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進化する香水接客をまず知る|完全紹介制Parfum Essential Lesson『アティテュード』の理念

アティテュード
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ブランドの垣根を越えた香水接客のレッスンの必要性

この記事は、不当に安い賃金と、モチベーションの上がらない待遇の中、ただただ愛する香水と関わる仕事に従事したいという一念で日々頑張っておられる、日本全国の香水販売員の皆様(または香水を取り扱う売り場で働く皆様)に向けての記事となります。

カイエデモードは、『全国フレグランス×香水聖地巡礼ガイド』を、忖度なしで作り上げていくために、ファッション業界の知人10人に、定期的に予算を預け、実際に色々な店舗で接客を受けて頂き、購入し、レポートを挙げて頂いております(購入することのないミステリー・ショッピングの前時代的な調査は、まったく無意味です←企業にとって自己満足に過ぎず、現場の販売員にとっては、接客のプロではない素人により粗探しされる、屈辱的なある種のパワハラとも言えます)。

2020年から『全国フレグランス×香水聖地巡礼ガイド』を作る中で、〝聖地〟とは真逆の環境である〝香水の墓場〟を生み出している販売員の共通点が、トレーニング不足、または幼稚なトレーニングにより、変なクセがついているためということに気づかされました。

そんな中、特に、ブランドの垣根を越えた香水接客のレッスンが必要だと感じたひとつのきっかけをお話させてください。

それはラグジュアリー・ブランドのHで働くウォッチ・スペシャリストの女性販売員の方との会話でした。その方は、自社の腕時計について、名前の意味、歴史などを、心のこもった豊かな表現でお伝えしてくださる方です。基本的に、Hというブランドは、ほとんど説明せずに無教養と無知識を気にもせず「自分で決めて」という姿勢の販売員が多いブランドです。

Hの弱点は、新しく入った販売員に対しては2週間みっちり本社トレーニングを行うのですが、その後、定期的なトレーニングがしっかりと行われていないため、お客様に対して、慢心し、勘違いしてしまう販売員(迷わずにお金を使うお客様が神様という考え)を生み出す土壌を作り出してしまっています。

話をスペシャリストの女性に戻しましょう。彼女は私に、「実は私、最近ジャン=クロード・エレナさんの『香水』という本を購入したんです」と仰いました。その理由をお聞きすると、彼女はこう答えました。「私たちのブランドのスタッフは、香水の接客がでたらめだというお言葉を店頭で頂戴したり、SNSなどで少なからず話題になっていることを見て、これはまずいと感じていました。なぜなら、若いお客様は、まず香水から購入しに来られる方が多いからです。」

自分のブランドの中で、もっとも安い商品カテゴリー、であるにも関わらず専属調香師を雇い、大きくディスプレイしてまで商品をコンスタントにリリースしている理由はなぜなのでしょうか?むしろ手に届きやすい価格で、店頭でブランドの精神をお客様にお伝えすることが出来る〝ブランドを映す水=アンバサダー〟として香水を取り扱わないといけないのではないだろうか?そう力説する彼女の情熱に心打たれました。

今、ラグジュアリー・ブランドには、AIよりも心が死んでいる(お客様の気持ちが分からない)販売員が増殖しています。その一方で、このような素晴らしい心をお持ちの販売員の方も増えてきているのです。

そんな彼女が最後に言った言葉が、私の心に引っかかりました。

本を読んでいるだけだと、接客で生かしにくいのです

この会話がすべてのはじまりでした。

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進化する香水接客をまず知る

日本における香水販売の接客パターンは、2016年まで2パターンしか存在しませんでした。

ひとつは、ゲランシャネル等のコスメカウンターでの香水接客、そして、もうひとつは、1950年代からはじまるわかば(現在はカワベが吸収)とブルーベル・ジャパンによる、欧米のフレグランス・ブランドの販売代理店としての専門特化した香水接客の二つです。

特に、かつてのブルーベルの香水トレーニングは、その厳しさにおいて他に類を見ないものであり、そのため2010年までに入社しているブルーベルのソムリエールは今でも能力の高い人が多いと言われています。

やがて時は過ぎ、2016年以降、三つの革命の流れが、香水接客のあり方を劇的に変えていくことになりました。

  1. ラグジュアリー・フレグランス接客革命』。2016年9月にフレグランス販売をスタートしたルイ・ヴィトンによる、フレグランス・スペシャリスト制導入。
  2. ニッチ・フレグランス革命』。2017年8月のNOSE SHOPオープンからはじまる、ニッチ・フレグランスの興隆。
  3. 香水カウンセリング革命』。2018年11月に創業したル シヤージュ京都の米倉さんによる、本格的な香水接客。

ここに2013年から新宿伊勢丹で開催されている「サロンドパルファン」の熱量が加わり、日本においては、香水=香害もしくはモテアイテムと考えられていた風潮が、がらりと変わり、さらにパンデミックの影響もあり、人生を豊かにするもの=心の栄養素として、未曾有の香水ブームを生み出すことになったのでした。

つまり、香水選びは「なんとなく」の時代から、自分にフィットしたワードローブを選ぶように、オン・オフ・ドラマティックといった自分の人生にフィットした香水を選んでいく流れが、今主流の考え方となっています。

