バーバリー ハー
香水名:バーバリー ハー
原名:Burberry Her
種類:オード・パルファム
ブランド:バーバリー
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:30ml/9,020円、50ml/12,650円、100ml/17,710円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
2018年、バーバリー帝国の逆襲はじまる。
1856年にトーマス・バーバリーにより、大英帝国で創立されたバーバリーが、(1989年にユニリーバに買収される)ベスコ・フレグランス社と提携し、最初のフレグランスを発売したのは1981年のことでした。しかし、この頃から1990年代にかけて、バーバリーのブランド力は落ちてゆき、存亡の危機に立たされていました。
そんな中、1997年にバーバリーのCEOに就任したローズ・マリー・ブラボー(1951-)は、帝国復活の施策として、2001年にクリエイティブ・ディレクターとして若干29歳のクリストファー・ベイリー(1971-)を抜擢しました。
彼は、1994年にダナ・キャランにより見出され、1996年にトム・フォード王朝下のグッチでレディース部門のシニアデザイナーに抜擢され頭角を現した人でした。ローズ・マリーは、バーバリーの存在感が薄かった北米市場攻略を、最重要視しました。そして2005年までの在任中に、ベイリーの起用が見事に当たり、目的を達成したのでした。
1990年代以降、バーバリーは、インターパルファムとライセンス契約し香水を作っていました。ベイリーは積極的に協力し、香水の開発にも積極的に取り組んでいきました。
ベイリー率いるバーバリーは、2001年に4億2,500万ポンド(約6億200万ドル)だった売上を、この香水発表時の2011年には、15億ポンド(約24億ドル)にまで回復させたのでした。つまり僅か10年で4倍の売上に拡大したのでした。
しかし、2018年3月にベイリーは退任することになりました。ここ数年業績が悪化していたので、新しい空気を入れるための判断でした。そして新しいクリエイティブ・ディレクターに2005年から2017年までジバンシィで活躍していたリカルド・ティッシが就任することになりました(2022年9月末まで。後任はダニエル・リー)。今ここに、バーバリー帝国の逆襲がはじまろうとしていたのでした。
バーバリー初のグルマン・フレグランス
この香りは、バーバリーというブランドがはじめて生み出したグルマン・フレグランスです。
フランシス・クルジャン
クリストファー・ベイリーからリカルド・ティッシにバトンタッチする香りとして、2018年9月に発売された「バーバリー ハー」のコンセプトは、〝冒険心あふれる(ロンドンの)女性〟です。
ベイリーによりファッション・モデルとしてスター街道を走るきっかけとなったバーバリーのミューズ、カーラ・デルヴィーニュがキャンペーン・モデルとして登場します(2020年以降、二代目はフラン・サマーズ)。
ザ・モンキーズのリード・ボーカル、デイビー・ジョーンズも歌っていた「Maybe It’s Because I’m a Londoner」をカーラがカバーした曲が流れています。
バーバリーのフレグランスは、2017年10月よりコティが手掛けています。そして、コティのチーフ・マーケティング・オフィサーのシモーナ・カッタネオの指揮の下、フランシス・クルジャンが調香した二つ目のバーバリーの香りとなります。
「ホイップクリームのように軽やかなグルマンを生み出したい」
「グルマンは通常、べたべたして甘くて暗い香りなので、ホイップクリームのように軽くして、ふんわりとしたグルマンを作りたかったのです。そのためパチョリとバニラを取り除くことでそれを実現しました。この2つの成分は、おそらく過去10年間に嗅いだグルマンの香りのすべてに含まれていたことでしょう。
音楽に例えるなら、同じビートを違う楽器で作るようなものです。バニラがないので、粉っぽさがなくなり、暗くてシロップのようなパチョリの代わりに、新しいアンバーウッドを使いました。グルマンウッドとアンバーウッドの組み合わせは、トレンドに沿った香りでありながら、このカテゴリーの他の香りとはまったく違う香りを生み出しました。
イギリスではどこにでもベリーがあります。気付きましたか?朝食、ランチ、紅茶と一緒にベリーを食べ、いつもベリーを目にしています。
フランシス・クルジャン
クルジャンの「ホイップクリームのように軽やかなグルマンを生み出したい」という発想から誕生したこの香りは、ラズベリーを中心としたチェリー、ストロベリー、ブラックカラント、ブラックベリー、ブルーベリーが宝石の輝きをちりばめていくように、五彩の酸味の煌めきが素肌に与えられてゆくようにしてはじまります。
ここまで大胆なベリーミックスカクテルの香りは、いまだかつて存在したことがないでしょう。肌につけるとみずみずしさがはじけるようにムスクを加え、酔いしれんばかりの豪華なはじまりが生み出されてゆきます。でありながら人工的なベリーの匂いも感じさせるのが、この香りの特異な部分です。
やがて、ゆっくりとふくよかなジャスミンとヴァイオレットが、果実畑となった素肌の上に、うっとりするような花の香りを舞い散らせてゆきます。そして、クリーミーなストロベリーショートケーキが引き伸ばされていくような(溶けていくホワイトチョコレート×シェービングクリームのような)余韻に満たされてゆきます。
ボトルデザインは、1981年に発売されたブランド初のフレグランス「バーバリー フォー メン」のデザインをモチーフに製作されました。
ストロベリーシェイクが「バカラ ルージュ540」に注ぎ込まれたような香りのようでもあります。
香水データ
香水名:バーバリー ハー
原名:Burberry Her
種類:オード・パルファム
ブランド:バーバリー
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:30ml/9,020円、50ml/12,650円、100ml/17,710円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
トップノート:ラズベリー、ストロベリー、サワーチェリー、ブラックベリー、ブラックカラント、レモン、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:ジャスミン、ヴァイオレット
ラストノート:ドライアンバー、オークモス、ムスク