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オードリー・ヘプバーン

『シャレード』Vol.3|オードリーとケーリー・グラントとアイスクリーム

オードリー・ヘプバーン
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オードリー・ヘプバーンとケーリー・グラント

当初、ケーリー・グラント(1904-1986)は、オードリーとの競演を断っていました。撮影当時、ケーリーは58才、オードリーは33才、親子ほど年の違う2人がロマンスに落ちる映画に、ケーリーは出たくありませんでした(一度断られた後、ポール・ニューマンが代役の候補になった)。

そこで苦肉の策として、オードリーがケーリーを誘惑する設定に変更したことで、ようやくケーリーは首を縦に振ったのでした(かつて、『麗しのサブリナ』(1954年)のハンフリー・ボガートの役と『昼下りの情事』(1957年)のゲイリー・クーパーの役のオファーを受けていたが、年齢差を理由に断っていた)。

そんないきさつがあった為、オードリーはかなり大胆な未亡人役を演じることになるのですが、それが、ジバンシィのファッションと同じくらいの効果を生み出す〝シャレード夜会巻き〟によって、エレガンスの中に潜む官能を生み出すことになりました。ヘアスタイルを担当したのは、アレクサンドルドゥパリでした。

バレリーナだったヘプバーンのアップにしたうなじの色気は、日本の着物美人に通じるものがあり、このヘアスタイルにより、当時女性を中心に人気があったオードリーが、男性ファンも獲得することになりました。

もっとも有名な『シャレード』の写真。

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オードリー・ヘプバーンの野心

アクセサリーは一粒のパールのみ。

1960年代のオードリーは、ファッションに全く興味のない人に対しても、容易に伝わるセンスの良さを発散していました。まさに一般人に対してパリモードという言葉を広めていく存在でした。そして彼女はその役割を担うことを明らかに意識していました。

その結果、過去にどんな女優もなしえなかった方法で、女優とファッションモデルのあんだの境界をなくしていったのでした。

やがて、21世紀において、彼女は、60年代モードが、永遠にセンスの良いものだと感じさせる信号となりました。そしてこの信号に立ち止まった若者たちは、ファッションに興味を持つことになりました。

なぜ60年代のオードリー・ヘプバーンは、現在の世界中のどの女優様さえも足元にも及びそうにないファッション・アイコンとしての〝不滅のオーラ〟に満ち溢れているのでしょうか?

それは間違いなく〝映画の中で〟ヴァラエティ豊かなカラーとデザインのファッションに身を包んだ〟からであり、さらには、プライベートを見せすぎないことにより、神話性を生み出すことに成功したからでした。

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レジーナ・ランパートのファッション7

シフトドレス
  • デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
  • アイボリーのソフトウールシフトドレス。ボートネック。ショートラグランスリーブ。バックにジッパー。ジバンシィ62/63AW
  • ジバンシィの黒いスエードの太ベルト。バックルもスエード。62/63AW
  • レネ・マンシーニのシューズ。ボウ付き黒レザーキトゥンヒール
  • パールのイヤリング

全体的にベージュトーンに支配された空間。大人の洗練。

オードリーは、ヒップがないので、ハイウエストにしています。

じょうご形のネックライン

仰向けに寝てもこれほど美しいシルエットを保てるドレスはなかなかありません。

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伝説のアイスクリームシーン

有名なアイスクリームのシーン。

エルメスのバッグの美しい光沢。

セーヌ河畔で赤いスカートスーツを着たオードリーとケーリーが散歩するシーンがあります。その時、ジーン・ケリーの『巴里のアメリカ人』の話で盛り上がり、オードリーがアイスクリームをケーリーのジャケットにつけてしまいます。

実はこのシーンは2人の間に実際に起きた出来事のパロディとして撮影されたシーンでした。

それは、クランクイン前に、パリのビストロで、監督のスタンリー・ドーネンが初対面の2人のためにアレンジしたディナーでの出来事でした。オードリーとスタンリーが先にその店に到着し、ケーリーを待つ間、オードリーは極度に緊張していました。

あまりにオードリーがロボットのように緊張しているので、到着したケーリーは「きみと会えてとてもうれしいよ。さあ気を楽にして。坐って。両手をテーブルにのせて、掌を上に向け、頭を下げて数回深呼吸してみなさい」という気づかいの言葉をかけてあげるほどでした。

そして、ドーネンが注文した赤ワインがテーブルにやって来たとき、オードリーがちょうど頭を下げた瞬間、そのボトルにぶつかり、ケーリーのベージュのスーツのジャケットを汚してしまったのでした。

慌てふためきひたすら謝罪するオードリーに対して、「丁度良かったよ。クリーニングに出す予定だったから」と言って、ケーリーはギャルソンにジャケットをクリーニングするように手配させ、シャツ一枚でパーティーを過ごしたのでした。

翌日、ケーリーから昨日のことは気にしないでという短い手紙と共に、キャヴィアがオードリーのもとに届けられました。そのケーリーの寛大さに、オードリーは感謝し、こののち2人は生涯の親友になりました。

本作の成功後、ケーリー・グラントはあるインタビューでこう答えました。「クリスマス・プレゼントに欲しいのはオードリー・ヘプバーンと撮るもう一本の映画だけだ」と。

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レジーナ・ランパートのファッション8

レッドスカートスーツ
  • デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
  • カラーレス・レッドウールスカートスーツ。七分丈=ブレスレットスリーブ。レッドシルクの糸で作られたプラケットがポンポンに包まれたボタンのショートコート。ペンシルスカート。ジバンシィ62/63AW
  • ピルボックス・ホワイトフェルトハット。ジバンシィ
  • レネ・マンシーニのシューズ。ボウ付き黒レザーキトゥンヒール
  • パールのイヤリング
  • エルメスの白のレザー手袋

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藤子・F・不二雄先生のドラえもんの道具でその帽子をかぶると消える帽子がありました。似ています・・・

白・赤・黒のアンサンブルでもおかしくありません。

オードリーのこの表情が素敵です。

印象的なボンボン・ボタン。

王妃ネフェルティティのようです。

現存していたこのレッドスカートスーツ。

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レジーナ・ランパートのファッション9

ブラックウールコート
  • デザイナー:ユベール・ド・ジバンシィ
  • ブラックウールコート。スタンドカラー
  • レネ・マンシーニのシューズ。ボウ付き黒レザーキトゥンヒール
  • パールのイヤリング
  • エルメスの黒パテントのクロコダイルレザーのハンドバッグ(ヘプバーンが61年に購入した私物)

このブラックウールコート。とてもモードな感じで素敵です。

セーヌ川を往くバトームッシュのロマンティックなひと時。

作品データ

作品名:シャレード Charade(1963)
監督:スタンリー・ドーネン
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ
出演者:オードリー・ヘプバーン/ケーリー・グラント/ウォルター・マッソー/ジェームズ・コバーン/ジョージ・ケネディ