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【アディクション】オードアディクション(ミシェル・アルメラック)

その他のブランド
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オードアディクション

原名:Eau d’Addiction
種類:オード・トワレ
ブランド:アディクション
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/8,800円

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『ADDICTION アディクション』とは

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アディクションとは、コーセーのアウトオブブランドです。2022年現在、資生堂に次ぐ売上高を誇る国産化粧品ブランドの最大手です(花王は化粧品だけに特化していないため省く)。

ちなみにコーセーとは、太平洋戦争で敗戦した僅か半年後の1946年3月2日に小林孝三郎が創業した化粧品ブランドです。1956年にアルビオン、1970年に最高級ブランドとしてコスメデコルテといったアウトオブブランドが設立されました。

そして、1975年11月16日に、世界ではじめての美容液(Beauty Serum)「アルファード R・Cリキッドプレシャス」が発売されました。いわゆる『スキンケア革命』です。それまでスキンケアは、乳液やクリームなど油分の多い化粧品が主流だったところに、化粧水のようなみずみずしい使用感でありながら、肌をしっかり守ってくれる化粧品として、美容液という新たなカテゴリを生み出したのでした。

1985年からは「雪肌精」を発売し、1992年には「ルシェリ」のCM「チューして!」が話題を呼びました。2005年には「ジルスチュアート」とライセンス契約を結び、日本の化粧品市場に導入しました。

そして、2009年7月15日に百貨店専用メイクアップブランド「アディクション」を誕生させたのでした。

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ファースト・フレグランスは、AYAKO様の大いなる遺産

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「アディクション」とは、ニューヨークを拠点にファッションショーなどで活躍しているメイクアップアーティストのAYAKOをクリエイティブ・ディレクター迎えた、高感度向けメイクアップ市場をターゲットにしたメイクアップブランドです。

2014年に一般的な言葉になったデパコス(デパートコスメ)という言葉を牽引したブランドのひとつです。

このブランドの最大の魅力は、コーセーが有名なメイクアップアーティストを招聘してブランドを設立したのではなく、カール・ラガーフェルド、スティーブン・マイゼル、テリー・リチャードソンなど多くの著名なファッション・デザイナー及びフォトグラファーとともに、国際的なファッション誌、広告キャンペーン、コレクションで活躍していたAYAKO自身が行動して生み出された所に大いなる価値があります。

つまり「アディクション」は、「メイクアップアーティストの仕事を形に残したい」という思いを胸に、「私の作品を手に取れるよう形にしたいと考えたのが、ADDICTIONのはじまりです」という風に、彼女自身が自発的にコーセーに働きかけ、生み出されたメイクアップブランドなのです(2019年に退任し、2020年より後任はメイクアップアーティストKANAKOに引き継がれた)。

そして、2019年にAYAKOは、最後の〝大いなる遺産〟としてアディクションの〝ファースト・フレグランス〟を残していったのでした。

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ミシェル・アルメラックによる〝赤のエクスタシー〟

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2019年に、10周年のアニバーサリーイヤーを迎え、ブランド初のフレグランスを発売することになったアディクションは7月15日に「オードアディクション」を発売しました。

〝アディクション(中毒)の水〟という名のこのフレグランスのために調香師として迎えられたのが、ミシェル・アルメラックです。「クロエ オードパルファム」やボンド ナンバーナインの「セント オブ ピース」といった数々の名香を生み出しているアルメラックによるこの香りは、日本人が好む〝フレッシュフルーティ〟〝ティー〟〝グルーン〟の三つの要素で構成されています。

メイクアップブランドらしく洗練された赤だけで構築されたボトルと、アルメラックがかつて調香したグッチの「ラッシュ」を想わせるビジュアル広告がとても印象的です。

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日常使いできるセルジュ・ルタンス

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敢えて百貨店のコスメコーナーにだけ存在する「アディクション」。プロのメイクアップを日常生活の中に溶け込ませる事の出来る生活様式、またはファッション感度を持つ女性にのみ許されたこの選ばれしコスメブランドからはじめて発売された香りは、〝香りは、あなたの美を祝福し、魂を覚醒させ、新たなる美の高みに向かって行動させる〟という明確なる意図をもって生み出された香りです。

だからこそ、この香りは、レモンとルバーブの新鮮な果実と野菜が、祝福するファンファーレのように弾けるようにしてはじまるのです。すぐにカシスの酸味の含んだジューシーさが、インセンスの厳かな空気の到来を告げてくれます。それはしんと澄み渡る空気の中で、静かに鳴り響く鐘の音のようです。

まさにアディクションが謳うように、『その人が浮かび上がるような透明感』が最初から最後までこの香りを示す明確なる言葉です。

そして、この香りの主役は、赤いボトルが示すようにルバーブです。それはエルメスの「オー ドゥ ルバーブ エカルラット」をよりスタイリッシュにしたようなサワーグリーンな香りとなっています。

優しく守護神のように静かに佇むこの香りは、肌に寄り添うようでもあり、あなたを見守る人生で最も尊敬する女性の微笑みのようでもあります。やがて、香りはジュニパーベリーとゼラニウムが折り重なり、ほのかに酔わせるようなアクセントも見せてくれます。

ミシェル・アルメラックという調香師の素晴らしさは、誰もが心地よさを感じる香りの中に、その香りと時を過ごしたものにしか分からない〝中毒性〟を生み出すところにあります(その最たる一例が「セント オブ ピース」)。

すぐにインセンスの奥深くからブラックティーのスモーキーさが顔を出し、レッドローズが静かに花を咲かせてゆきます。そして、このエレガントな肌の香りを引き継いでいくようにシダーウッドが官能的に温かな余韻ですべてを引き継いでくれるのです。

凛としていてどこかミステリアスな女性の横顔を覗かせるこの香りは、日常でも使うことが出来る「セルジュ ルタンスの世界観」に近い香りとも言えます。ただし、ミステリアスの遥かに上をゆくスタイリッシュさはパリよりもニューヨークを感じさせてくれます。

ニューヨークでAYAKO様が手に入れた世界中の美の生き血を、上品な作法で飲み干すような香りです。

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香水データ

香水名:オードアディクション
原名:Eau d’Addiction
種類:オード・トワレ
ブランド:アディクション
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/8,800円


トップノート:カシス、レモン、ルバーブ
ミドルノート:ゼラニウム、ジュニパーベリー、インセンス、ローズ、ブラックティー
ラストノート:シダーウッド、ドライウッド、モス