そんな中、(香水専門店だけでなく)香水を取り扱う売り場において、香水接客の重要性が問われるようになっています。しかし、どの企業もしっかりと理解出来ていないのが、進化していく香水販売において、販売する環境によって、香水の接客は全く変わっていくということでした。

香水販売は大きく分類すると以下の4つに分けられます。それぞれが、全く違った香水接客が求められます。

  1. ルイ・ヴィトンやエルメスなどのブティック内でだけ、香水を販売しているラグジュアリー・メゾン
  2. ブルーベルやNOSE SHOPなどの多種多様のブランドのフレグランスを取り扱う代理店
  3. トム・フォード、ランコム、シャネルなどのコスメカウンター
  4. MCD、ディプティック、フエギアなどの単独でのフレグランスメゾン
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あなたのブランドのフレグランス・トレーナーは大丈夫?

2024年に入り、フレグランスのトレーナーの資質の見直しが始まっています。すべては、フレグランス業界で最も勢いのある、エスティ・ローダー・グループ傘下のルラボが、最高峰のフレグランス・トレーナーを就任させたことからはじまりました。

どうやら、フレグランス・トレーナーのあり方が、より本格的なものであらねばならないということに企業は気づき始めたのです。つまり名ばかりのトレーナーが、この業界多すぎるのです。ここで、フレグランス・トレーナーに絶対必要な資質を記載しておきます。あなたの働いているブランドのトレーナーの能力を測る指針となれば幸いです。

  1. 10年以上のフレグランス接客経験。←これは絶対です。これがない人がフレグランストレーニングをしても全く意味のないトレーニングとなります。経験値の低いトレーナーは売り上げ至上主義になりがちです。そのため「お客に説明しすぎないように」と言います。しかし、実際のところ、しっかり説明するだけのトレーニングをする能力を持ち合わせないからそう言う人がほとんどです。
  2. フレグランスの歴史はしっかりと理解していること。日本のフレグランス・トレーナーのほとんどが、まずトレーナーとしてのトレーニングを一から受けるべきほどに、基礎知識が欠落しています。あらゆる分野に共通していることなのですが、基礎のない人からトレーニングを受けると、変なクセがついてしまいます。
  3. 自社ブランド以外のフレグランスについて、しっかりと勉強している。←この点について今まで特に疎かにされてきました。他社のフレグランスについて知らないトレーナーはトレーナーと名乗る資格はありません。その理由は、他社のフレグランスについて知らないトレーナーは、安易に他社を貶めがちです。しかし、これからの香水接客に求められる最重要スキルは、他社ブランドに対する敬意なのです。なぜならお客様はそのブランドの香りを愛しているかもしれないからです。
  4. カンニングペーパーを見て説明しない。←びっくりするでしょうが、多くのトレーナーがカンニングしながらトレーニングをしています。さらに、トレーニング中、質問に対して即答出来ない人がいます。香料を棒読みさせる販売員を生み出さないために、香料を表現豊かに伝える能力をまずトレーナー自身が持っていないとだめです。
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香水接客のレッスンが、真のフレグランス・スペシャリストを生み出す。

本物のフレグランス・トレーナーが必要となる現状に、ほとんどの香水を扱う企業は対応できていません。だからこそ、フレグランスのパーソナル・レッスンを受けて、意識を高めていく必要があるのです。

そのようなことを日本でも有数の超一流の現役フレグランス・スペシャリストであるmuguet様と常に話していました。そして、アフターコロナ時代が本格化していく今こそ、真のフレグランス・スペシャリストが求められる時代になる。そして、現在、香水に関わる仕事のほとんどの人々が直面している未来のない環境を改善していくきっかけにしていきたい思いを込めて、共にパフューム・エッセンシャル・レッスン『アティテュード』を定期的に共同開催することになりました。

ここで、日本の香水販売の問題点を羅列しておきます。

  1. とにかく給与がびっくりするほど安い(都内だと生活していけないレベル)。
  2. 店長になってもほとんど給与は上がらず、キャリアアッププランも存在しない。
  3. トレーニングの環境が崩壊しており、名ばかりのトレーニングでごまかされている。
  4. 香水販売員が、一番、新作香水を購入出来ない経済状態に追いやられるので「香りを楽しむ心」が失われていく。

実に哀しい現状です。

さて『アティテュード』が、トレーニングではなくレッスンと位置づけているのは、香水接客とは、バレエのダンサーや舞台俳優、歌手のように、定期的なレッスン(=ブラッシュアップ)が必要なプロフェッショナルな職業だと考えるからです。一方で、香水接客がメインではない販売員の方が、受講されても意味のあるものを生み出したかったからです。

まず、『アティテュード』が行わないことは以下の三点です。

  • 売れるための香水接客を伝授する
  • 退屈な香料暗記トレーニング
  • 知識がなくても売れるキラーワード伝授

レッスンの基本姿勢はシンプルです。

  • 香りを素直に愛する心を養う
  • 優しい気持ちで香りと生きる
  • 香水の素晴らしさをお客様に、心でお伝えする

そういった姿勢を生み出していくレッスンなのです。より詳しい内容は、muguet様のページを参考にして頂けると分かりやすいと思います。私は香水接客のプロではありません。プロの言葉こそ最も信用できる言葉なのです。