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【シャネル】N°19(No.19)プードレ(ジャック・ポルジュ)

シャネル
©CHANEL
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N°19(No.19)プードレ

原名:N°19 Poudre
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュクリストファー・シェルドレイク
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:100ml/24,200円
公式ホームページ:シャネル

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アイリスとムスクのマリアージュで生み出した〝新しいN°19〟

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オリジナルの No.19を愛用している女性の多くは、この新しいバージョンに乗り換えることはないでしょう。No.19は、今日でもニッチなフレグランスとして完全に通用しています。

つまりこのNo.19プードレは、No.19をより心地よくしたものなのです。

クリストファー・シェルドレイク

そして、よりモダンで女性らしいNo.19です。

ジャック・ポルジュ

ガブリエル・ココ・シャネル(1883-1971)が存命中の1970年に生み出された、マドモアゼル・シャネルの最後のフレグランス「N°19(No.19)」。

アイリスとガルバナムの奇跡のマリアージュが織り成すグリーンフローラルの名香を、2011年にシャネルの三代目調香師ジャック・ポルジュクリストファー・シェルドレイクが、40年ぶりに現代版として蘇らせたのが「N°19(No.19)プードレ」(=日本語でパウダーを意味する)でした。

この香りは、約6年の構想期間を経て、2011年8月19日に、シャネルの128回目の誕生日を祝う形で発表されました。

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2007年から、シャネルはアイリス パリダの自社栽培に踏み切る

ペゴマにあるシャネルのためのアイリス畑 ©CHANEL

No.19のアイリス・パリダは、ながらく世界でも最高級といわれるフィレンツェ郊外のものが使用されていました。それは中国産の安価なものを使用することを頑なに拒否してきたジャックの決断からでした。

しかし、高騰するフィレンツェ産アイリス・パリダに対して、2007年に、ジャックが主導となり、シャネルはカンヌとグラースの間、シアーニュ川谷に位置するペゴマにアイリス畑を作り、フィレンツェ郊外のものと同レベルの品質のアイリス・パリダをNo.19とNo.5のためだけに作るようになりました。

かくして、6年の伝統的プロセスを経たアイリス・パリダを継続して使用することが可能になったのでした(2011年から13年までの商品には、中国産とモロッコ産のアイリスアブソリュートで代用)。

中国産のアイリスとフィレンツェ産のアイリスに品質の違いはないと思います。ただし、重要なのは、伝統に基づいたアイリスの花の扱い方なのです。

ジャック・ポルジュ

ジャックは、このアイリス・パリダの根茎の効能を最大限に生かし、よりフレッシュでパウダリーな、生命力にあふれるアイリスの調べを奏でることに成功しました(ちなみにアイリスの花には香りがない)。そこにフィルメニッヒ社が新しく開発した合成のホワイトムスクをブレンドして生み出されたのが〝21世紀のNo.19〟なのです。

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シャネルのコスメで作られたお家で一日過ごす、夢のような美的体験

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フルーティーなマンダリンと甘いネロリの涼しい風にほだされ、灼熱の熱帯雨林から百獣の王が飛び出すような、シャープで獰猛な牙は抜かれ、すっかり飼い慣らされたグリーンガルバナムの、うっとりするような、魅惑のグリーンミストの感覚からこの香りははじまります。

すぐに(フィルメニッヒにより)新たに開発された数種類のホワイトムスクが、草と花の雫があなたの素肌に落ちるように、すべてをひとまとめにして、まぼろしのようなエメラルドシャワーで満たしてゆきます。

そして、あっという間に、緑の閃光に、くちづけするように、清らかにパウダリーなグラース産アイリス・パリダ(アイリス アブソリュート)とハイチ産ベチバーが交わり合い、シルキー感触と共に、素肌に溶け込んでゆきます(さらにお茶を思わせるα-イソメチルイオノンも組み合わされている)。この辺りで感じる、ヒヤシンスの開花がこの香りのボーナストラックです。

やがて、深みのあるトンカビーンの甘い調べと共に、うっとりするほど繊細でうつくしいジャスミンとローズが、素肌の上に花を咲かせ、エメラルドシャワーと溶け合い、輝きとなってほとばしるのです。

それはまるで寒い国からやって来たNo.19(凛としたパンツスーツ姿の女性)が、ガルバナムとレザーを控えめにして、アイリスをムスクの温かさと柔らかさで包み込み、たおやかな柔らかい笑顔であなたを迎えてくれるような香りです。

モダンな香りとは何でしょうか?それは、大衆に迎合する香りなのでしょうか?それとも感性の優れた人々を覚醒させる香りなのでしょうか?恐らくこの香りは、洗練への道を歩むための広き門だという解釈が最も相応しいでしょう。

大人の女性が二つの意味で安心と心強さを感じる香り、それはラグジュアリーなコスメを連想させる香り。少女時代に、母や姉から香る、その香りに憧れ、やがて、恋に仕事に、戦いにのぞむ前に、心を落ち着かせ、背筋をぴんとさせてくれる香り。そんな最高のグレードのコスメが集まった空間に瞬時に運んでくれる〝夢のようなパウダー〟に守られるのです。それはまるで〝シャネルのコスメで作られたお家で一日過ごす、夢のような美的体験〟なのです。

キャンペーン・モデルは、「ジュール ドゥ エルメス」のミューズもつとめたリトアニア出身のトップ・モデル、エディタ・ヴィルケヴィシュテでした。

プラダの「インフュージョン ドゥ プラダ イリス」を思わせる香りです

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香水データ

香水名:N°19(No.19)プードレ
原名:N°19 Poudre
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュクリストファー・シェルドレイク
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:100ml/24,200円
公式ホームページ:シャネル


トップノート:グラース産ネロリ、ガルバナム、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:グラース産アイリス・パリダ、ジャスミン・アブソリュート
ラストノート:ハイチ産ベチバー、ホワイトムスク、トンカビーン