アリュール センシュエル
原名:Allure Sensuelle
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:50ml /17,600円、100ml /24,200円
公式ホームページ:シャネル
官能的に魅了していく〝最も危険なシャネル〟の香り

©CHANEL
1978年にジャック・ポルジュがシャネルの三代目調香師に就任し、1982年にカール・ラガーフェルドがクリエイティブ・ディレクターに就任しました。そして1984年に「ココ」が発売されたこの年3月、ラガーフェルドによるシャネルのファースト・コレクション(1984/85秋冬コレクション)が発表され、シャネルはファッション・ブランドとして不死鳥のように蘇りました。
以降、シャネルのブティックはオクラホマから東京まで、
この状況を見たシャネルのCEOであるアリー・コペルマンは、「ロー ドゥ イッセイ」「シーケーワン」といった1990年代の〝つけやすいフレッシュな香り〟の流行に乗り、1996年に女性用の新作フレグランスを発表しました。その名を「アリュール」と申します。
20代後半から30代の女性をターゲットにしたこの香りは、通常シャネルが新作の女性用フレグランスで発表するオード・パルファムからではなく、オード・トワレから発売されました。
〝アリュール〟とは、フランス語と英語で「魅力、魅惑する」という意味です。それは完全復活したシャネルというブランドの自信を反映した、万華鏡のようなフローラル・フレッシュ・オリエンタルの香りです。
そして3年後の1999年に、オード・パルファム・ヴァージョンが発売され、さらに6年後の2005年に発売されたのがこの「アリュール センシュエル」です。シリーズ中最もフローラルオリエンタルなこの香りは、〝世界一セクシーでエレガントなパチョリの香り〟とも言われています。同じくジャック・ポルジュによって調香されました。
「アリュール」シリーズを飛び越え、歴代のシャネルの香水の中でも、トップスリーに入る名香との誉れ高い香りです。
真の美しさを持つ、完璧な女性のための〝最後の仕上げ〟の香り

©CHANEL
「センシュエル」の香りも六面にファセット・カットされたダイアモンドの一面に光が当たり輝くように、六つの香りのうちのひとつが、その人の魅力に反映し、優雅なブルボンバニラと絡み合い、シンクロするように香りを放ちます。
ただし、「センシュエル」は、フレッシュなパチョリが、ピリっとしたピンクペッパーにより、より泡立ちシャープに強調され、シルキーなダークチョコレートとフランキンセンスが滑らかに素肌の上に広がっていくようなゴージャス感があります。さらにコスメティックでパウダリーなアイリスとひんやりと冷たいラベンダーが加わり、官能的なコントラストを生み出します。
そこに、指で触れると皮を突き破り、黄金の果汁が滴り落ちそうな程、熟れに熟れているピーチが注ぎ込まれ、空前絶後のナッツ入りのダークチョコレートとピーチとクールビューティな花々のハーモニーが、新たに追加されたラブダナム×ブルボンバニラのリッチなブレンドと見事な溶け込んでゆきます。
つまり「センシュエル」の香りの中心には、(砂糖漬けではないフレッシュな)フルーツパチョリが最初から最後まで細部にわたって滞りなく六つの香りの側面に〝官能的な深み=素肌と素肌が触れ合い、内側から温まるような感覚〟を与えているのです。
- シトラス=レモンとベルガモット
- フルーツ=マンダリンオレンジとピーチ
- フローラル=メイローズとジャスミン、スイレン、ピオニー、マグノリア、オレンジブロッサム
- ウッディ=サンダルウッドとベチバー
- オリエンタル=アンバー
- アニマリック=ムスク
まさに程よい肉付きの熟れに熟れた肉体が、かぶりつく歯を誘っているようです。女盛りだった頃のモリカ・ベルッチやソフィア・ローレンが、黒いストッキングを履いて、シルキーなベッドの上で獲物を待ち横たわっているような、完璧に磨き上げられたボディと手入れの行き届いた足と手の指先とヘアメイクを施した、真の美しさを持つ、常にその場の中心となる完璧な女性のための〝最後の仕上げ〟の香りです。
しかし、何よりもこの香りを魅力的なものにしているのは、オゾニックでありながらクリーミーなメロンフロートのような香りが、スタイリッシュに最初から最後まで香りの奥深くに潜んでいるところにあります。
アリュール センシュエルのミューズ

アンナ・ムグラリスとカール・ラガーフェルド ©CHANEL

©CHANEL
カール・ラガーフェルドに選ばれ、2002年以後、「アリュール」のミューズをつとめるフランス女優アンナ・ムグラリス(1978-)が、本作のミューズをつとめています。
ちなみに彼女は2009年の『シャネル&ストラヴィンスキー』でココ・シャネルを演じています。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アリュール センシュエル」を「メロンバルサミック」と呼び、「ポニーテールのカール・ラガーフェルドにとっては、ついてない日だったに違いない、「アリュール」の発売に際して、この香水をどう思うかたずねられたからだ。独特のゆっくりしたフランス語とドイツ語まじりの英語で彼は答えた「まあ、あれは香水とはいえないだろうね」」
「でもアリュール・センシュエルのことを聞かれたなら、話は別だったろう。思うにセンシュエルには、シリーズ初めての素敵なアイデアが現れた。それはエスティローダーばりで、力強く無味乾燥なウッディバルサミックを、新鮮なアルデヒドの香調、それもシトラスではなくメロンと合わせた点だ」
「トム・フォードは後に「ブラック・オーキッド」で同じような瓜の系統を使ったが、この香水はみごとに作り込まれてはいるが、魅惑を感じられない。私にとってはシンディ・クロフォードとデートのような香水だ。アイデアはすばらしいが、実際はニューヨーカーの雑誌を読みながらひとりで食事した方がよさそうだ」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:アリュールセンシュエル
原名:Allure Sensuelle
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:50ml /17,600円、100ml /24,200円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:シチリア産マンダリンオレンジ、ピーチ、ベルガモット、ピンクペッパー
ミドルノート:アイリス、ジャスミン、ターキッシュ・ローズ、ブルガリアン・ローズ、ドライフルーツ
ラストノート:ラブダナム、香辛料、サンダルウッド、ラベンダー、バニラ、ベチバー、アンバー、パチョリ