阪急メンズ東京 フレグランスカウンター
新たなる『聖地の中の聖地』誕生。一人の男性チーフ様(パルファン・ソムリエ)と一人の女性販売員様(ソムリエールを越えた販売員)が素晴らしいです。キリアンとフレデリック・マルという最難関のブランドに対しても、全国で伊勢丹新宿フレグランスコーナーと並ぶ最高の接客が期待出来る、いつもゆったりしている『都内の香りの秘境』です。
場所 東京・阪急メンズ東京
住所 〒100-8488 東京都千代田区有楽町2丁目5−番1号 1階
電話 03-6252-1381
パンデミックが明けるまで、〝フレグランスの聖都〟である銀座の入り口にある「阪急メンズ東京」のフレグランスコーナーはあらゆる意味で、残念な香水販売の見本市のようなものでした。
しかし、2023年頃に現ラトリエ デ パルファム 松屋銀座の男性チーフ様がこちらの店舗に異動してから、この売り場は劇的に変わりました。その遺伝子を継ぐ、ブルーベルの至宝の二人の販売員の方々が現在大活躍中です。
かつて『都内の香水の墓場』と呼ばれていた〝究極の塩接客スポット〟

©HANKYU HANSHIN DEPARTMENT STORES, INC.
新宿伊勢丹のフレグランスコーナーが〝香りの東の本山〟であるなら、うめだ阪急のフレグランスコーナーは〝香りの西の本山〟です。数年前まで、その売り場の接客レベルは、天と地の差がございました。しかし、最近、うめだ阪急のフレグランスコーナーも接客力が、メンズ館と共に上がってきています。
両方の売り場に、ブルーベル、カワベ、フォルテを中心としたフレグランス代理店の販売員の方々がおられるのですが、新宿伊勢丹とうめだ阪急のフレグランスコーナーにはそれぞれの販売員の接客力の差よりも、その売り場の作りゆえに差がつけられています。
新宿伊勢丹のフレグランスコーナーがとてもゆったりと見やすいオープンな空間であるのに対して、うめだ阪急のフレグランスコーナー(販売員の方々は素晴らしい方々が多いので残念)は、立ち食い蕎麦のような感じで、見にくくて狭苦しい空間です。
一方、双方のメンズ館を比べてみると、新宿伊勢丹のメンズ館のフレグランスコーナーはとても充実しています(もちろん、香水接客が出来ない販売員も少なからずおられますが…)。かたや阪急メンズ大阪は、クリードが取り扱われており、キリアンも、通常の陳列棚ではなく、ドラゴンボールで言うところのスーパーサイヤ人のような究極の陳列棚にディスプレイされ、接客力も飛躍的に上がっています。
そんな関西発の阪急メンズ館が、東京・有楽町にも存在します。数年前までは〝香水の墓場〟のような〝究極の塩接客〟が蔓延っていたここのフレグランス・コーナーが、2024年以降、奇跡を起こしています。
有楽町駅から出てすぐの〝フレグランスの聖都〟銀座の入り口にあるこの売り場は、多くの人が立ち寄らずに銀座に向かうため、とてもゆったりと香水選びが出来る『都内の香りの秘境』として、香水愛好家の間で、秘かに愛されている場所です。キリアンとフレデリック・マルが銀座で唯一存在する場所です。
阪急メンズ東京の〝二人の救世主〟
かつて「阪急メンズ東京 フレグランスカウンター」には四つの問題点がありました。
- 売り上げ実績を考慮してかどうかは断言できないのですが、各フレグランス代理店が、しっかりとした接客の出来る販売員を派遣しない、香水が好きであるかすら怪しい販売員が集まる店舗になっていた。
- お客様に挨拶が出来ない販売員が多い。香水に詳しそうなお客様が来ると、目をそらし、そそくさと遠くに行く(変なポジション取りだけ上手になる)。
- 商品知識が決定的に薄く、自分の言葉で香りをお伝えする以前の問題のアマチュア販売員が多い。プロ意識が欠如している。
- 豊富な商品ラインナップに胡坐をかいた接客=ムエットに香りを出し黙って隣に立つ接客=『どうですか?接客』が蔓延る←「お客様に決めてもらう姿勢(会社として香りをムエットにつけるだけの人に給料を払っているようなもの)」。
そのような香水の墓場になっていたこの売り場は、2023年頃に現ラトリエ デ パルファム 松屋銀座の男性チーフ様がこちらの店舗に異動してから、劇的に変わりました。
