ジェームズ・ボンド、プレイボーイを読む
本作の中で最もジェームズ・ボンドらしいクローズを挙げよと言われたならば、プリンス・オブ・ウェールズ・チェックのこのスーツでしょう。ジャケットのノッチラペルの幅はあくまでもミディアムです。
1968年~69年という時代は、まさに60年代の細身のラペルから、70年代の太めのラペルへの転換期でした。ちなみに、1967年にピーコック・レボリューションが起こりました。
本作におけるラッフル・ディナーシャツや、ホワイト・スーツがその代表例と言えるのですが、やはりジェームズ・ボンドは、相反する王道のボンド・スタイルの方が似合うのです。
ジェームズ・ボンド・スタイル8
プリンス・オブ・ウェールズ・チェック・スーツ
- テーラー:ディミ・メイジャー
- プリンス・オブ・ウェールズ・チェック・スーツ、2つボタン、ソフトショルダー、チケット・ポケットとダブルベンツ、ノッチラペル
- フランク・フォスターのスカイブルーコットンシャツ
- ネイビー・ニットタイ、ハーフ・ウィンザーノット
- ブラックレザー・ローファー
- ロレックスのサブマリーナー5513
ジェームズ・ボンド・スタイル9
ダブルスーツ
- ネイビーブルーのダブルコート、ウール、ピーコートスタイル・カラー、6ボタン、シングルベント
- ネイビーブルーウールブレザー、ダブル、〝トウツラペル〟というピークドラペル、6ボタン、ダブルベンツ
- ライトグレイ・フランネルトラウザー
- レッドニットシルクタイ
- フランク・フォスターのスカイブルーポプリンシャツ
- ブラックレザー・プレイン・トゥ・ブルーチャー
- ロレックスのサブマリーナー5513
ダブル・ジャケットは1930年代後半に流行し、1960年代後半にリバイバルヒットしました。そんな中、ジェームズ・ボンドもダブルを着ます。しかし、その着こなしはあくまでもタイトなモッズスタイルです。
ジェームズ・ボンド・スタイル10
ストライプスーツの似合わない二代目ボンド
- 山高帽
- ネイビーブルーのダブルコート、ウール、ピーコートスタイル・カラー、6ボタン、シングルベント
- ネイビーのチョークストライプの3つボタンのスーツ
- レッドニットシルクタイ
- フランク・フォスターのスカイブルーポプリンシャツ
- ブラックレザー・ドライビンググローブ
ピッツ・グロリア
標高2970メートルのシルトホルンの頂上にあるピッツ・グロリアが登場します。200以上もの山の頂が見えるそこへはアルプス一長いロープウェイを使っていきます。
現在のピッツ・グロリアは、太陽光発電で建物自体がゆっくりと回る回転レストラン(1時間で360度回る)として運営されています。
ジェームズ・ボンド・スタイル11
アルスターコート・スタイル
- テーラー:ディミ・メイジャー
- グレーのツイードのフェルト帽、レッド・オーバーチェック
- べっ甲の丸眼鏡
- ベージュ・スカーフ
- ブラウンのマント付きヴィクトリア調のアルスターコート、オーバーコートのようなピーコート、5つボタン、セットインスリーブ、シングル、プロイセンカラー
- ネイビータイ
- オリーブのレザーグローブ
- ブラウンのレザー・ウイングチップ・ダービー
- タッターソール・パターンのシャツ
- グレーのスーツ、ブラウンツイードウールの3ピース、2ボタン、他のスーツと同じシルエット、シングルベント、トラウザーはダブル・フォワード・プリーツのナロー・テイパードレッグ
- ロレックスのクロノグラフ6238
作品データ
作品名:女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service(1969)
監督:ピーター・ハント
衣装:マージョリー・コーネリアス
出演者:ジョージ・レーゼンビー/ダイアナ・リグ/テリー・サバラス/アンジェラ・スコーラー/カトリーヌ・シェル
- 【女王陛下の007】スタイリッシュなスウィンギング・ボンド
- 『女王陛下の007』Vol.1|二代目ジェームズ・ボンド、ジョージ・レーゼンビー
- 『女王陛下の007』Vol.2|ジョージ・レーゼンビーとルイ・アームストロング
- 『女王陛下の007』Vol.3|ジョージ・レーゼンビーのモッズ・スタイル
- 『女王陛下の007』Vol.4|ジョージ・レーゼンビーとテリー・サバラス
- 『女王陛下の007』Vol.5|素晴らしかったジョージ・レーゼンビー
- 『女王陛下の007』Vol.6|女王陛下のボンドガール、ダイアナ・リグ
- 『女王陛下の007』Vol.7|ダイアナ・リグ、ルールブルーを愛するボンドガール
- 『女王陛下の007』Vol.8|ダイアナ・リグは永遠に不滅です。
- 『女王陛下の007』Vol.9|12人のボンドガール=死の天使たち