【黄金の七人】
Sette uomini d’oro 峰不二子ちゃんの原型であるジョルジアというキャラクターが生み出された〝小悪魔キャラ〟という概念が誕生した記念碑的作品。「裏切りは、美人の履歴書よ」と言わんばかりに、健康的なセックスアピールを振り撒きながら男達を手玉に取るジョルジアに世界中の女性たちは、ミニスカートやホットパンツで男達を利用する生き方もアリだなと考えるようになるのでした。
そして、何よりもアルマンド・トロヴァヨーリによる有名なテーマ曲のスキャット。この映画により、やたらお洒落な泥棒や殺し屋、犯罪者がどんどん登場するようになり、60年代は、犯罪者の変装という発想が、女性のファッションにおける七変化を楽しむという遊び心へとつながっていくのでした。
あらすじ
謎の美女ジョルジア(ロッサナ・ポデスタ)と彼女の恋人である教授と呼ばれる男(フィリップ・ルロワ)は、窃盗団のリーダーです。2人とその仲間の6人の男たちは、ジュネーブにあるスイス銀行の大金庫に眠る7トンもの金塊を盗もうと、行動を開始していました。
銀行の向かいの高級ホテルに陣取った教授の綿密な指示のもと、彼の計画立案能力と万全の設備、6人のチームワークにより、白昼堂々金塊を盗み出すことに成功しました。
そして、二日後、ローマのヒルトンホテルで8人は合流し、金塊を山分けする手はずになっていました。しかし、教授の裏切りにより、6人は警察に逮捕されました。更に教授自身もスイス銀行の支配人と愛人関係になっていたジョルジアに裏切られてしまい、金塊を奪われてしまいました。
ジョルジアの一人勝ちと思いきや、そういったことまで見越していた教授により、金塊は別ルートですでに彼の手元に戻っていました。ジョルジアに惚れ込んでいる教授は、あっさりとジョルジアを許し、いざ、金塊が搭載されたトラックを受け取りにいくのでした。
そして、そのあとを追跡していた6人の仲間たちとも教授は和解し、コロッセオの前の坂道に金塊が満載された一台のトラックを止めました。油断した数分後に、ブレーキがゆるみ、トラックは坂を急降下し、屋台にぶつかり、コロッセオの真ん前で金の延べ棒が散乱してしまうのでした。どうすることも出来ずに去っていく8人達。
そして、数ヵ月後、8人はローマ銀行の前で、前回と同じように強盗に励むのでした。「続編につづく」というテロップと共に・・・
ファッション・シーンに与えた影響
『花と嵐とギャング』(1961)をマルコ・ヴィカリオが見て、この作品のアイデアを思いついたことはさすがにないと思うのですが、『黄金の七人』は、1966年に日本で公開されると同時に、「ルパン三世」や女性の小悪魔化(例:加賀まりこ、緑魔子、渥美マリ)に大いなる影響を与えました。そんな本作がファッション・シーンに与えた影響は、以下の三点でした。
- 遊び心溢れる女性の「変装ルック」=コスプレ文化のさきがけ
- 元祖・峰不二子の生誕
この作品より、女性がファム・ファタールのようにクールに男を騙すのではなく、小悪魔のようにキュートに男を騙すスタイルが大流行するようになったのでした。そして、その軽さはファッションにも影響していくことになるのでした。
作品データ
作品名:黄金の七人 Sette uomini d’oro (1965)
監督:マルコ・ヴィカリオ
衣装:ガイア・ロマニーニ
出演者:ロッサナ・ポデスタ/フィリップ・ルロワ