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アニック・グタール

【グタール】オードシエル(アニック・グタール/モニーク・シュリンガー)

アニック・グタール
©Goutal Paris
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オードシエル

原名:Eau de Ciel
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール、モニーク・シュリンガー
発表年:1985年、2015年
対象性別:女性
価格:100ml/25,410円

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オードシエル。天空の水、または〝天国から見守る母の水〟

©Goutal Paris

1986年に宮崎駿が監督した『天空の城ラピュタ』が、2001年にフランスではじめて劇場公開されたときの題名は「Le Château dans le Ciel」でした。この最後の単語「Ciel(シエル)」の意味は、〝天空〟です。

まだブランド名がグタールではなく、アニック・グタールだった1985年に発売された「オードシエル」は、〝天空の水〟という名の香りです。アニック・グタールモニーク・シュリンガーにより調香されました。

この香りがもし1995年に発売されていたなら、大した歴史的価値を生み出さなかったでしょう。しかし、1985年という年は、「プワゾン」(1985)「ココ」(1984)のような〝濃厚な香り〟が主流であり、ファッションはクリスチャン・ラクロワのような〝成功への装い〟と、アズディン・アライアのような〝悩殺する装い〟の両極を軸に突き進んでいました(その終着駅に存在するのが90年代にジャンニ・ヴェルサーチェが生み出したスーパーモデル旋風でした)。

そんな〝成功と富を求める熱気に満ちた時代〟の真っ只中に、一服の清涼剤のように、まるで空を飛んでいるような〝優しい〟香りが現れたのでした。この香りが1990年代の「ロー ドゥ イッセイ」や「シーケーワン」のような香りに与えた影響は計り知れません。

そして、2009年に廃盤になっていた伝説の香りが、2015年に復刻され、2021年10月には、グタール40周年を記念して再版されたのです。

かつて〝天空の水〟の意味を持っていたこの香りは、アニックの娘カミーユ・グタールに継承されたグタールにおいて今では、〝天国の水〟=〝天国から見守る母の香り〟というダブルミーニングを与えられたと言っても過言ではないでしょう。

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〝記憶のない想い出〟に香りを与え、〝想い出させる香り〟

©Goutal Paris

母が赤ん坊に示す〝優しさ〟をテーマにしたこの香りは、リンデンの街路樹に蜜蜂が集まるのどかな小春日和からはじまります。ハニーの効いたハーバルグリーンな芳香が漂っています。すぐにリンデンはローズウッドと結びつき、軽やかに青空に向かって飛んでゆけそうな優しい甘さに包まれてゆきます。

そこに、風に吹かれふんわり蝶のように舞う干し草の香りが溶け込んできます。この香りの中には、ガルバナムが生み出すグリーンノートは一切存在しません。

どこまでも穏やかな自然の情景がこの香りにはあります。まるで自然と一体化するようにアイリスが心を満たしていくように広がってゆきます。そして、ヴァイオレットとオレンジ・ブロッサムが〝優しさ〟という言葉に煌きを与えるように澄み渡る空気に生命力を与えてゆきます。

最後に、ティーが注ぎ込まれ、〝天空に満たされた香り〟の完成となります。赤ちゃんの頃の記憶はないはずなのに、母に抱かれた赤ん坊の記憶がふいに呼び覚まされるような香りです。

〝天空の香り〟の素晴らしさ。それは香りの中から〝天使〟を見つけることができる香りということです。それは〝天国の香り〟ではなく、〝自然を謳歌する天使の香り〟なのです。さらに驚くべきことに、この〝天空の香り〟から、狐の嫁入りの後の大地の息吹すら感じることがあるということなのです。

この香り以降、1990年代にアルベルト・モリヤスジャック・キャヴァリエは、〝心に注ぎ込む水〟を作っていくことになるのです。そんな〝水〟の蛇口を捻った最初の香り、それが「オードシエル」なのです。

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香水データ

香水名:オードシエル
原名:Eau de Ciel
種類:オード・トワレ
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール、モニーク・シュリンガー
発表年:1985年、2015年
対象性別:女性
価格:100ml/25,410円


シングルノート:ライム(リンデン)ブロッサム、ビーズワックス、ティー、ホワイトムスク、アイリス、ブラジリアン・ローズウッド、ヴァイオレット、ネロリ、オレンジ・ブロッサム