スティーブ・マックイーン

スティーブ・マックイーン5 『華麗なる賭け』1(2ページ)

    作品名:華麗なる賭け The Thomas Crown Affair (1968)
    監督:ノーマン・ジュイソン
    衣装:セオドア・ヴァン・ランクル/ダグラス・ヘイワード
    出演者:スティーブ・マックイーン/フェイ・ダナウェイ/アストリッド・ヒーレン


    スティーブ・マックイーン覚醒篇。

    昔の映画のポスターはハイセンスだった。

    「キング・オブ・クール」の称号に相応しい男。

    わたしはこれまで、敗者の役をたくさん演じてきた。だがもうそういう役は卒業だ。自分自身が敗者ではないってことに気づくまで、長い時間がかかったよ。

    スティーブ・マックイーン

    トーマス・クラウン・アフェアー』という名の原題を持つ本作『華麗なる賭け』の原作は、かつてボストンの銀行の向かいの法律事務所に勤めていた弁護士アラン・R・トラストマン(1930-)が、1967年のある日曜日にテレビドラマを見ているうちにこんな脚本なら簡単に書けるという軽い気持ちから生まれたものでした。

    私はマックイーンがトーマス・クラウンを演じることを望みませんでした。そして、それは監督のノーマン・ジュイソン、ユナイテッド・アーティストの社長ウォルター・ミリッシュも同じでした。私はすでに一人の男、ショーン・コネリーを念頭においてトーマス・クラウンの役柄を創っていたのでした。もし彼がだめな場合は、ロック・ハドソンかジャン=ポール・ベルモンドでも上手くやってくれるだろうと考えていました。トーマス・クラウンはオードーメイドの3ピースを着ているのに対し、マックイーンはブルージーンズにTシャツです。クラウンはそれを味わう前に、ブランデー・グラスを回して、香りを楽しみます。マックイーンは香りもブランデーもヘチマもあったものではありません。何といってもビールが一番好きなんですから。

    アラン・R・トラストマン

    しかし、マックイーンは、従来の自分とは全く対極に位置するトーマス・クラウンを演じたいと熱望しました。それは、「申し分ない学歴、芸術に対する教養、家柄といった私にはないものが備わっている」主人公を演じてみたいという、マックイーンが憧れる男を体現したいという情熱から生まれたのでした。

    やめた方がいいと忠告されたよ。豚の耳からシルクの財布を作ろうとするようなものだと言われた。だが私は答えた。ちょっと待て、あの男は相手のゲームのやり方で体制側をやっつけてみせようとしている。本質的に反抗児だ。私のようにね。もちろん上流社会の反抗児だが。私と同類の男なんだ、とね。違っているのはうわべの毛皮だけだった。それで、私はちょいと毛皮を着ることにしたのさ。

    スティーブ・マックイーン

    それは華麗なるスティーブ・マックイーンの誕生でした。どこから、どの角度から見ても、隙のない「永遠の男の憧れ」を体現した姿がそこにはありました。

    銀行強盗の実行部隊のファッションも、それぞれが、スリムフィットしたスーツに身を包みとてもオシャレです。



    『華麗なる賭け』のアイコニック・スーツ

    本作で最高のスーツは、マックイーンが最初に着ているスーツでしょう。

    グレーのジャケットにスカイブルーのシャツの絶妙なアンサンブル。

    1965年から1980年にかけて販売されていたロールス・ロイス・シルヴァーシャドウ。

    サングラスは、マックイーンがプライベートで愛用していたペルソール。

    1960年代とは、ルパン三世、『黄金の七人』をはじめとするスタイリッシュな泥棒がウケた時代でした。

    最もキメにキメているマックイーンが観れる作品です。

    グレー生地に、ブルーのチェックが入ったプリンス・オブ・ウェールズ柄の3ピース。

    パテック・フィリップの懐中時計

    パテック・フィリップの懐中時計。アメリカのエリートを象徴する黄金のファイ・ベータ・カッパ・キーが鎖に付いている。

    主人公のトミー・クラウンはチョッキに〝ファイ・ベータ・カッパ〟のキーをぶら下げていることになっていた。それであちこちさがして、ようやくスタッフのセット・デザイナーが持っているのを借りられた。あとはもう、トミー・クラウンのでかいロールス・ロイスに乗り込むだけだったから、私は家に帰ったんだ。

    スティーブ・マックイーン

    鏡に映る自分自身にドライマティーニで祝杯を挙げというキザなシーンすら様になる。

    隙が無いことが素晴らしいスーツスタイル。

    ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドに与えた影響がよく分かる作品です。

    休憩している姿さえもゴッド・マックイーンです。

    休憩になると「すぐに脱ぎたくなる男」マックイーン。

    トーマス・クラウン・スタイル1 グレーの3ピース
    • ダグラス・ヘイワード
    • グレーの3ピース、グレー生地にブルーの〝プリンス・オブ・ウェールズ〟チェック、タイトシルエット、細身のラペル、2つボタンジャケット、ダブルベンツ、袖には一つボタンのみ、ブルーの派手な裏地
    • ラペルのないベストは、ハイカットされており、マックイーンの脚の長さを強調し、175cmの身長をより高く見せる役割を果たしています。
    • 鮮やかなスカイブルーのシルクシャツ、真珠貝のカフリンクス
    • ロイヤルブルーのネクタイ
    • グレーのシルクのポケットチーフ、パフド
    • ペルソールPO714、鼈甲とブルーレンズで眼鏡技師デニス・ロバーツによりカスタムされた特別モデル
    • ブラックレザー・プレイントゥローファー

    私は1950~60年代のアメリカにとても関心がある。当時の男たちはきちんと装っていた。・・・ゲイリー・クーパーの『摩天楼』とか、スティーブ・マックイーンの『華麗なる賭け』など。デザインと直接結びつくわけではないが、とてもいい刺激になる。

    トム・ブラウン

    このスーツこそが、60年代を象徴するスーツとして、後世のファッション誌に取り上げられることになるスーツです。テーラーは、ダグラス・ヘイワードです。

    このオープニング・スーツがタイムレスな魅力を放っているのは、ブルーの三段階の変化をスーツで体現しているからなのです。メンズ・ファッションにおけるオシャレの秘訣として重要なのは、同系色の微妙な違いを楽しむところにあります。

    ブルーからネイビー、赤からバーガンディ、イエローからカラシ、ブラウンからベージュ、白からベージュ、白からペールイエロー、グレーからブラックかネイビーといった具合にです。〝クールの法則〟とは、ひとつのスタイルの中に同系色の三変化が出来ていることなのです。

    ダグラス・ヘイワードの細身のシルエットのスーツは60年代から70年代にかけて、多くの映画スターが着用しました。ロバート・ミッチャム、ジェームズ・コバーン、マイケル・ケイン(『ミニミニ大作戦』(1969)の中でも着用)、テレンス・スタンプ、そして、ロジャー・ムーア。さらに、ラルフ・ローレン自身も、自分のブランドを立ち上げる前には、愛用し、マイケル・コーストム・フォードのクリエイションにも多大なる影響を与えました。



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