カトリーヌ・ドヌーヴのゴールドガウン
カティ・ルック2 ゴールドガウン
- ゴールドガウン
私のオリジナル脚本は、すべて例外なく、西部劇を置き換えたものだ。
ジャン=ピエール・メルヴィル
ブロンド美女にゴールドガウンという最大級の見せ場シーンがやって来ます。この瞬間、アラン・ドロンは、『太陽がいっぱい』のリプリーのような生き生きとした表情の片鱗を見せ、ドヌーヴもまた少女のような表情を見せます。しかし、この魅力的な2人のやり取りは、化学反応を生む前に、ここで全て終了します。
ジャンヌ・ナタフのファーコート
カティ・ルック3 ファーコート
- ジャンヌ・ナタフのファーコート
アクアスキュータムのトレンチコート
私の映画は、自分だったら、こう行動するという願望を描いている。
ジャン=ピエール・メルヴィル
北野ブルーに影響を与えたメルヴィル・ブルーの中、オープニングに登場する4人のコート姿の中年男たち。時は、12月23日、人々の心が一番浮ついているこの時期に、激しい雨が降る海辺の銀行が襲われるのでした。
そのうちの1人であるリチャード・クレンナがまた渋い。彼はオードリー・ヘプバーンの『暗くなるまで待って』(1967)の芝居をメルヴィルに認められ起用されたのですが、どこか人間的な温かさを持つ役者であり、当時の日本で言うところの二谷英明のような役者でした。
そんな彼が着るアクアスキュータムのトレンチコート姿が、また美しい。この作品は、結果的には、イヴ・サンローランに見せ場はなく、美しいコートを着た情緒溢れるトランスジェンダーと、トレンチコートを着た男の滅びの美学のみが突出した、冬にコートを着た男達の悲しい寓話でした。