作品名:紳士は金髪がお好き Gentlemen Prefer Blondes (1953)
監督:ハワード・ホークス
衣装:ウィリアム・トラヴィーラ
出演者:マリリン・モンロー/ジェーン・ラッセル/チャールズ・コバーン/トミー・ヌーナン
本当はピンクドレスを着る予定ではなかった
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本作のハイライトである「ダイアモンドは女の親友」シーンで、着用する予定だった衣裳。
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それはパリのショーガールを連想させるかなり際どいデザインでした。
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ワードローブ・テスト。
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ワードローブ・テスト。バックスタイル。
本作において最もアイコニックなシーンが、「ダイヤモンドは女の親友」を歌うマリリン・モンロー扮するローレライ・リーのミュージカル・シーンです。この時にマリリンが着ていたショッキングピンクドレスは、世界中の女性の永遠の憧れのドレスになりました。そして、ショッキングピンクのドレスと言えばマリリン・モンローを連想させるタイムレス・ファッション・イメージを作り上げました。
しかし、このシーンのために用意されていた衣装は、、全く違うものでした。本作の衣裳デザイナーであるウィリアム・トラヴィーラは、ジュエリーが散りばめられた黒のフィッシュネット・ボディストッキングを4000ドルかけて作っていました。それは、ラインストーンのハーネスをヒップに装着し、黒のゴクラクチョウのフェザーのヘッドドレスで飾り立てられたものでした。それはその衣裳を着るためにマリリンは一時間立ったままでいなければならないほどに豪華なもので、パリのフォリー・ベルジェールのショーガールの衣裳からインスパイアされたものでした。
しかし、このシーンの撮影寸前に、1949年にマリリンが無名時代に撮影したヌード・カレンダーのスキャンダルが発生しました(ジェーン・ラッセルは、このカレンダーは〝芸術的〟だ!と賞賛していました)。そして、スキャンダルを助長するような露出の高い衣装を避けるために、撮影の僅か2日前に衣装チェンジが決定したのでした。
そんな混乱する現場において、破れかぶれな気持ちの中、トラヴィーラが選んだ「ダイアモンドは女の親友」のニュー・コスチュームのカラーこそが、純粋無垢な少女のシンボリック・カラーであるピンクだったのでした。
「ショッキングピンクはポップスターの親友」
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そして、光臨したショッキングピンクの妖精。
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「マリリンのように歌って踊りたい!」と感じさせる赤の空間の中で、黒服の男達に交じって、マリリンがショッキングピンク・ドレスで舞うその姿。
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衣裳デザイナーのトラヴィーラが、赤の背景と聞いて、ショッキングピンクをチョイスしたのでした。
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表情・仕草の全てがキュートなマリリン。
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他の人がこれをやっても、寒々しくなるだけです。
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マリリン・モンローの全ての魅力が濃縮されていると言っても過言ではない。
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男女のバックダンサー達の衣裳のセンスの良さ!
映画が、ファッションに対して示す力の凄さを知らしめたシーンが、この「ダイアモンドは女の親友」のシーンです。何よりもすごい事は、〝踊るためのドレスではなく、男女を魅了するためのドレス〟によって、マリリン・モンローがショッキングピンク革命を起こしたということです。それは、1930年代にエルザ・スキャパレッリが起こしたショッキングピンクの革命よりも遥かに多くの人々に影響を与えたのでした。
モンローのショッキングピンク革命の恐ろしさは、1953年に発動されたこの革命が、21世紀のほぼ全ポップスターにとってもタイムレスな憧れとなったところにあります。
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1984年、再現されたショッキングピンク・ドレスを着るマドンナ。
そして、マドンナが「マテリアル・ガール」(1984)で再現し、「ショッキングピンクドレスはポップスターの親友」になったのでした(マドンナの下の動画は、カイリー・ミノーグのパフォーマンス。さらには、エンポリオ・アルマーニのフレグランス『ダイヤモンズ』におけるビヨンセ。)