作品名:黄金の七人 Sette uomini d’oro (1965)
監督:マルコ・ヴィカリオ
衣装:ガイア・ロマニーニ
出演者:ロッサナ・ポデスタ/フィリップ・ルロワ
ジャンカルロ・デ・レオナルディス
ジョルジア・スタイル4 キノコヘア
- ブルネットのキノコヘア
- ミンクの首巻き
- ベージュのコクーンコート
- ベージュのショートグローブ
遊び心たっぷりのヘアスタイルは、ジャンカルロ・デ・レオナルディスによるものです。1939年にローマに生まれ、スペイン広場、ミニャネッリ広場、ヴェネト通りといったローマでも有数の上流階級が顧客のビューティー・サロン(『ローマの休日』でアン王女がヘアカットしたサロンのような)で50年代末に経験を積む。そして、1960年に独立し、ビューティー・サロンを開いたが、ヘア・スタイリストの母親と共に、チネチッタで撮影された『ベン・ハー』(1959)の撮影を3日間見学して以来映画の魅力に取り付かれていたので、サロンをたたみ、1963年、ルキノ・ヴィスコンティの『山猫』のヘアスタイルを担当し、以降、映画のためのヘアスタイリストになります。
『ピンクの豹』(1963)、『赤い砂漠』(1965)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)、『ラスト・エンペラー』(1987)、『ハンニバル』(2001)といった作品のヘアスタイリングも担当しました。
悪女の隣には、必ずエレガントな男がいる。

悪女とは、エレガントな男を侍らせる能力に長けた人のことを言います。だからこそ、教授のファッションもまた美しい。

まさに教授と呼ぶに相応しいファッション・センスです。
ジョルジア・スタイル5 白鳥フェザー・スタイル
- 白のフェザー付きの大きなバスタオル

イタリア版〝天女の羽衣〟。この姿を見た瞬間、男達は命を捨てて、黄金を奪う気になったのです。

これは一体どこで着るんだ?というスタイルに身を包んでくれた60年代のミューズたち。

ソファーとクッションもモード感たっぷり。

横からのシルエットが最高にセクシーです。
ジョルジア・スタイル6 シースルー・ガウン
- ターコイズブルーのフェザーを胸、腕、足に散りばめた、深いVゾーンの入ったシースルー・ガウン
- ハイヒール・サンダル
隣にいる男がエレガントだからこそ、女は思う存分色気を発散することが許される。ここにストリート・ファッションには、絶対に到達出来ない男女のエロスの美学が存在します。この作品の魅力は、まさにそこなのです。
フィリップ・ルロワ(1930-)が演じる教授の着こなしが男のエレガンスの極みです。ネイビーのジャケットに、男が最も優雅に見えるカラー使いといえる〝3段階グレー使い〟。それはネクタイとベストとスラックスをグレー・カラーで統一しているが、微妙な色のコントラストの効果を楽しんでいるところにあります。
男がグレー・スーツを優雅に着こなすと、その男性は女性にとって、最高級のジュエリーとなります。〝3段階グレー使い〟とは、その上をいく着こなしなのです。
リアル・ファーを抱きしめたい!

黒猫のようなブラック・ファーに身を包むジョルジア。

美女の条件。それは眼鏡を楽しめるということ。
ジョルジア・スタイル7 ブラック・コート
- 黒のミンクコート
- ラウンド・シェイプド・グラス
- 黒のショートブーツ
- ベージュのパンスト
リアル・ファーを抱きしめられる女でありたい。誤解を得るような言い方になりますが、女は動物に囲まれて生きると美しくなります。ステラ・マッカートニーの哲学はそれはそれで素晴らしいのですが、それは生まれながらに何不自由ない生活を送ってきたものの境地とも言えます。
もしあなたが庶民の子として生まれ育ったならば、大人の女になってから、リアル・ファーやリアル・レザーに対する憧れが生まれて当然です。グリーン・ファッションは生まれながらの特権階級の戯言とまでは言いません。しかし、だからと言って、リアルなファーやレザーを否定する風潮が行き過ぎるとファッションはただの〝清潔感〟に満ち溢れたつまらないものになります。
彼こそが、モリアーティ教授だろう

ジャック・ベッケルの名作『穴』(1960)の名優フィリップ・ルロワ。

モリアーティ教授のような趣で現る。
<番外編>教授スタイル
- ダークグレーの山高帽
- ベージュのレインコート
- 首元にアスコットタイ
- ブラウンのレザーグローブ
- 真鍮のついたステッキ