マ ダム
原名:Ma Dame
種類:オード・トワレ
ブランド:ジャン=ポール・ゴルチエ
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:30ml/5,500円
唯一無二のバービーガール・フレグランスの決定版

©JeanPaul Gaultier

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1995年に「ル マル」により、鮮烈なデビューを果たしたフランシス・クルジャンが、1999年にジャン=ポール・ゴルチエでの2作目となる「フラジャイル」を経て、2005年にゴルチエ初のユニセックス・フレグランス「ゴルチエ2」を生み出しました。
さらに2007年にゴルチエの二番目のメンズ・フレグランス「フルール ド マル」を経て、2008年9月にクルジャンが調香したのが「マ ダム」でした。
この香りは、〝フラジャイル〟を進化させ、〝クラシック〟のテイストをツイストさせた上で、より若い女性をターゲットにした爽快なシトラス・フルーティーな香りです。〝Ma Dame〟とは、フランス語でマダムの意味ではなく、〝My Lady〟の意味です。
バービー・ワールドから匂い立つプラスチック、ゴム、ビニールといった人工臭に、生命を吹き込み、人肌のように香るバービーの匂いを生み出すことに成功した、唯一無二のバービーガール・フレグランスの決定版です。
日本に置き換えると、最もセーラームーンの戦士たちに近い香りとも言えます。
〝あなたの人工美のリミッターを振り切らせてくれる〟香り

©JeanPaul Gaultier

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この香りの特徴は、短くてシャープなことです。そして並外れた力強さと柔らかさが共存しています。
フランシス・クルジャン
そんな〝あなたの人工美のリミッターを振り切らせてくれる〟この香りは、ピンク色のドアを開けると、超一流のスタイリストにより用意されたスティレットヒールのサンダルとコルセット、ミニワンピースが用意されたワードローブが並び、その後ろで超一流のヘアメイクが待機している情景からはじまります。
まさにバービーワールドが爆発するように、オレンジ×グレープフルーツのスパークリングワインが爽快に際限なく、苦みと酸味をピリっと弾けさせていくようです。
すぐにプラスティックを思わせるグレナディンシロップが注ぎ込まれ、泡立つムスキーバニラとアニス、タラゴンの中に、パウダリーなローズがひらひらと舞い落ち、ペールカラーのマカロンのような円やかな甘さに満たされていくのです。
マカロンの余韻の中に紛れ込むシダーウッドのクリーミーなウッディ感が絶妙で、砂糖菓子のような甘ったるい方向に香りが転ばないようにうまく調整されています。徹頭徹尾〝大人のバービーワールド〟の住人になるためのプラスティック・ビューティーの精神が貫かれています。美は、揺るがない精神にのみ宿るのです。
ボトルがトルソーそのものではなく、石仏のように埋め込まれたトルソーであり、石に封印されたメドゥーサを連想させるデザインです(黒いチョーカーのようなキャップのデザインはなかなかかわいい)。
フレグランスのボトルの不思議さ。それは年齢と共に明確に趣好は変わってゆき、使い切れずに残っていくフレグランスのボトルは、香りの墓標とでも言わんばかりに、私たちの心と現実の空間を支配します。もう二度と使わなくなる香り。しかし、それを手元に置いておくことによって、ふとその香りを嗅いだときに失われた時が蘇ってくるのです。香りとは、タイムマシーンのようなものなのです。
キャンペーン・モデルはスーパーモデル、アギネス・ディーンです。ジャン・バプティスト・モンディーノにより撮影されたそのキャンペーン・フィルムとフォトが示す通り、ある種アンドロギュヌス的なフレグランス・イメージです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「マ ダム」を「レモンバニラ」と呼び、「可愛らしく仕立てたピンクのパッケージに軽薄な香りかと思いきや、レモンタルト系という如才なさ。ビニールレインコートの匂いと快いタラゴン様の香りがただのグルマン系から救っている。口ずさむのも恥ずかしいひどい歌詞のポップソングのように安っぽく、がさつだが、それでいて気になる香り。印象よりずっといい。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:マ ダム
原名:Ma Dame
種類:オード・トワレ
ブランド:ジャン=ポール・ゴルチエ
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:30ml/5,500円
トップノート:オレンジ
ミドルノート:ローズ、グレナディンシロップ
ラストノート:ムスク、ヴァージニア・シダー