究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

【パルル モア ドゥ パルファム】パピルス ウード(ミシェル・アルメラック)

パルル モア ドゥ パルファム
パルル モア ドゥ パルファム
この記事は約5分で読めます。
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

パピルス ウード

原名:Papyrus Oud 71
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2018年
対象性別:男性
価格:日本未発売

スポンサーリンク

蘇える〝ミシェル・アルメラックの金狼〟

「パピルス ウード」は、私の父が作った「グッチ プールオム」を連想させるかもしれませんね。でも、これは全く違うフォーミュラです。

多くの人々が今も「グッチ プールオム」をまるで宗教のように崇拝してくれていることを私も父も常に感じています。

ベンジャミン・アルメラック(ミシェルの息子でありパルル モア ドゥ パルファムの創設者)

2016年に創業されたパルル モア ドゥ パルファムから最初の8作品が発売された後、2018年に「シプレ モジョ」と「オリス タトゥー」が発売されました。そして、ロンドンの高級デパート「セルフリッジズ」のために作られ、同年6月に発売されたのが「パピルス ウード」です。

今では廃盤となった幻の名香「グッチ プールオム」を更に進化させた最終形態です。ブランドの意向や市場に関係なく、本当に自分が生み出したい香りを心ゆくまで追い求める環境を手にした巨匠ミシェル・アルメラックにより調香されました。

過去と未来を繋ぐ香りとして生み出されたこの香りは、過去の自分を超えるという意味も込めて生み出された香りです。グッチの価格帯では使用できなかった天然香料をふんだんに使用することによって、インセンスを抑え、温かくも甘い天然の樹脂を増やし、新たにウードを追加し、香りをより成熟させています。

日本には上陸していないこの香りの名は〝Papyrus Oud 71〟。ちなみに、最後についている数字は、試作回数を示しているのですが、この香りの試作回数は71回ということになります。つまり、「グッチ プールオム」から71回の試作を経て生み出された最終形態=究極ヴァージョンなのです。

スポンサーリンク

香水の特権=100%フィクションを身にまとう

実は、父は3つの「グッチ プールオム」を作っていて、1つ目はグッチのために作ったもの、2つ目はベントレーのために作った「ベントレー フォーメン アブソリュ」、そして3つ目は「パピルス ウード」です。

最初の2つは今では廃盤です。私たちのフォーミュラでは、「パピルス ウード」はインセンスの量が少し少なく、ウッディムスキーで、より暖かく、心地よい香りです。

ベンジャミン・アルメラック

大藪春彦の『蘇る金狼』の最後のシーンで、腐り切った巨大企業の底辺で働いていた朝倉は、見事、その企業を食いものにする立場へと転進し、野望を達成するのでした。そして、250万ドルを自分のスーツケースに仕舞い、政治家の特権を使わせ、空港税関の検査なしで、スイス行きの飛行機に乗るのでした。

狼のようにしろく鋭い歯をむきだした朝倉は、誰にともなく嘲るように手を振った。ピンクダイヤのリングが、一瞬血を吸ったようにきらめいた。

彼がジェット機のタラップを登るこの最後の瞬間こそが、この香りそのものなのです。〝優雅なる男たち=野望を達成する男たち〟の香りの完結編が今ここにはじまるのです。

スポンサーリンク

「昼は平凡なサラリーマン、夜は組織への反逆を企てる一匹狼」の香り

これが朝倉という男だ。こんな男に女が惚れたら、最後に待っているのは恐ろしいほどの不幸だ。

『蘇える金狼』大藪春彦

エジプトの太陽に愛された柑橘類(ベルガモット、レモン、プチグレン)とハーブ類(ミント、アルテミシア、バジル、ラベンダー)がホワイトペッパーとジンジャーの渦巻く星雲から弾き出されるように、華やかに広がる酸味からこの香りははじまります。

そして、あいつはやって来るのです。シダーウッドとインセンスの到来です。この二つの香りを軸に、スパイシー(ピンクペッパー、カーネーション)、ウッディ(サンダルウッド、パピルスウッド)、ハーバル(パチョリ、オリスルート、ゼラニウム)といった男を輝かせるそれぞれの要素に、インドールの効いたジャスミンが、抗し難い男の色気を〝静かに〟解き放つのです。

やがて、スモーキーなラブダナムとアンバリーバニラの絶妙なブレンドが生み出す酔わせるようなラム酒と樹脂とレザーの余韻に、オークモスとトンカビーンがうっとりするようなシプレとオリエンタルのよろめきを加えてくれるのです。

スモーキーウッディスパイシーでありながら、強い自己愛で生きている男ではないこの香り。「昼は平凡なサラリーマン、夜は組織への反逆を企てる一匹狼」それは野望を達成するために、強靭な肉体と天才的な頭脳を駆使する男になりたいというロマンを掻き立てる100%フィクションを身にまとう香りなのです。

だからこそ、新たにウードが追加されたこの香りは、あからさまにウードが徘徊する香りではないのです。いつかあなたが人生の一大野心を見つける日を待ち望み、牙を秘かに磨いている、そんなウードがそこにいるのです。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:パピルス ウード
原名:Papyrus Oud 71
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2018年
対象性別:男性
価格:日本未発売


トップノート:パピルス、ジンジャー、アルテミシア、バジル、ベルガモット、ラベンダー、レモン、プチグレン
ミドルノート:ホワイトシダー、ピンクペッパー、サンダルウッド、パチョリ、オリスルート、カーネーション、ゼラニウム、ジャスミン
ラストノート:オリバナム、レザー、アンバー、ベチバー、バニラ、ラブダナム、オークモス、トンカビーン、ムスク、セージ