阪急メンズ東京 フレグランスカウンター
場所 東京・阪急メンズ東京
住所 〒100-8488 東京都千代田区有楽町2丁目5−番1号 1階
電話 03-6252-1381
〝フレグランスの聖都〟である銀座の入り口にある「阪急メンズ東京」のフレグランスコーナーはあらゆる意味で、残念な香水販売の見本市のようなものでした。しかし、ここ一年でこの売り場は劇的に変わりつつあります。その立役者が、ブルーベルの三人の男性販売員の方々なのです。
阪急百貨店のフレグランスコーナーの問題点
新宿伊勢丹のフレグランスコーナーが〝香りの東の本山〟であるなら、うめだ阪急のフレグランスコーナーは〝香りの西の本山〟です。しかし、残念なことに、その売り場の接客レベルは、天と地の差がございます。
両方の売り場に、ブルーベル、カワベ、フォルテを中心としたフレグランス代理店の販売員の方々がおられるのですが、問題はそれぞれの販売員よりも、売り場の作りにあります。新宿伊勢丹のフレグランスコーナーがとてもゆったりと見やすい空間であるのに対して、うめだ阪急のフレグランスコーナーは、立ち食い蕎麦のような見にくくて狭苦しい空間です。
一方、双方のメンズ館を比べてみると、新宿伊勢丹のメンズ館のフレグランスコーナーはとても充実しています(もちろん、香水接客が出来ない販売員も少なからずおられますが…)。阪急メンズ大阪は、本館より大きなフレグランスコーナーがあります。
しかし、こちらは売り場は素晴らしいのですが、大多数の販売員の方々の接客姿勢が、明らかにプロ意識に欠けるものであり、ゆったりした空間が、もっさりとした閑古鳥が鳴く空間に成り果てています(一番の問題が、商品知識がない販売員の方々が多いだけでなく、接客姿勢も、ムエットに吹きかけて黙って隣に立つ『どうですか?接客』が蔓延っている所にあります)。
空前のフレグランスブームの中、伊勢丹がサロンドパルファムを10回コンスタントに開催し、成功を収めている中、阪急は、2015年のフレグランス・イベントの失敗から立ち直れず、新たなるイベントが開催出来ていません。この原因は旧態依然とした現場の士気の低さと、社員が〝新しい香水販売のあり方〟を全く理解できていない状況から抜け出せていないからでしょう。
そして、そんな大阪の阪急の両フレグランスコーナーの悪い部分をすべて混ぜ合わせたようなフレグランス・コーナーが、阪急メンズ東京のフレグランスカウンターでした。
有楽町駅から出てすぐの好立地にあるこの売り場は、〝フレグランスの聖都〟銀座の入り口として、最大のフレグランスの集まる場所なのですが、香水愛好家にとって、ここは素通りポイントになってしまっていました。
阪急メンズ東京の〝三人の救世主〟
「阪急メンズ東京 フレグランスカウンター」の四つの問題点。
- 売り上げ実績を考慮してかどうかは断言できないのですが、各フレグランス代理店が、しっかりとした接客の出来る販売員を派遣しない、香水が好きであるかすら怪しい販売員が集まる店舗になっている。
- お客様に挨拶が出来ない販売員が多い。香水に詳しそうなお客様が来ると、目をそらし、そそくさと遠くに行く。
- 商品知識が決定的に薄く、自分の言葉で香りをお伝えする以前の問題のアマチュア販売員が多い。プロ意識の欠如。
- 豊富な商品ラインナップに胡坐をかいた接客=ムエットに香りを出し黙って隣に立つ接客=『どうですか?接客』が蔓延る←「お客様に決めてもらう姿勢(会社として香りをムエットにつけるだけの人に給料を払っているようなもの)」。
そのような香水の墓場になっていた「阪急メンズ東京 フレグランスカウンター」が、ブルーベルの三人の男性販売員の存在により、奇跡の復活を遂げようとしています。
一人の男性は、大丸東京のラトリエデパルファンにもおられた方で、会って、一秒で香りに対する深い愛情が伝わってくるほど情熱的な方です(若い頃の山本寛斎様に雰囲気が似ておられます)。何よりも、香りについての説明が素晴らしい方で、一緒に香りを選んでいただきたい!と思わせてくれる素敵な温かい接客をしてくださる方です。
さらに二人の男性も、若さと香水に対する愛が、しっかりとひとつひとつの香りを大切にする作り手に対する敬意に向いており、もっともっとこの方から、香りのものがたりを聞いていたいと思わせる素晴らしい空気作りが出来る方々なのです。
この三人が生み出す〝寄り添う温かい空気〟が、この売り場を良い方向に変えているのだと思います。特に、キリアンとフレデリック・マルに関しては、東京ではこの方々の接客をお受けになられることをお薦めします。
彼らの存在は、これからの百貨店の香水販売スペースの進むべき方向を示してくれています。それは品揃えに負けない〝プロの接客力〟が肝心ということです。なぜなら、今では香水愛好家の皆様は、香水がまとまって集まっていても、しっかりとした接客が出来ない店で購入しようと考えない、つまり、そうであるなら、実店舗で香りを試して、ネットショップで購入する傾向にあるからです。
間違いなく、今、百貨店に求められるのは、百貨店の社員による香水売り場の対応ではなく(よほど本気で香水に向き合わないと、プロの販売員には足元にも及ばない)、すべてプロに委ね、売り場を効果的に活用してもらうことです。
何よりも、ダメなのは、香水売り場の担当でありながら、ヌケヌケと「私は香水についてはほとんど知りません」と何ヶ月、何年経っても、言ってしまう社員を放置してしまうことです。この売り場を任されているということは、勿論、お客様以上に、その売り場のひとつひとつの商品について知っておかなければならないのです。香水売り場に「ぽ~~っと立っている百貨店社員」のそのプロ意識の欠如が、売り場の空気に悪い影響を与えていることに気づかないと駄目です。
だからこそ、阪急メンズ東京のフレグランスカウンターにおられる三人の男性販売員(ブルーベル)の存在は、新しい香水接客の到来を知らせる救世主として、注目に値するものだと考えています。
私は、香水の墓場だった阪急メンズ東京が奇跡の復活を遂げようとしている姿勢から、阪急メンズ大阪のフレグランスコーナーが学んでいけば、このコーナーは大きく化けるポテンシャルがあると考えます。つまりは、偉大なる〝聖地〟に成り得る眠れる獅子なのです。