この方はかつてGINZA SIXに存在したサロン デ パルファム(2017年4月20日~2021年1月19日)のチーフ代理として活躍しておられ、その時入社した男性販売員と共に、かの地を活気のある売り場へと変えていったのでした。
そして、この男性チーフ様が東部百貨店池袋店に異動した後、この男性販売員様はチーフとなり、新たに加わった一人の女性販売員様の存在により、奇跡の復活を遂げたのでした。
何よりも素晴らしいのは、ブルーベルにおいてトレーニングの未熟さを示すバロメーターと言われているキリアンとフレデリック・マルという『ブルーベル最高峰のブランド』について、自らの学びによりパーフェクトな接客が出来るところです。
男性チーフ様は、とても誠実な方で、香水に対する深い愛をお持ちで、日々勉強というほど、驕りのない方です(都内でたまに見かける、斜に構えて、なぜか上から目線で、お客様の感想すらも否定する類の販売員タイプではない)。
この方は、香水に対する愛と情熱が素晴らしく、しっかりとひとつひとつの香りを大切にする作り手に対する敬意を持っておられる、もっともっとこの方から、香りのものがたりを聞いていたいと思わせる〝寄り添う温かい空気作り〟が出来る方なのです。
情熱に満ちたもうひとりの女性販売員様
もうひとりのブルーベルの女性販売員様は、元々、ファッション関係の仕事をされていた方で、香りに対する愛が高まり香水販売員になられた方です。
長身のとても素敵な女性なのですが、キリアンとフレデリック・マルに関しても、男性チーフ様に引けをとらないくらいに情熱をもって向き合っておられる所にあります(都内のブルーベルの多くのソムリエールは、キリマルに対する苦手意識が強い=全ては会社のトレーニング不足が原因)。
私がこの方の接客を受けた印象は、ブルーベルのトップオブトップである京都伊勢丹の神チーフ様(昨年10月に退職されました)の若かりし頃はこんな感じだったのではないだろうかと感じさせるほど、只者ではない言葉のチョイスのセンスの良さと、確かな接客力を持ち合わせています(東京で現役パルファムソムリエールとして働かれている皆様は、一度彼女の接客を受けて、更なる研鑽のきっかけにして頂きたいです)。
話を戻しましょう。〝二人の救世主〟の存在は、これからの百貨店の香水販売スペースの進むべき〝新しい方向性〟を示してくれています。それは品揃えに負けない〝プロの接客力〟が肝心ということです(そのためにしっかりとした給与も保障していかないといけません)。
なぜなら、今では香水愛好家の皆様は、香水がまとまって集まっていても、しっかりとした接客が出来ない店で購入しようと考えない、つまり、そうであるなら、カラリア様のようなサブスクや実店舗で香りを試して、ネットショップで購入する傾向にあるからです。
間違いなく、今、百貨店に求められるのは、百貨店の社員による香水売り場の対応ではなく(よほど本気で香水に向き合わないと、プロの販売員には足元にも及ばない)、すべてプロに委ね、売り場を効果的に活用してもらうことです。
何よりも、ダメなのは、香水売り場の担当でありながら、ヌケヌケと「私は香水についてはほとんど知りません」と何ヶ月、何年経っても、言ってしまう社員を放置してしまうことです。この売り場を任されているということは、勿論、お客様以上に、その売り場のひとつひとつの商品について知っておかなければならないのです。
香水売り場に「ぽ~~っと立っている百貨店社員」のそのプロ意識の欠如が、売り場の空気に悪い影響を与えていることに気づかないと駄目です。
だからこそ、阪急メンズ東京のフレグランスカウンターにおられる〝二人の救世主〟(ブルーベル)の存在は、新しい香水接客の到来を知らせる存在として、注目に値するものなのです。
私は、香水の墓場だった阪急メンズ東京が奇跡を成し遂げたことから、阪急メンズ大阪のフレグランスコーナーは大いに学んでいるように感じています。下手をすると、東西の阪急のメンズ館は、とんでもなく素晴らしい『香水の聖地』に成り得る眠れる獅子たちなのです。