オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン37 『暗くなるまで待って』1(2ページ)

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作品名:暗くなるまで待って Wait Until Dark (1967)
監督:テレンス・ヤング
衣装:オードリー・ヘプバーン
出演者:オードリー・ヘプバーン/アラン・アーキン/リチャード・クレンナ/サマンサ・ジョーンズ



最後のオードリー・ヘプバーン

この作品をもって、一般的にイメージされるオードリー・ヘプバーンは有終の美を飾ることになった。

この作品を最後にオードリー・ヘプバーン(1929-1993)はスクリーンから8年間身を引くことになります。そして、1976年に『ロビンとマリアン』で復帰し、残り3本の作品に出演することになります。しかし、もうその頃のオードリーには、かつての輝きは失われており、美貌の名残り火のようなものが存在していただけでした。つまり、一般的にイメージされているオードリーの姿が認識できる最後の作品は、本作『暗くなるまで待って』なのです。

この作品の全ての衣装はオードリー自身がパリでチョイスしたものと、監督のテレンス・ヤングが回想するように「彼女はどこかサックス(ニューヨーク、5番街のサックス・フィフス・アヴェニュー)のような店へ行って、出来合いの地味な服を二着買ってきた」ものでした。

「我々はごくありきたりの服を使うことに決めた―彼女は目が見えないのだから、色は重要ではなかった。明らかにジバンシィはこの映画には向いていなかった」とテレンスは回想しているように、この作品の衣装は極めてリアル・クローズです。しかし、そんな衣装でさえも、一種のオーラに包み込んでしまうのが、オードリーのオードリーたる所以なのです。さらに言うならば、この作品においてもジバンシィは着用されているのでした。

さて、この作品が実質的な最後のオードリー・ヘプバーンとなります。そんな彼女が選んだ役柄は、オードリーのアイデンティティの全てともいえる、優雅な物腰とチャーミングな目の動きを封印しなければ演じることの出来ない役柄でした。そして、この封印が結果的には、オードリーから失われつつあった、“健気さ”を蘇らせたのでした。



60年代のスーパーモデル・サマンサ・ジョーンズ

極めて60年代的なヘアスタイルのリサ。

胸元の開いたオレンジ色のブラウス。

そして、レザーのラップミニに、レザーのゴーゴーブーツに、ファーというストリート・ガール・スタイル。

とてつもなく高価そうなファーコートを着ています。

一方、<悪漢>アラン・アーキンは、ダッフルコートを着ています。

昔はこれほど手荷物検査は杜撰だったのかと驚かされる空港シーン。

サマンサ・ジョーンズは60年代半ばから後半にかけて、最も人気のあるファッション・モデルの一人でした。

ヴォーグの表紙も何度も務めています。1967年2月号。

オレンジ・シルク・パジャマを着るサマンサ。ヴォーグより。

クリスチャン・ディオールを着るサマンサ・ジョーンズ。ヴォーグ、1967年。撮影:ヘンリー・クラーク。

60年代の特徴は、個性でした。マネキンが個性を持ち始めた時代で・・・彼女たちは自分を作るようになったのです。

ダイアナ・ヴリーランド

オープニングに登場するリサという恐ろしくスタイルの良い女性。リサを演じるのは、1960年代においてシャネルやレブロン等のイメージ・モデルやヴォーグ誌などにおいてファッション・モデルとして活躍していたカナダ出身のサマンサ・ジョーンズ(1943-)です。

本作のプロデューサーであり、当時オードリーの夫であったメル・ファーラーは、なぜかリサという役柄のキャスティングのためにアメリカ中のファッション・モデルを集めオーディションを行いました。そして、選ばれたのがサマンサだったのですが、ほとんど印象に残らない役柄でした。



リチャード・クレンナのピーコート

ピーコートは、必ず、必ず襟を立てるべし!

ピーコートは、男性にダンディズムとキュートさを同時に与えるコートです。

オードリーに同情する悪漢マイクを演じるリチャード・クレンナ(1926-2003)は、クラシカルなピーコートを着て登場します。それにしても、21世紀にピーコートがリバイバルヒットして、あらゆる年齢層の男性のみならず、女性まで着るようになるとは誰が予測できたでしょうか?

これこそが、ファッションの不思議であり、人間の感性の不思議さなのです。



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