバッグ
  5. アラン・スナイダーと生み出した『マリリンの美容術』
  6. ブラックスーツをハリウッドモードに
  7. 50年代の王道のアメリカン。スタイルをジーン・ピーターズから学ぶ

この作品には、マリリン・モンローという存在の魅力がぎゅっと凝縮されていると言い切っても過言ではありません。ただのセックス・シンボルではなく、ファムファタールというブラック&ホワイトの存在に、色を与え〝プラチナブロンドに光り輝く悪女〟にまで昇華させたのでした。

作品データ

作品名:ナイアガラ Niagara (1953)
監督:ヘンリー・ハサウェイ
衣装:ドロシー・ジーキンス
出演者:マリリン・モンロー/ジーン・ピーターズ/ジョゼフ・コットン