バル ダフリック
原名：Bal d’Afrique
種類：オード・パルファム
ブランド：バイレード
調香師：ジェローム・エピネット
発表年：2009年
対象性別：ユニセックス
価格：50ml／26,070円、100ml／38,170円
公式ホームページ：バイレード
父がいない子が、18歳のときに渡された父の日記
ベン・ゴーラムは、このブランドの優れた調香師であるジェローム・エピネットに、1920年代のパリが夢中になったアフリカ音楽と、アメリカの天才ジョセフィン・ベーカーに通じるような香りを考えていると告げた。その結果、明るく官能的な香りが生まれた。ジャスミンとマリーゴールドが織り成す、これまでに嗅いだことのないような幻想的な花々にブチュとベルガモット、ヴァイオレット、シクラメンのアコードを加えた。
チャンドラー・バール（ニューヨーク・タイムズ、2021年）
2006年に創立されたバイレードから2009年に発売された「バル ダフリック」は、ジェローム・エピネットによって調香されました。
この香りは創業者ベン・ゴーラムの父に対する想いを昇華させた香りです。ベンは、フライトアテンダントのインド人の母親と、カナダ人の父親の間に生まれました。そして、まだ5歳の頃に父親は、イタリアへと去ってゆきました。
18歳になった時、母親は一冊の日記帳をベンに渡してこう言いました。「あなたの父親はここにいます」。その日記には、父親が若き日に10年間もの日々を過ごしたパリとアフリカの思い出が書かれていました。
ベンは、アフリカに行ったことがありません。そんな彼が、父親のアフリカ横断の日記を読み、そのイメージで生み出したのこの香りでした。
1920年代にパリを夢中にさせたアフリカ文化
「アフリカのボール（舞踏会）」という名のこの香りは、父親の日記帳の中のアフリカのイメージと、1920年代後半のパリの狂乱の時代の中で花開いたアフリカ文化を融合させた香りでした。
当時〝黒いヴィーナス〟と呼ばれ、パリの夜に熱狂を生み出したジョセフィン・ベーカーがこの香りの中心にいます。
あるアフリカのラグジュアリー・ホテルのプールは、シャンパンで作られているという。そんなプールにダイブした瞬間がこの香りのトップノートです。
すごく綺麗なベチバーとシダーウッドの上に、ベルガモットとアマルフィレモンが弾けていきます。すぐに爽やかなアフリカ産ネロリが注ぎ込まれ、砂糖漬けされたブラックカラントと優しくとろける様にして香り立ちます。
このシャンパンのプールが素敵なのは、ただ激しく弾けるのではなく、ムーディーに優しくビロードのように弾け、ピニャ・コラーダのような香りを放つところにあります。その主役を担うのが、スパイシーなアフリカンマリーゴールドとミンティなブチュリーフです。この二つの香料が、徹頭徹尾アクセントとして効いています。
実によくブレンドされているので、個々の香りを微塵も認識させないところが素晴らしく、〝どの香料も一生懸命に無心で頑張っている〟ことだけはとてもよく伝わります。
まさにパリのアバンギャルドとアフリカ文化が融合した、陶酔感を誘う、情熱的でロマンティックなジューシーなシャンパンプールの傍に花園があります。清々しいシダーウッドの風と共に、ヴァイオレット、ジャスミン、シクラメンといったアクアティックかつクリーミーなフローラルがふんわりと漂います
スモーキーなベチバーはマリーゴールドにより常にきらめきを与えられています。
そして、ドライダウンにつれて、ムスクに包まれたスパイシーなブラックアンバーが輪郭を現してゆきます。石鹸のような、果実のような、柑橘、花、砂糖菓子のような全てを含んだシャンパンのような何ともいえない（食べたくなるような側面も放ちながら）陽気さの中で、この香りは優しく肌と同化するように仄かな甘さを残し消えてゆきます。
自分が存在しなかった時代の異国に対する憧れが、浅いまどろみのように甘く弾けつつ、決して目覚めない夢のように香り立つのです。永遠に到達できない大地の香り。
香水データ
香水名：バル ダフリック
原名：Bal d’Afrique
種類：オード・パルファム
ブランド：バイレード
調香師：ジェローム・エピネット
発表年：2009年
対象性別：ユニセックス
価格：50ml／26,070円、100ml／38,170円
公式ホームページ：バイレード
トップノート：ベルガモット、アマルフィレモン、アフリカ産ネロリ、アフリカンマリーゴールド、ブラックカラント、ブチュリーフ
ミドルノート：ヴァイオレット、ジャスミン、シクラメン
ラストノート：ブラックアンバー、ムスク、ベチバー、モロッコ産シダーウッド