タチアナ・ロマノヴァを作った男=テレンス・ヤング
「口が大きすぎない?」「私にはぴったりだ」こういったセリフもボンドムービーの重要なスパイスです。
ダニエラ・ビアンキという女優は、ほぼ全ての演技を監督のテレンス・ヤングの言うがままに行ったと言われています。彼女自身、女優業に全く野心のない21歳の大富豪の娘だったからでしょうか?そのリラックスしたムードが史上最高のボンドガールを生み出したとも言えます。
特に、ボンドと初遭遇するベッドシーンでのやり取りと、カメラアングルが圧巻です。そして、この空気が今のダニエル・クレイグのボンドムービーには足りないのかもしれません。ロマンティックな演出とでも申しましょうか?テレンス・ヤングという男は、只者ではない琴線を持った男性です。

ラブシーンのカメラの死角にはいつもテレンス・ヤングがいた。

首につけた黒のチョーカーがとても素敵。

アップスタイルがとてもエレガントなタチアナ・ロマノヴァ。

ボンドガールという存在が、はっきりした瞬間。
ボンドガールのファッション2
ストライプシャツワンピース
- グレーストライプのロングスリーブシャツワンピース
- 白のパテントレザーベルト
- ベージュのハイヒールパンプス
- キャメル色のミニクラッチ
- 白い手袋

かなり魅力的なワンピースなのですが、作中ではあまり活躍しない衣装です。

ブロンド美女には、水色がとても似合います。

イスタンブールの異国情緒にマッチしたシンプルなデザイン。

ブルー・モスクをバックに歩くタチアナ。
ボンドガールのファッション3
コクーン・コート
- 水色のシフォンスカーフをアリアーヌ巻き
- ベージュのコクーンシルエットのロングコート。4つのフラップポケット
- モスイエローのスカート(スタイル1のもの)
- ベージュのローヒールパンプス

もうここまで来てしまうと、ジバンシィかディオールのファッション・モデルのようです。

そして、このコクーンコートがとてもステキです。
ボンドガールのファッション4
オフィス・ルック
- ピンクのワイドカッターシャツ
- ライトブラウンのスカート
- ピンクのレザーベルト
- ブラウンのローヒールパンプス

シャツインしてシャツと同じ色の太めのベルトで合わせる。

このベルトはスウィンギングロンドンの影響を受けています。

こうして観るとリアルバービーです。

似ているが、使われなかった方のフロントプリーツシャツ。
ボンドガール史上最も魅力的な女性。

タキシードに拳銃を持つボンドとネグリジェ姿のボンドガール。
サイドの髪をひげのようにする有名な「マドモアゼル・ムスタッシュ」シーン。この時に、タチアナはウィッグを使いカトリーヌ・ドヌーヴのようなハーフアップ・スタイルにしています。
クールなタチアナ、情熱的なタチアナ、そして、チャーミングなタチアナ。そこにオシャレに盛っているタチアナが存在することにより、女性だけでなく、男性にとっても、忘れられないボンドガールが誕生したのでした。彼女ほど万華鏡のように色々な女性の魅力を出すことが出来たボンドガールはなかなかいません。
それは007シリーズがまだ二作目だったからこそ許された、女優としての野心もなく、わが道を行く、楽しんで仕事をしていたダニエラ・ビアンキ様の本能の成せる業だったのでしょう。今見ても、彼女はとても生き生きとして、ボンドと同じくらいに輝いています。
ボンドガールのファッション5
ネグリジェ
- 水色のネグリジェ、スパゲッティ・ストラップ
- 水色のヘッドリボン

一瞬登場するナイトガウン。

ヘアスタイルがとてもキュートです。

このネグリジェで撮影された宣材写真。

スーツスタイルのJBとタチアナ・ロマノヴァ。
ミス・マネーペニーのおしゃれ

今回はちゃんと衣装を用意してもらえたマネーペニー(前作は、衣装持込でした)。

数年前に、グッチで同じようなブローチが販売されていました。
彼女が登場してこないとボンド・ムービーを見ている気分になりません。それは『男はつらいよ』におけるさくらであり、『仁義なき戦い』における山守組長なのです。
その人の名をマネーペニーと申します。演じるのは、ロイス・マクスウェル(1927-2007)です。彼女が左肩につけているエンゼルフィッシュのブローチがとてもオシャレです。
作品データ
作品名:007/ロシアより愛をこめて From Russia with Love (1963)
監督:テレンス・ヤング
衣装:ジョセリン・リカーズ
出演者:ショーン・コネリー/ダニエラ・ビアンキ/ロバート・ショウ/ロッテ・レーニャ