〘 お知らせ 〙|2026年1月31日

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ガブリエル シャネル|4種類の花々が溶け合い、さらに美しい『シャネルの白』が誕生する

シャネル
©CHANEL
シャネル
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ガブリエル シャネル

原名:Gabrielle Chanel
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:35ml/11,880円、50ml/17,600円、100ml/24,200円
公式ホームページ:シャネル

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14年ぶりのシャネルの新作フレグランス

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あらゆる年齢の女性にとって、憧れのラグジュアリー・ブランドとして、21世紀においても、頂点に君臨し続ける「シャネル」。2017年9月に、その創始者ガブリエル・シャネルの名を冠し、14年ぶりの新作フレグランス「ガブリエル シャネル」が発売されました(ちなみに14年前のフレグランスとは、チャンスのことです)。

公式には、この香りは、デザイナーとしての〝ココ・シャネル〟が誕生する前の、情熱にあふれ、どこまでも自由であることを追い求めた頃の、無名時代の〝ガブリエル・シャネル〟に焦点を当てた香りとされています。

私の信念は、ただひとつです。素晴らしい香りの創造は時間に反比例するということです。

オリヴィエ・ポルジュ

しかし、実際のところは、3年かけてこの香りを生み出したシャネルの4代目専属調香師オリヴィエ・ポルジュ自身が語るように、「若い世代向けに、自由な精神で調香した作品であり、名前から生み出された香りではない」ということです。

ただし、シャネルの会社側の思惑としては、1984年にオリヴィエの父ジャック・ポルジュが創造した「ココ」に匹敵する、〝新たなるシャネルを象徴する香り〟と位置づけされています。

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4種類の花々が溶け合い、さらに美しい『シャネルの白』が誕生する

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シャネルが〝ソーラー・バイブレーション〟と形容し、〝究極のフローラル宣言〟をしたこの香りは、アルデハイドとグレープフルーツ×マンダリンがひとまとめになり、シャンパンのように弾け合い、発泡しながら我が身に降り注ぎ、ひときわ明るく美しい素肌を生み出していくようにしてはじまります。

さらに美しい「シャネルの限りなく透明に近い白」を生み出していくように、フルーティーなブラックカラントも溶け込み、爽やかなきらめきに満たされてゆきます。さぁ、天然香料だけでは決して到達することが出来ないであろう〝本物以上にあざやかで美しい〟花と果実の輝きのはじまりです。

まず一番最初に現れるフローラルは、クリーミーなグラース産のチューベローズ(1987年よりシャネルが独自に提携しているムル家の農場で、2010年代はじめにグラースの廃業するチューベローズのサプライヤーがジャック・ポルジュに託した最高品質のもの)です。

さらに、すぐ後から(エキゾチックな)エジプト産のジャスミン、(甘くフレッシュな)チュニジア産のオレンジ・ブロッサム、(グリーンフルーティーな)コモロ産のイランイランといった計4種類の白い花々が、軽やかに、競い合うように香りを放ちます。

敢えてローズが排除されているのが、ガブリエルのガブリエルたる所以です。つまりはココ・シャネルになる前の、まだ無邪気だったガブリエル時代のシャネルの香りなのです。

以下、オリヴィエ・ポルジュによる4つの香料に関する説明を記述していきましょう。

  1. チュニジア産のオレンジ・ブロッサムは、この香りにフレッシュとスパークリングする感覚を与えています。まるで光り輝く太陽のような花の側面を生み出しています。
  2. コモロ産のイランイランは、シャネル独自の抽出プロセスで抽出された最高級なエクストラ(4つのグレードの中の最上級のもの、水蒸気蒸留の最初の1~2時間で採れるもの)。グリーンかつフルーティーな側面を強調し、薬のような側面を減退させ、より明るい側面が強調されています。
  3. エジプト産のジャスミングランディフローラムが使用されており、N°5で使用されているグラース産とは別のものです。イランイランとの相性がよく、軽いインドールを伴うフルーティーで芳醇な少し甘いジャスミンです。そして、ジャスミンは、オレンジ・ブロッサムにより、濃密な香りを拡散させることが出来るのです。
  4. チューベローズは、フレグランスによく使用されるエジプト産ではなく、グラース産のものが使用されています。それはシャネル独自の秘密のプロセスを経た、〝とてもグリーンで、ワックスのようでもあり、レザーの質感も持ちながら、ジャスミンのようなクリーミーさもある〟奥行きのあるチューベローズです。この僅かなチューベローズがジャスミンのクリーミーな側面を引っ張り出す役割を果たしています。

かくして4つの花々が渾然一体となるフローラルブーケは、まるで最高のプロポーションと美貌を誇る若手女優の大競演とも言える「花の祭典」のように、それぞれが伸び伸びと華やかさを演出しながら、きらめくオーラを広がらせてゆきます。

やがてクリーミーなサンダルウッドとベンゾインに導かれてゆきながら、バニラとムスクの渦巻く星雲にきらめくフローラルブーケは引き込まれていくのです。

まるで「ココ マドモアゼル」の翳りのある微笑から、その翳り(=パチョリ)を取り除いたような香りです。ただし、オリヴィエ自身が認めているように、ほのかなパチョリの側面だけは忍ばせています。

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キャンペーン・ミューズは、クリステン・スチュワート

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5年かけられて作り上げられたボトル・デザインは、シルヴィ・ルガストゥロワによるものです。今までのどのシャネルのフレグランスのボトルよりも薄い厚みで作られており、すべての面が光を反射し、中のシャンパンゴールドの液体(ジャドールか?)が輝きを放つように、ボヘミアガラスの工房で創られています。

ちなみに日本国内において、1.5mLのサンプルが先着30,000人に無料配布されたことが、賛否両論を生みました(香料よりも、無料サンプル配布に予算を割いた香りと言われてしまう)。

キャンペーン・ミューズとして、2013年よりシャネルのアンバサダーをつとめているクリステン・スチュワート(1990-)が起用されています。イギリスのCF界の鬼才リンガン・レドウィッジ監督の映像は、ビヨンセの「Runnin’」が流れ、とても美しいのですが、「ジャドール」とその世界観が似ています。

写真の方は、カリム・サドリによって撮影されました。ちなみに、2017年に新作のハンドバッグ「ガブリエル ドゥ シャネル」が発売され、そのキャンペーン=〝ガブリエル・イヤー〟においてもクリステンはミューズをつとめています。

このキャンペーン・フィルムを見ていると、シャネルの香水に求められるイメージというよりは、ラグジュアリー・ストリートを着て戦う女性のイメージが出ています。

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ジャック・ポルジュも参加して生み出された「新しいシャネル」

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冷酷な言い方をすれば、「ココ マドモアゼル」から個性を捥ぎ取ったこの香りは、シャネル自身ではなく、ココの偉業も、シャネルの歴史も大して知らずに、シャネルを愛することが出来るガブリエル達に捧げられた、ココ・シャネル自身の精神とは真逆のフレグランスなのかもしれません。

最後に、あるインタビューで、オリヴィエ・ポルジュが放った言葉が印象的でした。「この香りを父ジャックが完成前に嗅ぐ機会はありましたか?」という質問に対し、「父は今も定期的にラボに出勤しているので、完成までずっと付きっきりも同然でした」と笑みを浮かべながら返していました。

この香りは、間違いなく、ポルジュ親子と影の男クリストファー・シェルドレイクが放つ〝大衆化したシャネルというブランドのモノリス〟なのではないでしょうか。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイドⅢ』で、「酸っぱいフローラル」と呼び、「偉大なジャック ポルジュがセミリタイアしたとき、その後任が息子のオリヴィエで、シャネルのもうひとりの調香師、クリストファー・シェルドレイクではないと聞いて私は驚いた。シェルドレイクは香水に関して、比較にならないほど立派な実績を残している。フランスの世襲制は、あの激動の1789年8月4日の夜に廃止されたと一般には考えられているが、どうもまちがいだったらしい」

「「ガブリエル」はシャネルから生まれた風変わりな獣だ。興味深い芸術的なアイディアをもとにした、技術上の失敗。トップノートは陽気な明るさと酸っぱさ、ややジャスミンサンバックに似て、素晴らしいシャルドネのような渋みがあって頭がのぼせる感じ」

「「ガブリエル」は最初の5分でものすごく早く展開する。あまりに早すぎて全貌がつかめないほど。この香水は何度も再スタートを切って味わいを変える。美しくはかないガーデニア、スエードレザーのノート、つかのま挟まれる「N°5」 の金色のなめらかさ。しかしそうした各々がメロディーを奏でるすてきな内声は、「陳腐で目を開けていられないほど現代的なホワイト フラワーのアコードによって、 すっかり押し流されてしまう。そして数分後には(すなわち必要とされる1時間ほど前には)、香りを完全に破壊するのだ。まるでだれかがみごとに手の込んだ香りを偉大なシャネルのやり方で作ったのに、べつのだれかがトップノートは目立たないしドライダウンは古くさすぎると文句を言ったかのよう」

「「ガブリエル」の匂いを嗅いで、この素晴らしい香水がどんな不可視インクで処方されているのか知りたくなったら、次のことを試してみるといい。大ぶりで白い花束の匂いを嗅いで、それから「ガブリエル」に戻る。すると何が含まれているかわかるだろう。私にはこれが売れるとは思えない」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ガブリエルシャネル
原名:Gabrielle Chanel
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:35ml/11,880円、50ml/17,600円、100ml/24,200円
公式ホームページ:シャネル


トップノート:マンダリン・オレンジ、グレープフルーツ、ブラック・カラント
ミドルノート:チューベローズ、イランイラン、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、洋梨、ピンク・ペッパー、スズラン
ラストノート:サンダルウッド、ムスク、カシュメラン、ニオイイリス